三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年11月19日放送

四日市市を走るあすなろう鉄道の活用と住み良い街づくりの実現に取り組む『四日市の交通と街づくりを考える会』!
運転開始100年を迎えた2012年、利用者の減少により存続の危機を迎えましたが、会を設立して奔走し、地域の要望により公有民営で存続が決定!
以来、駅清掃や花植えなどのボランティア活動、シンポジウムやイベントの開催、情報発信などに取り組んでいます

この小さくてかわいらしい電車は、四日市市内を走る『あすなろう鉄道』。
全線で7キロしかない、小さな鉄道路線です。
レールの幅が新幹線の半分ほどしかないナローゲージを、小さな電車がガタゴトと懐かしい音を響かせて走っています。

1912年に運転を開始。
その100年後の2012年、利用者の減少により存続危機を迎えます。
しかし、地域の要望により、施設を四日市市が所有し、運営を四日市あすなろう鉄道が担う、公有民営での存続が決まりました。

 

あすなろう鉄道の日永駅では、この日イベントが開催されていました。
『四日市の交通と街づくりを考える会』によるウォーキングイベント『乗って歩いて再発見!』!

 

『四日市の交通と街づくりを考える会』の副理事長、宗像基浩さんにイベントについてお聞きしました。

「今日行うのは、日永地区の市民センターの方と一緒に、あすなろう鉄道の内部線に乗ってもらい、この地区を歩き、普段気づかないようなものを見てもらおうというイベントです」

それは楽しそう!

 

「数年前に存続問題が浮上した時、この鉄道を何とかしたいという思いがあり立ち上げたのがこの会です。
最初は1人だったので、インターネットを使って活動し、集まった人たちで駅の掃除や花植えをして、活動が広がっていきました。
車に依存しすぎる社会を見直してもらい、出かける際に鉄道でもいい時があると思うので、住民が積極的に活用して、外からもたくさんの人を呼び込みたいと思っています」

と語るのは、『四日市の交通と街づくりを考える会』理事長の上野理志さん。

『四日市の交通と街づくりを考える会』、略してYTTは2013年、四日市あすなろう鉄道を中心とした公共交通機関の発展と、豊かな街づくりをめざし発足。
駅の清掃や駅ホームの花植え活動、そして沿線マップの制作など、精力的に活動。
また、あすなろう鉄道1日乗り放題のフリーパスを提言し、実際に発券されています。

 

あすなろう鉄道に乗って東海道散歩に出発進行!
3回目となる今回のイベントには、県内外から38人が参加しました。
四日市あすなろう鉄道の線路の幅は、762mm。
大人の脚だと一跨ぎですね。
現在、新型の車輛に入れ替え中だそうですが、こちらは旧式のようです。
この車両は、昭和58年製、後ろの車輛は昭和24年製で、なんと60年以上走っているんです。
部品もあまりない中で、メンテナンスも大変だそうです。

 

お隣の南日永駅からは東海道ウォーキング。
古い街道の歴史を辿りながら歩きます。
やってきたのは、南日永駅から徒歩5分ほどのところにある西唱寺。
見ごたえある天井画、壁画が話題のお寺です。

 

西唱寺は昭和20年6月18日の四日市大空襲で本堂や宝物庫など、みな焼けてしまいました。
再建された本堂の、天井と壁に絵を描いているのが、地元出身の野本画家、南川朋宣さん。

「浄土真宗高田派のお寺ですので、阿弥陀様が見える極楽浄土を表現するのが昔からのならわしです。
極楽に住まわれる天女さんなどの天井画を描かしていただきました」

 

南日永駅から再びあすなろう鉄道に乗って、終着駅の内部駅へと向かい、案内されたのはあすなろう鉄道の電車が保管されている内部車庫!
本来は関係者以外立ち入り禁止の場所ですが、今回は特別に許可をもらったそうです。
鉄道ファンにはたまりません!

この内部車庫、現在調べている範囲では大正2年(1913年)に建てられたと言われています。

 

この日、お孫さんたちと参加していたのは、前日永地区市民センター館長の山下弘文さん。
なんとこのイベントの第1回目の企画をされたそう。

「2回、3回と続いてくれるのはとても嬉しいです。
YTTのみなさんは、常に活力、行動力があって、企画が早く動きも早いので、とても頼もしいです」

 

この日案内をしてくれたのは、『四日市あすなろう鉄道(株)』鉄道営業部運輸課 運輸管理所長の日紫喜孝行さん。

「公有民営化してから、この鉄道は市民の鉄道という意識が沿線の方に強く根付いていて、そういう機運も現在高まっています。
今後は、安全はもちろんですが、このようなイベントを通して利用促進など、地域のみなさんとともに地域貢献できればと思っています」

 

ウォーキングツアーを終え、YTTのみなさんはすぐさま反省会。
今後の活動について意見交換します。

 

「沿線に住む人にとって、地域の思い入れが詰まっている鉄道だと思っています。
なくなってほしくない、ずっとあり続けてほしい鉄道です」

と、YTTメンバーの田中馨さん。

「とりあえず、一カ月に一回、一週間に一回自家用車の利用を、あすなろう鉄道に代えてもらえると嬉しいしありがたいですね」

こちらもYTTメンバーの堀後達紀さん。

人が歩いていることによって街の賑わいは生まれるはずなので、まずは歩いてもらい、『あすなろう鉄道』が普段使いできるような形の鉄道、公共交通として残ってほしい・・・それが『四日市の交通と街づくりを考える会』の思い。

今だけでなく、未来を見すえた発想で・・・
『四日市の交通と街づくりを考える会』のみなさんは、公共交通の存続、そして活用のあり方を考えます。