企画展「並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑-透明な黒の感性」

■開催日時

2017年10月28日(土)~12月25日(月)
9:30~17:30(入館は17:00まで)
※会期中無休

■入館料

一般1,000円(4枚セット3,000円)
大学生800円・高校生500円・中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの方 無料(美術館受付にてご提示ください)

■内容

明治時代、輸出用美術工芸として人気を博した七宝。並河靖之(なみかわ・やすゆき、1845-1927)は、その中でも有線七宝の繊細さと漆黒の釉により頂点を極めた七宝家です。没後90年を記念する本展は、初期から晩年までの作品を網羅する、初めての回顧展です。
 京都の武家に生まれた靖之は、久邇宮朝彦親王に仕えたのち、明治維新後に七宝業に取り組み始めます。知識や資材が無い中、試行錯誤して技術・意匠の改良を進め、やがて内外の博覧会で成功を収めます。工房には外国からの文化人が多数訪れ、“京都並河”ブランドは新聞や雑誌を通して海外へと紹介されました。明治29年(1896)には帝室技芸員となり、当代一流の工芸家としての地位を確立します。大正期に入ると七宝業全体の生産額が落ち込み、並河も工房を閉鎖、その名は次第に忘れ去られて行きました。
 しかし近年、明治工芸への関心の高まりに伴い再び注目が集まっています。細密な植線、豊かな色彩、四季折々の花鳥風月、そして研ぎ澄まされた透明な黒い釉薬―。類まれな技術のみに留まらず、洗練された感性に基づき制作された七宝は、100年以上の時を経てなお光を放ち、人々を魅了します。本展では、国内の七宝作品に加え、下絵等の関連資料を通して、その全容を明らかにします。