FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年7月14日放送

今回は伊勢市にあるちょうちん店『岩田合資会社』の岩田茂男さんがお客様。
創業は嘉永5年、160年以上の歴史をもつ老舗の提灯店です。
戦前、伊勢市内には10数軒の同業者がありましたが、現在は岩田さんのお店のみです。
照明器具の1つとして祭礼用や装飾用に生産されてきた提灯を昔ながらの製法で作っています。
提灯を作る作業は岩田さんと奥様の2人。
提灯屋さんが少なくなり、ほかの地域からの注文も多くなりました。
特色ある提灯は、文献などを調べながら作っています。

灯店が少なくなり伊勢市内では1軒だけ

三重県でも、津も松阪も提灯店はなくなりました。
桑名と四日市にはまだあるかな。そんな程度です。
年々減っていますね。
最近ではお祭りにもあまり提灯を使わないので、小学校か中学校くらいが一番忙しかったですね。
町の中で使うことが多かったですね。
それと商店などで個人的に作ったこともありましたね。
最近ではお祭りにも、個人があまり提灯を使わなくなりましたね。
二見では土産物屋や旅館が、それぞれの意匠の提灯をずらりと軒下に吊っていますね。
種類としては形と大きさの組み合わせで、だいたい200くらい。
値段表もあるんですけど、なかなか覚えられません(笑)。
形は丸型となつめ型というちょっと長めの提灯・・・それが基本です。
ひょうたん型とかもありますが、ほとんど使いません。お店の前に吊るす飾りぐらいですね。
基本は丸型となつめ型です。

 

や北勢地域は提灯に絵を描くところが多い。

提灯というのは大きさと形でそれぞれ木型があります。
長いのは長い木型、丸いのは丸い用の。
木型を組んで、ヒゴや針金に紙を巻いたものを巻きつけていって、紙を貼ります。
みんな手づくりです。
時々絵を描いてほしいという注文がありまして、そうすると1週間ほど悩みます。
久居の方や四日市あたりでも絵のついた提灯を作ります。
この近辺では、幕の絵を描くことも多いですね。
津から北西は昔話のような絵を描きます。
神話や忠臣蔵などですね。
津や松阪方面は、昔は裕福な家が多かったため、凝った提灯を作っていました。
関町で提灯を作ったことがありますが、それは黒い輪っかに金属の飾りをたくさん付けたものでした。
絵の経験はあまりなかったもので、美術全集を買って自分流に勉強したこともありましたね。

 

い提灯は腰につけたり、お木曳車に飾られたり

お木曳、お白石持ち行事など奉曳団を彩るのもうちの提灯です。
地元、船江のお木曳車にもたくさんの提灯が飾られています。
腰につけて歩く細長い提灯も多いですね。
細長い提灯は『吉原』というんですが、それを御木曳車のまわりにずらっと付けて飾ります。
意匠を凝らしたもので、それはうちが考えたものが多いですね。
やはり提灯をずらりと付けているとキレイなもんです。
提灯は祭りの雰囲気を盛り上げるためにあるものですし、また、各家庭でおの盆の時期に提灯も大事です。
お祭りの提灯、お盆の提灯、それから結婚式で使う提灯・・・昔は3種類か4種類は各家にありましたが、今ではそんな家は少ないですね。
まちなかを通っても提灯ってなかなか見ませんもんね。
写真を見てもらって、「こんな提灯があるのか」と認識新たにしてもらっています。

 

師町は、華やかで豪華な提灯が好まれる

明和町、伊勢では村松、有滝、鳥羽志摩方面の漁港はやっぱり派手ですよ。
提灯は上の輪っかと下の輪っかの大きさが違うので、抑えたときに小さい方が抜けることがあるんです。
それを防ぐために中に合紙という紙を入れるんです。
今度はナフタリンも一緒に入れて、それをビニールに入れて口を縛って保管してもらいます。
玄関に飾ったり、床の間に置いたり。
雰囲気を盛り上げるためにいいわけです。
華やかな感じが出ますでな。
ここにあるのは上がピンクで真ん中が白で、下が緑の、ぼかしとなっています。
これはちょっと難しいんですけど、いつも意匠を考えています。
そしてやっぱり丁寧に作ることが大切。
長いこと使ってもらえるよう、丈夫なものを作ることを心がけています。