FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年5月19日放送

今回は、伊賀の名物『かた焼き』を作っている小澤製菓の小澤基応さんがお客様。
小澤製菓の創業は昭和40年。
三代目の基応さんは昔ながらの作り方で、一枚一枚、丁寧にかた焼きを焼きます。
小さな小槌でせんべいを割れば、香ばしい香りが漂い、懐かしい味が広がります。
まずは、かた焼きの歴史について教えていただきましょう。

枚焼くのに40分! 忍者の携帯食をアレンジ

戦国時代に、伊賀忍者が携帯非常食として使っていたと言われていますが、昔は小麦粉を丸めた簡単なものだったそうです。
伊賀名物を何か作ろうとなった時、伊賀忍者の携帯非常食と、刀のツバをかけ合わせて、最初は『ツバ焼き』という形で売られていたようです。
全国に広がっていくうちに、硬いから『かた焼き』と呼ばれるようになったと聞いています。
通常の煎餅なら、だいたい1分ほどで焼きあがりますが、かた焼きは1枚を焼くのに鉄板の上で40分ほどかかります。
まんべんなく何遍もひっくり返し、上に木の板を乗せて、重しにします。
焼き終わったら水分を全部飛ばした状態になるので、固くなります。
かた焼きは表面だけ焼き上げたところで意味がないので、とろ火でまんべんなく水分を飛ばして焦がさず・・・気をつけています。

 

麦粉と砂糖のシンプルな味

原材料はシンプル。
小麦粉と砂糖、あと炭酸(重曹)のみ。
『へそ』という、かた焼の中心にゴマをつけたり青海苔をつけたりするくらい。
単純やけど、職人さんが一枚一枚焼くのに時間がかかって、誰でも焼けるわけでもない。
個人差もありますが、焼けるようになるまで1年ほどかかります。

 

槌で、口の中に入るサイズに割ってふやかす

日本一硬いせんべいと言われていますが、一応、歯が生えていなくてもおしゃぶり代わりにと買ってくださる方もいます。
高齢の70代、80代の人にも買っていただくことが結構あります。
本来の食べ方は、500円玉ほどの大きさの、口に入る大きさに割ってもらって、口の中で飴のように舐めてふやかしてからポリポリと咀嚼します。
歯の強い方は、そのままバリバリと砕いてくれますが、歯の弱い方や年配の方は、かた焼きをお茶に浸して食べるみたいですね。

 

在のかた焼は、ほんの若干やわらかめ

昔から買ってくれる方もたくさんいますし、三代目となる僕の代になってからも来てくれる人がけっこういます
創業60年を超えまして、昔ながらの味を守りながらも、時代に応じた商品も作っています。
アーモンド煎餅やかた焼き、大きさを変えたりして作っています。
大きい方が話のタネになるので、30cm弱の大きさのを早食い競争で・・・など、イベントなどでけっこう使ってくれたりします。
ものすごい力がいるので、私以外作れませんが、個人の集まりやサークルなどの関連で使ってくれているみたいです。
普段は販売していませんが特注で作っています。

まだこれからですが、手裏剣型なども作っていきたいと思っています。
実はこの『かた焼き』、昔より若干やわらかく、食べやすくなっています。
「昔のほうが硬かったよ」なんてことも、たまに言われます。
柔らかすぎたらかた焼とは呼べないので、本当に若干です。
まだまだ『かた焼き』を知らない人もいますので、みなさんに知っていただけるようにしていきたいですね。