FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年5月5日放送

15世紀の終わりごろから16世紀の中ごろにかけて、浄土真宗の寺院を中心として作られた自治都市のことを『寺内町』といいます。
三重県には、津市の高田本山専修寺を中心に、古い町並みが残り環濠という堀で囲まれた『一身田寺内町』があります。
赤門、黒門、桜門、この3つの門が寺内町への入り口。
専修寺の東側、太鼓門の櫓からは町の人達に時刻を知らせる「時の太鼓」が打たれ、明け六つ、午前6時に門が開き、暮れ六つ、午後6時に閉じられました。
今回は『一身田寺内町ほっとガイド会』会長の藤井義昭さんがお客様。
町の紹介をしていただきましょう。

濠の上に土が盛ってあるのは一身田だけ

ぐるりに環濠があり、それに囲まれているのが寺内町。
その中心となるのが、高田本山専修寺です。
東西に500m、南北に450mほどあります。
環濠という堀の中の土を上に盛ってある、法(のり)というのがあります。
それが残っているのは、日本中でもここだけだと思います。
というのも、戦国時代に環濠というのができ、寺内町はその頃からあるのですが、江戸時代にもう一度やり直したため、環濠後がはっきり残っているのです。
今の時代にマッチするような形で。
昔は木造の橋でしたが、今は景観に合うよう色は変えてありますが、素材は鉄筋です。
平成29年の4月に津市で景観条例ができ、赤い建物や奇抜な色、高さ制限もでき、景観の委員会が厳しくチェックしています。

 

の町通りの昔のにぎわい

本山前の大通りを寺町通りといいます。
その寺町通りに沿って1本、奥にある通りが仲の町通り。
今でも専修寺との関わりの中で御用達を掲げる店も多く、商店が軒を連ねています。
まちかど博物館が9軒、お菓子屋さんが4軒あります。
鉄道模型博物館、衣装の関係を展示しているところ・・・そんなところかな。
お菓子屋さんが多いですね。
中でも『春乃舎』さんと『たけや』さんは、お七夜さんの時に行列ができるおまんじゅうやさんで、特にお客さんが来ます。
『岡田屋』さんも含めて、昔は1年間の収入を7日間で上げられたと聞きました。
今年は3割ほど・・・3000人ほどアップしたそうですよ。
昔は遠いところ歩いて、山を越えて来る人もいたそうでう。
その頃はサーカスや食べ物屋さん、おもちゃ屋さん、土産物屋さんなど、たくさんあり、ここへ来ると行列が来て、押しあいへしあいだったそうです。
それが楽しみで来ていたんでしょうがね。
年間行事では、4月8日の山門上部に安置されている釈迦三尊仏へのお参り、それから11月に開催される寺内町まつりなどがあります。

 

和7年から昭和17年までに20本もの映画の撮影が行われた

京都から1時間半くらいで寺内町に来られたため、昭和7年〜17年までに、20本ほどの映画が撮られました。
その時の俳優さんは阪東妻三郎さん、大河内伝次郎さん、市川右太衛門、長谷川一夫、嵐寛寿郎、榎本健一。
女優さんだと田中絹代さんなど、たくさんの方が見えました。
榎本健一さんや嵐寛寿郎さんの鞍馬天狗は、舞台はここではありませんが学生時の時代に観ました。
阪東妻三郎、三國連太郎、三船敏郎などが、太鼓門のところから人力車で走るシーンが、今でも思い出されます。
日活か大映関係かな。
松竹もありましたね。
本山の方だと、『江戸の朝霧』、黒門の傍だと、丹下左膳の関係の『百万両の壺』、『番町皿屋敷』は山門前で、長谷川一夫で撮っていますね。

高田本山専修寺の御影堂と如来堂が去年、国宝に指定されました。
境内の藤の花も見ごろを終え、少しすると蓮の花の時期を迎えます。
緑の美しさに心を寄せ、人々の優しさに癒される、それが『ほっとするまち 
一身田寺内町』です。
ぐるっとまわると60分。
お店を見て回ると90分くらい。
それくらい見てもらえると満足してもらい、またもう一度来たくなってくれると思います。