FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年2月10日放送

今回は『松阪市文化財センター』の学芸員、小林あや子さんがお客様。
とっても広い公園の中に文化財センターがあります。
赤レンガの倉庫を改修して作られた建物はなんだかノスタルジックでいい雰囲気。
そこに、市民ギャラリーとはにわ館があるんです。
はにわ館には、宝塚古墳から出土されたはにわが展示されています。
船形埴輪、家形埴輪、盾形埴輪・・・どれも貴重なものばかりです。

ネボウ工場跡に建てられた『松阪市文化財センター』

ここは昔、カネボウの松阪工場跡で、広い場所が残っていたようです。
現在の松阪市文化財センターの建物も、赤レンガの倉庫を改修して、市民ギャラリーと『はにわ館』という博物館施設になっています。
『はにわ館』という名前だけでは、中に何があるかわからないかもしれませんね。
松阪で出土した、有名な『船形埴輪』がメインで飾られてあるので『はにわ館』という名前が付きました。
松阪市はわりと古墳が多い場所で、県内でも多い方だと思います。
中でも『宝塚古墳』は県内、昔の伊勢平野でも最大級の古墳だったと言われています。
松阪は江戸時代も栄えたと言われていますが、実はもっと前から栄えたんですね。
大きな力を持っていたであろう方のお墓も出土されているということは、やはり古代からこの辺は人が住みやすい場所だったのだろうと、私も思っています。
先週は雪がちらつきましたが、気候は穏やかですし、お魚もお肉も美味しいし、人も穏やかで、今も住みやすい場所だと思います。

 

にわ館の埴輪は想像よりも大きい!

常設展では『宝塚古墳』から出土した『船形埴輪』を中心に、家形埴輪や盾形埴輪など、いろいろな埴輪を展示しています。
埴輪というと、人形っぽいイメージがありますが、常設展には人物の埴輪はありません。
しかし、他の古墳からはみなさんが想像される人物の形や馬の形をした埴輪などが出土しているので、春に展示する予定です。
今は『船形埴輪』の本物が飾られています。
国指定の重要文化財をケース越しではなく、直で見ることができます。
予想よりも大きく、ご来館いただいたお客様からも「大きいなあ」という声をよく聞きます。
常設展にある埴輪は、どれも大きいです。
他の古墳から出た埴輪には、みなさんが思い浮かぶ小ぶりのものもたくさんあります。
そういうのも今後、企画展などで出していく予定です。

 

墳に珍しい『作り出し』

『宝塚古墳』から『船形埴輪』が出たということや、古墳自体の規模がこのあたりで最大級と言われているので、そういう点から『宝塚古墳』に眠っている王様は、当時このあたりで一番権力があったのでは、と推測されています。
その古墳もまた、『作り出し』という特徴的な部分があります。
古墳は葬られる方が眠る場所ですが、『作り出し』は簡単に言うと儀式を行う場所で、次の王様に権力を引き継ぐ場所と言われています。
この古墳には儀式を執り行っていたであろう場所がありました。
現在『宝塚古墳』はみなさんが遊べるように公園としてきれいに整備されていますが、『作り出し』の部分だけは復元してありますので、ぜひ見に来てください。

 

飾品に込められた思いを想像してほしい

装飾品はが身に着けていたり、生前使用していたものを一緒にお墓の中へ入れるとか、その方が葬られるときに手向けられたり、その人の権力を象徴するものであったり・・・思いが詰まっていると私は思います。
なのでこちらに来られたらぜひ、装飾品を眺めながら、昔の人に思いを馳せていただけるとうれしいですね。
今は男女問わずピアスを開けたり指輪したりネックレスをしたりが当たり前となっていますが、それが何千年前の古代から始まっていたというのが不思議ですし、装飾品を身に着けてお守りにしたり着飾るとかいう思いは、何年たっても変わらないということも不思議です。
色がきれいなもの、キラキラしたものが昔の人も好きだったんですね。
いろいろな色の石を材料にしているので、勾玉一つでもいろいろな色があります。
勾玉、管玉が出土品としては多いですね。
管玉は長細い、ストローを短く切ったような形で、ブレスレットのようになったりしています。

 

の企画展は『装飾品』がテーマ

埴輪はとてもきれいだと思いますが、装飾品もまた違った形できれいです。
2月3日から3月18日まで開催の冬季企画展『装飾品、きらり、蘇る』ではメインに金の靴を展示しています。
大阪のアスカ博物館から借用したのですが、写真で見ていたのと、実際にお借りしに行って見た印象が、全然違いました。
やはり自分の目で見てほしいと思います。
履いてみたくなりますよ。
今のデザインではあまりないですね、本当に豪華で。
デザインという観点からもきれいに模様が打ち付けてありますし、形にしても愛らしく可愛らしいですね。

勾玉づくりのワークショップも3月3・4日に開催します。
不思議なことに、この勾玉づくり、男性のほうが熱心に受講される方が多いですね。
きれいな勾玉になるように、一生懸命、石を削って磨くんですよ。