松阪市内で、ちょっと変わった取り組みを行っているという美容室『ヘアスペース・ブルーム』へ！
オーナーの西村俊宏さんに、その内容についてお聞きしました。

「『ヘアスペース　ブルーム』では、月に一度、閉店後にさまざまな業種の講師を招き勉強会を開催しています。
理容師の技術向上の勉強会はよくあると思いますが、こちらで行っているのは、理容師が、お客様にどうおもてなしをしていくかの、勉強会ですね。
最初はスタッフのミーティングだったのですが、親御さんから大事なご子息を預かるにあたって、理容の技術だけを伝える、教えるのではなくて、やっぱり人間的にも豊かになってほしいと、このように広がっていきました」

この勉強会は毎回満員御礼！
異業種交流や情報発信の場となっているんです。

ブルームの日常の姿は、地元の人に愛される理容室。

このお店の魅力をお客さんたちに聞いてみました。

「オーナーの西村さんもスタッフのみなさんも、とても気さくで温かくて。
アットホームな雰囲気がとても良いです」

「西村さんがよくしゃべっていて、面白いです」

「働く側からの魅力は、技術だけではなく、たくさんの人お客様とスタッフと関わることによって、自分が磨かれるということ。
西村さんは今までもこれからも自分の見本となる人。
近くにそういう存在がいてくれるのはとてもありがたく、何か迷った時でも彼を見てればわかるような気がします」

と、スタッフの加納和貴さん。

1990年にブルームを立ち上げた西村俊宏さんは、18歳からこの道に入り、理容師としては四代目。
研修会や大学の講義にもお呼びがかかるほどの存在です。
今は、五代目となる息子さんと、4名のスタッフと共に、店を守り続けています。

ブルームの特徴は、なんといってもアットホームな職場。
お昼ごはんと晩ごはんは、代表西村さんの奥さんが用意。
まさに同じ釜のメシを食べる仲間なのです。

「今日のご飯はとても美味しかったと言われると、本当にうれしいです」

と、奥さんの淳子さん。

お店が営業中なので、手が空いた人から順番に食事をいただきます。
後片付けは各自がちゃんとやっておしまい。

午後7時半、11時間にわたる営業がようやく終了。
スタッフのみなさんは、いつもどおり、店の片付けと清掃。
そして、月一度の勉強会の準備をはじめます。

午後9時。
勉強会のスタートです。
遅い時間にもかかわらず、大勢の人があつまりました。

この日の講師は、社会福祉法人の職員、奥村朋美さん。
松阪市内にある、障がい者を対象にしたグループホームで働いています。
しかし彼女の活動は職場だけにとどまりません。
どうすれば障がい者の方がもっと自分らしい生き方ができるか、そしてまわりに理解してもらえるかを模索し、さまざまな取組をしています。

1時間半の講演では、代表の西村さんも参加しての寸劇も織り込まれ、奥山さんが日常接している障がい者の方のこと、そして自分の思いを語りました。

講演が終わったら、おやつをつまみつつの懇親会。
話をした人、聞いた人が、時間が許す限り、わきあいあいと交流、情報交換をします。

「自分が持ってる知識を与えてあげようみたいな感じの勉強会が多い中、この勉強会は、人とのコミュニケーションがいかに大切かを教えてくれるのでとてもおもしろいなと思い、何回も来させてもらっています」

「私はここで2回講師をさせてもらいました。
これから頑張りたいという人を応援するという意味で、人前で自分の考えを話す機会を与えてくれているので、この勉強会や西村さんが、育ててくれているような感じがしますね」

と、参加者のみなさん。

「さまざまな業種の方のお話を聞かせてもらうことで、自分たちのズレやブレを修正していくことができ、お客様との会話がふくらんだり、この仕事以外のアドバイスをしてあげたりすることができるようになりました。
その点では、スタッフにとってもとても良い勉強会だと感じます。
伝統的な理容の仕事にはいいところもたくさんあるので、それを息子が次の世代に継承してくれ、またそれを継承した人たちが次に継承していけるような指導の仕方を、息子を中心にスタッフたちがしてくれたらうれしいですね」

と、西村さん。

要望があればどこへでも・・・
勉強会で講師を招く一方、西村さんも理容師として、さまざまな施設への出張や講演を積極的にしています。
話して、話を聞いて、人の心と地域を動かしています。

みなさんも夜の理容室で勉強をしてみませんか？