FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年1月13日放送

今回のお客様は、尾鷲市の地域おこし協力隊で『おわせ暮らしサポートセンター』の木島恵子さんと鈴木教平さん。
去年の3月に今の場所に事務所が移って、訪れる方々の空き家のこと、移住の相談にのっています。
元は森林組合の事務所だった場所はとても趣があって素敵なところ。
家を貸す人と借りる人をうまくマッチングしてくれるのもおわせ暮らしサポートセンターのお仕事の1つ。
いい出会いがあるとお2人も嬉しくなります。

わせ暮らしサポートセンターの主な仕事は空き家バンク

鈴木 『おわせ暮らしサポートセンター』の仕事として、一番多いのは空き家バンクです。
単純に尾鷲で家を探しているという方が、割合としては一番多いですね。
あとは休みの日に事前に連絡してくださって、遠方から来て物件を見に来る移住希望者とか。
ほとんどは空き家バンクとしての機能で、他は友だちが遊びに来て雑談したり仕事の話をしている・・・という感じですね。

木島 今まで市役所の2階の市長公室の中に小さなテーブルがあって、そこで空き家や移住の相談を受け付けていたんです。
場所的にちょっと緊張しますし、敷居が高い感じがしますよね。
こっちもあまりプライベートなことを突っ込めないし、お互い周りを意識しながら相談みたいな感じでした。
もちろん長居もできないですし。
外に出たいなという思いはずっとありましたが、なかなか出先も探せませんでした。
しかしその後、人数が増えて
最初は私1人だったのが、鈴木くんが入って2人になって、今年に入ってからさらに2人入って、現在4名で仕事をしているんです。
さすがに4人だと市役所の中に机も置けないですし、いよいよ出る雰囲気になった時、たまたまのご縁でこちらをお借りすることができたんです。
良い建物ですよね。

鈴木 訪問者も増えましたね。
役所の時は1日1〜2組来れば良い方でした。
こちらに来てからお客様の数や問い合わせを集計するようになったところ、月に訪問者が20〜30組、電話の問い合わせも平日でも1日に2〜3件いただけるようになり、役所よりも問い合わせしやすいというのを、とても感じますね。

 

き家バンクの登録件数は現在140軒ほど

木島 空き家バンクの登録数は、三重県の中でも多い方だと思います。
現在140軒ほどが登録されていて、そのうちの2/3くらいはすでに賃貸または売却の交渉が成立しています。
登録件数も多く、それに伴い成約件数も増えてきているので、ここを構えたことによって、その数が歴然に見てわかると思います。
これからも、もう少し増え続けると思います。
私が来たばかりの頃は、「空き家バンク、なにそれ?」という感じで、まだ全然周知されておらず、もちろん登録件数も利用者さんも少なかったですね。
その頃に比べるたら、人手が足りなくなるほどで、だから4人になっているわけですし。
ここ3年くらいで本当に変わりました。
1件交渉が成立すれば、そこからまた尾鷲の中で認知度が広がっていくんですね。
空き家を持っている人、管理している人の多くは高齢者です。

多分みなさん、自分が持っている家を『不動産』だと認識していなかったんですね。
老朽化する前に、いいマッチングをしていきたいです。
空き家バンクで利活用されることを知ることによって、空き家を借りる人がいる・利用者がいる・・・ということが最近周知されて来たようで、私たちがあくせく物件探しをしなくても口コミで出てきてくれるようになりました。
さらにここがとても来やすい場所になったので、親戚やお知り合いから聞いて、ちょっと話に来た、という人も多くなりました。

 

末だけ尾鷲に来る二地域居住が増えてきた

鈴木 尾鷲や近くの人は町中に住居を探しますが、移住してきたいという人は集落の方が良いんですよね。
田舎暮らしがしたい、海が好きで釣りがしたいという方が、愛知や大阪から来て、小さな漁村の集落の中で過ごすというのを望んでいる人が多いですね。
九鬼町でももう、10軒以上決まっているんでしたっけ。

木島 今住んでいるところから移住してくるというよりも、二地域居住のような感じで近畿や東海圏の家はそのままに、週末だけこっちに来ると。
空き家も漁村の方のものとなると、月1万円くらいで借りることができるんです。
月に2回、釣りで尾鷲に来ている人が1万円で家が借りれたら、友だちと来たり、みんなで活用できるんです。
そういった二地域居住も増えてきています。

 

鷲の古民家は良い木材を使っている

鈴木 空き家を有効活用するというのが、これからの僕たちのテーマなんですが、自分が考えているのは外国人向けの宿泊施設とか、インバウンドとか観光に向けて、外貨を稼げるような使い道。
あとは古民家を再生してお店にするのも流行っているので、そういうのも僕たちがサポートできたらなと思っています。
木島さんがよく言っているのは、尾鷲は林業の町だということ。
良い木材を使っているため、手入れされている家は佇まいがとてもしっかりしているので、そのあたりも古民家好きな人には受けるんですよね。

木島 本当に良質な空き家が多いんです。
空き家バンクの仕事をしていると、他の町で協力隊をしている人とよく会うのですが、みなさん言ってくれるのは、尾鷲の空き家は本当に質が良いということ。
ステキな古民家がいっぱいあるので、お持ちの方でも放置しているのであれば出してほしいし、借りたい人は絶対いるので、そのあたりの需要と供給のバランスがうまくいくと、私たちもやっていて楽しいです。
今も実際に歩いて、空き家探しをしています。
家は人がいないと悪くなってしまいますが、入った途端に良くなるので、ビックリしますよ。
使っていないから潰して駐車場にしちゃおうか・・・なんて考える前に、相談に来てほしいです。
私たちでも、借り手が付くかどうかと思うような空き家でも成立したりするんですよ。
自分でリノベーションしたい、DIYしたいという人が本当にたくさんいるんです。
そういう人たちにしたら、直しがいのある物件のほうが良かったりするので、そういう物件を安く借りたり買ったりできたほうが助かるんですね。
古さや傷みを理由に登録をためらっている人がいましたら、まずは相談に来てもらいたいです。

しかしやみくもに移住者を増やすのではなく、「こんな人に移住してきて欲しい」という町の人たちのニーズを汲み取ってマッチングしていきたいですね。
ただ空き家を案内するのではなく、町に必要とされている人を紹介できたらな、というのが、これからの課題です。