いなべ市藤原町にある『鳴谷山聖宝寺』のご住職、中井泰山さんが今回のお客様。
聖宝寺の一年の中で一番美しい季節が、この『もみじ祭り』の頃。
長い階段を上るとここは別世界。赤や黄色に色づいた素晴らしい景色を見ることができます。
では、ご住職にまずはお寺の歴史からお聞きしましょう。
お
寺の歴史は平安時代から
平安時代に、比叡山を作られた伝教大師最澄大和上が伊勢参りの途中にここに寄られ、作られたのがはじまりで、1200年ほど経っています。
しかしずっと続いていたのではなく、戦国時代に焼き討ちに遭い、一度はなくなりました。
その後、江戸時代の初期、この近くの臨済宗妙心寺派のお寺の和尚さんが、京都のえらいお坊さんを開祖として呼び、再建され、今に至っています。
実は阪神大震災のときにわかったのですが、このお寺は比叡山御所のお寺に対して、北東に位置しているんです。
北東というのは鬼門なんですね。
ということは鬼門封じのためにこの寺が建てられたと、地図を通してわかったんです。
なんでこんなところに山寺があるのだろうと思ったら、御所の鬼門が比叡山、比叡さんの鬼門がここと、直線で並んでいるんですよ。
も
みじ祭りの内容
今、残っている大正15年の絵葉書には、楓などは1mちょっとの高さしかありません。
あとは杉の木に似た『香木』という木があるだけ。
とても見晴らしの良いところだったようですが、大正から平成の時代になり、聖宝寺の庭は紅葉が素晴らしい庭になりました。
今日11月18日から11月26日までは『もみじ祭り』も始まります。
土日、祝日はライトアップも楽しめますよ。
『もみじ祭り』のために、毎年みなさんに協力していただき、今年で25回目になります。
私がこの寺に来たのが平成2年で、それまでは誰も人が来なかったような状態で、この季節でも地元の方が時々来て、写真を撮っていくだけ。
『もみじ祭り』という行事もなく、ひっそりとしていました。
平成5年にこのお寺で、私の友だちの結婚式をしたときに、地元の人たちが、
「和尚がこの山寺に来て、その友だちがここで結婚式をあげてくれたのだから」
と、ライトを付けてライトアップをはじめたのがきっかけ。
それが1回目。
その時は『もみじ祭り』というアピールは一切せず、藤原町の時代にあった有線放送で、町の人たちに呼びかけたくらいでした。
翌年の平成6年11月23日に中日新聞さんが一面に載せてくれたことで、一気に人がドワっと来たんです。
それから私の人生が変わってしまったようです。
紆余曲折あり、やめようとしたりいろいろな事がありましたが、それを越えて続けてきたおかげで、地元の人たちも受け入れ体制をしてくれています。
はじめたきっかけが結婚式だったということで、毎年11月23日は良縁祈祷をしています。
「おもてなし」という言葉は東京オリンピックで脚光を浴びましたが、実はこちらが先なんじゃないかと思っているんです。
地元の人たちがおもてなしで以って、来てくれる人を接待しようと『おもてなし御膳』という料理を『もみじ庵』で出しています。
「おもてなしの心を大切に」ということを、私たちはオリンピック以前から言っていたんです。
ラ
イトアップはなぜ美しいのか
なぜライトアップすると綺麗なのかというと、光の抜け方なんですね。
同じ景色でも、昼間は上から光が差しますが、夜のライトアップだと下から光を当てることになるわけです。
上からと下からでは、見え方がぜんぜん違うんです。
日頃私たちは、太陽の日差しの下で見ているのが普通ですが、夜だと景色が変わっちゃうんですよね。
その関係で幻想的に見えるのだと思います。
毎年来てくれるリピーターの方もいて、嬉しいです。
『もみじ祭り』の期間中、『もみじ庵』という場所で、土日と祭日は地元の人たちが『おもてなし御膳』を出しますし、平日は100食ほどの限定になりますが、手打ちそばをお出しします。
土日祭日は滝の広場でおでんり、マス釣りの池で焼き栗、下の神社の石段を上がっていただくまでの場所に、地元の方々が野菜や漬物を販売します。
また『もみじ祭り』に向けて地元の人たちが特産として作った『いも団子』。
里芋を練って形を整えたもので、醤油を付けて焼くと、これがまた美味しいんですよ。
密かにブームになっている団子なので、ぜひ来て食べてほしいですね。
癒
されたいなら呼吸をすること!
心を癒やしてもらうためには、呼吸をして欲しい。
呼吸とは吐いて吸うこと。
お寺や神社にパワーを吸いに来ようとすると思いますが、吸うためにはまず吐く必要があります。
吐くというのは口。
心の中の辛いことや嫌なことを吐き出して、そしてそれからパワーを・・・。
例えばここだったら11月19日に公開される『十一面千手観音菩薩様』のパワーを吸っていただいてお帰りいただく。
すごいエネルギーを感じてもらうためには、まず出さないと。
そんなことをしたら寺が汚れると思われるでしょうが、ちゃんと水に流してくれるんです。
そのために池や滝があるんですね。
どんどんここに来て愚痴ってください。
ちゃんと池と滝が流してくれます。
そしてパワーを吸った後は楓や銀杏などの紅葉を観ていただいて、気持ちをスッキリすると、本当に気持ちよく帰ることができると思います。
この声を聞いていただいたことで、あなたと私でご縁が結ばれました。
そのご縁を大事にさせていただきます。
ぜひ、あなたも大事にしてください。
どんな坊主なんだろうと思われ、興味を持たれた方、ぜひいなべまでお越しください。
300段の階段を昇って、本堂まで上がってきてください。
私がちゃんとお答えします!
もみじ祭りの期間の土日祝日はコンサートも行われます。
お祭りが終わっても、聖宝寺では、寺ヨガや写経と座禅の体験できたりと、色んなことを行っています。
私の声を聴きたくなったら、聖宝寺へどうぞお出かけください。