三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2017年12月3日放送

松阪市中万町で約60年ぶりに復活した『中万市』!
中万町は、射和町とともに軽粉(伊勢白粉)や木綿で栄えたところで、江戸店を持った豪商の屋敷など往時の繁栄をしのぶものが今も多く残る町。
そこで室町時代から始まったとされる『中万市』は、歳の市として食料品や生活雑貨品が並び、対岸から渡し船を使ってやって来るなど多くの人で賑わったが、伊勢湾台風の被害を受けたことから途絶えてしまいました・・・
町の活性化をめざし『中万市』を復活させた中万町のみなさんの活動や、思いを紹介します!

「お客さんが多くてびっくりしています。
こんなに来るとはまったく予想してなかったですね。
懐かしく思って来てくれた人もたくさんいるので、できるなら続けていきたいですね」

「開催することによって、昔、中万に住んいた人も来てくれています。
その人たちと話すことで、ここが歴史的な町だということを再確認しました。
もっと知らなければならないことや残すべき町並みもあると思うので、自分たちががんばりたいですね」

伊勢商人、松阪商人として、木綿や伊勢白粉を扱い、江戸に店を持つ豪商の大邸宅が今も残る中万町。
この中万町で、約60年ぶりに『中万市』が復活しました!

 

『中万町自治会』会長の西村篤史さんに、昔の『中万市』についてお聞きしました。

「『中万市』は櫛田川の、この広い河原で行われていたため、『河原市』とも呼ばれ、12月の歳の市でした。
年の瀬とあり、農機具や日用品のざるや桶やまな板などを売っていんですね。
子どもの頃は20~30円の小遣いをもらい、学校が終わると飛んで帰ってここへ来て、ちょっとした駄菓子などを買いました」

『中万市』がはじまったのは、中世室町時代。
櫛田川の河原に出店が並び、対岸から渡し船で人がやってくるなど、大勢のお客さんで賑わったといいます。
しかし60年前の伊勢湾台風で河原がなくなり、同時に市も消えました。

 

『中万市』当日。
そんな歴史ある中万市を今に蘇らせようと立ち上がったのが、こちらのみなさん。
中万町自治会、中万まちなみ保存委員会、中万青壮年会、中万のぞみ会、フレッシュミセスの会、中万町民文化祭実行委員会など、中万町、全地域をあげての取り組みです。

 

さあ、待望の新生『中万市』がはじまりました。
地元の人を中心に、朝から大勢の人出です。
市は、乳熊寺(ちくまんじ)会場、富山家会場、中井家会場の3ヶ所で開催。
他にも中万の町を楽しんでもらおうという、さまざまなイベントが行われました。

 

『中万まちなみ保存委員会』顧問の村賀信弘さん。

「中万は松阪商人、伊勢商人といわれる人たちの発祥の地で、実は、松阪の長谷川家や小津家などよりも100年ほど早くに江戸に出て成功されたお家がたくさんあります。
しかし空き家になっている家も多く、メンテナンスが必要な場合もあります」

 

そんな歴史ある中万の建造物を、この機会に見てもらおうと、特別公開も行われていました。
庭の公開をしていた小林家では、当主自ら焙煎珈琲のふるまいを。

 

こちらは中万町の古い地名である『ちくま』を屋号に持つ竹口家。
今ここに住む人はいませんが、年に何度かは東京から来るそうで、かつての本家はいまもきれいに保存されていました。

 

そして中万の街並み保存には『ヘリテージの会』も協力していました。

「私は松阪の設計事務所で図面を書く仕事をしています。
そこで実測等を行って、今現在の状態を図面化していくのを主な仕事として、お手伝いしています
地元の人たちに、重要な建物が残っているということを強く認識してもらうのが目的です」

と、中井研介さん。

 

続いては『中万市』の中井家会場へ。
行列の先で販売されていたのは、『ちくま味噌』!
先程の竹口家の先祖が江戸で醸造を始め、今も作り続けているのが、この『ちくま味噌』なんです!

 

この日は『ちくま味噌』代表取締役であり、第十七代の竹口作兵衞さんも会場に来ていました。

「こうして呼んでいただけて、声を掛けていただけて、嬉しく思っています。
毎年みなさんが楽しみにしていた市が復活できて、本当に良かったです」

 

こちらのお子さんが手にしているのは、この中万市開催をまえに地域の人に配布されたお買い物券。
子どもたちをはじめ、ひとりでも多くの地元の人に参加してもらおうと、運営者のみなさんで考えた仕掛けです。
それは見事に成功したようです。

 

竹上真人松阪市長と、『中万まちなみ保存委員会』委員長の小林孝章さん。

「地域のみなさんが熱意を持って、復活させようという意気込みはとても大切です。
さらに発展していってほしいですね」

「この街並みがいつまでも続くように、我々だけではなくこれからの若い世代にも引き継いで、街並みを残していけたらなと思っています」

途絶えていた歴史をいまにつないだ中万町のみなさん。
人の往来と、かつて江戸をめざした豪商たちの熱い思いが、60年ぶりに蘇りました。
中万市は来年以降も開催予定です!!