三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年2月18日

多気町に移住してきた北京オリンピックのマウンテンバイク日本代表チームの監督をつとめた西井匠さんが、自転車と地域資源を結びつける町おこしの一つとして始めた『多気町マウンテンバイクの学校』!
勢和の森マウンテンバイクコースも地域の人々と整備をして開設し、マウンテンバイクの国際大会なども開催されています!

子どもたちが自転車を手に楽しそうに集まっているのは、多気町にある『勢和の森マウンテンバイクパーク』。
この日は『多気町・自転車のまちづくりプロジェクト』が主催する『多気町マウンテンバイクの学校』による、マウンテンバイクの練習が開催されています。

 

『多気町マウンテンバイクの学校』の西井匠さんに、この学校についてお聞きしました。

「マウンテンバイクを中心に、子どもたちが元気に外遊びをすることをテーマに、学校を開催しています」

 

勢和の森マウンテンバイクパークは、2013年にオープン。
全長およそ5キロのマウンテンバイクコースです。
手付かずだった里山を、西井さんたちが、みずから汗を流してつくりあげました。

2015年からは、『勢和多気国際クロスカントリー大会』など、全国的な大会も開催され、注目のスポットになっています。

「マウンテンバイクと言うと本格的なイメージがありますが、気軽に子どもが笑顔になれる場所が作りたくて、みんなでがんばって作りました。
なにもなかった山に、北は北海道から南は九州まで多くの選手が集まってここを楽しんでもらったと言うのが、とてもよいインパクトになったと思います」

と、西井さん。

 

『多気町マウンテンバイクの学校』を運営する『地域資源バンクNIU』の事務所にも自転車が。
力の弱い子どもでもブレーキが掛かるようにと修理中。
実は西井さんは、マウンテンバイク日本代表チームのコーチ、監督をつとめ、なんと2008年の北京オリンピックでは監督として選手を率いました。
その後、大学教員や国立系医療センターでの研究職を経て、多気町に移住。
自転車と地域資源を結びつける「町おこし」活動のひとつとして、子ども対象のマウンテンバイク学校をはじめたのです。

 

さてはじまりました、『マウンテンバイクの学校』。
まずは、バランス感覚を養うウォーミングアップ。
自転車に乗ったまま相手と手をつなぎ、足をつかないようにバランスをとりながら、互いにあいさつをします。
簡単に見えてこれがなかなかむずかしい。

 

続いてはじまったのが、自転車の押しずもう。
すもうと言っても他の人に当たったらアウト。
足を地面につかず、最後まで残った人が勝利。
人数が少なくなるにつれ、土俵がどんどん小さくなっていきます。
ちなみに保護者の見学、参加は自由ですが、子どもたちへの口出しは禁止だそうです。

 

身体が十分温まったところで、いよいよコースを走ります。
こちらは低学年のチーム。

 

坂を登りきった場所で休憩と思っていたら、子どもたちは元気に遊び出します。

「あくまでもマウンテンバイクはツールです。
行動半径が広がることによって、こういった場所へも気軽に来られます。
また、風土も感じられる、とても良い遊び道具だと思います」

と、西井さん。

 

「お尻上げるよ、お尻上げて〜」

とはいえ、マウンテンバイクの乗り方もしっかりコーチ。
下り坂はお尻をあげてスタンディングスタイルで乗るのが基本なんだとか。

 

このデコボコしたコースはパンプトラック。
こちらも西井さんたちの手作りです。

 

「僕は滋賀から来ました。
今回で5回目の参加です!」

「マウンテンバイク、全部楽しいです!!」

参加している子どもたちの瞳もキラキラしていますね!
『多気町マウンテンバイクの学校』は、月2回のペースで通年開催。
レンタルバイクもありますよ!

 

『多気町マウンテンバイクの学校』以外にも西井さんたちは、のんびり地域を自転車でサイクリングする『スローサイクリングツアー』も企画中。
この春にはスタートの予定です。

「このエリアの中で、例えばサッカーとか野球のようなメジャーなスポーツではなく、『僕自転車やるよ』と言うようなシーンが生まれてきたらとてもうれしいですね。
今はそこに向けてがんばりたいと思っています。
生涯のスポーツになってもらうのが理想ですし、例えば誰かがオリンピック代表になるという夢を地域全体で見られたらいいですね」

と、西井さん。

何もなかった里山に、コースをつくる。
それは自然とふれあい、楽しむための道筋。
自転車と地域の資源をつなぐ、これまでにない地域づくり。
まだ走り出したばかりです。