『ミエてくる!』2018年7月11日

「くまのプチ歩き旅 その5」は、暑い真夏でも歩けるファミリー向けコース、「楯ヶ崎トレイル」をご紹介いたします。熊野の真夏はジメジメして暑い、藪っていないか心配・・・温暖で多種多様な自然をはぐくんでいる熊野ならではの時々聞かれる夏のナヤミ。
しかし、このルートは全行程にわたってしっかり整備されており、また千畳敷を除くほぼ全区間が木陰になっています。
強い太陽光線下の熊野の海はひときわ青さを増します!

楯ヶ崎トレイルの起点は、熊野尾鷲道路賀田インターから熊野方面に約15分走ったところにある国道311号沿いの駐車場となります。
高台にある駐車場からはこれから歩く自然林の森ときらめく真っ青な海が眺められ、高揚感沸いてきます。
駐車場にトイレはありませんが、熊野方面へ数百メートル進んだ場所に公衆トイレがあります。

駐車場のすぐ西側からトレイルに入り、しばらくは木段の下りが続きます。木々越しに、遥か下方からの力強い波の音が聞こえてきます。木段を下りきると、道は非常になだらかになります。幅もしっかり取られていて歩きやすく、口笛吹ながらスキップしたくなります♪

 

自然林に囲まれた歩きやすいトレイル
所々に距離道標もあります


やがて、石段の急な下りとなります。海抜すれすれまで下りきると、樹叢に囲まれた小さな神社が見えてきます。
神武天皇の三兄、ミケイリノミコトが祀られている阿古師(あこし)神社です。
海に向かうようにして設けられている鳥居は、まさに古来熊野の神社の姿そのもの。鳥居の外側から続く防波堤の先から見える海の青さは、まさに“クマノ・ブルー”と呼ぶのにふさわしいもの!
透明度が非常に高く、真っ青な熱帯魚が泳いでいるのが確認できます。
魚の観察、近くの岩場でのちょっとした探検など、何時間でも居られてしまう心地よい場所です。

 

阿古師神社

 

海に開かれた鳥居

 

防波堤の先から見える海

 

いつまでも居たくなる・・・

阿古師神社を後にします。
「楯ヶ崎0.9km」の道標に従い、トレイルに入るとしばらくは石段の登りとなりますが、すぐに道はなだらかに。
徐々に楯ヶ崎半島の外側にさしかかり、沿道からは外海独特の荒々しい波の音が聞こえ始めます。
巨岩、そしてそれらに巻き付く巨大なツタのある光景はまさに原始熊野の姿。

 

まだまだ続きます、歩きやすい道

道なりにトレイルを歩いて行くと、分岐が見えてきます。
どちらへ行っても目的地の楯ヶ崎展望所である千畳敷に行くことができますが、左側の道は断崖の真下に恐ろしいほど深く、青く、そして美しい熊野灘を目にすることができるので、ぜひこちらは通ってみてください!

左側の道を取り、階段を登っていきます。
周囲には巨大なクスノキをはじめ、ヤマモモやシイなどの大木がそびえています。
運がよければこのあたりでシカに出会えるかもしれませんよ。

階段を上りきると尾根に出ます。
左側には吸い込まれんばかりの真っ青な熊野灘にしばらく見とれてしまいます。
非常に高度感があるので、高所恐怖症の方は注意を。
そうでない方も、くれぐれも転落はしないように・・・・・。

 

左側眼下に熊野灘を臨むトレイル

 

その下の海
人工物が何も見えず、きっとこれが古来からの姿


尾根沿いに進んで行くと、間もなく何もさえぎるものがない千畳敷に出ます。
千畳敷の先には、今号のタイトルにもある楯ヶ崎がデデーン!!!とその図体を現します。
車が走る道からは決して見ることができず、頑張って歩いてきた者のみがその姿を拝見することができます。
この楯ヶ崎の正体は、「柱状節理」と呼ばれるもの。はるか大昔には火山帯だったとされる熊野、海底から隆起してきた際に溶岩が急速に冷えて収縮し、縦方向に六角形状の筋が入ったものです。
その姿から、海底からそそり立つ楯を思わせ、楯ヶ崎との名が付きました。海面からの高さは67メートル!

 

これが高さ67メートルの楯ヶ崎!

千畳敷はとても広く、休憩やお弁当には最適!
岩壁の方へ行くと、釣りをしている方の姿も見られます。
岩場も安定していてついつい綺麗な海の方向へと引き込まれがちですが、周囲は穏やかな天候の時でも高波が随時押し寄せてくる場所、あまり下の方には行かないようにしてくださいね。
また容赦なく直射日光の照りつける場所ですので、夏場の暑さ対策も万全にお願い致します。(おそらく、真夏のここでは、目玉焼きが焼けるのでは・・・と思えるほどに暑い)

千畳敷には目立つ人工物としては真っ白な灯台が真っ先に目に入ります。
この灯台は『二木島灯台』といい、昭和28年11月に初点灯され、沿岸にある多くの灯台とともに、日本国内でも有数の難所である熊野灘を航行する船を見守っていました。

 

千畳敷

 

千畳敷から眺める熊野灘
はるか彼方には、和歌山県の新宮、勝浦方面まで!

 

二木島灯台

 

海上から眺める灯台と千畳敷

帰りは同じ道を辿りますが、先ほどの分岐までは、尾根ルートとは反対側のトレイルを歩いて行くこともできます。(ただし、千畳敷側からの入口は少々わかりにくいです)
分岐を過ぎた後は、行きと全く同じ道を歩いて駐車場へと向かいます。
駐車場に着いた後、海をぜひ見てみてください。
行きの時とはちょっと違った色をしていますよ。
太陽の光がさす角度によって全く違う色を放つ熊野の海、水質が非常によく、澄んだ海だからこそわかる違いです。