FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年8月4日放送

今日は、多気町にある料理教室『だんだんキッチン』の代表、大須賀由美子さんがお客様です。
大須賀さんの料理教室のテーマは「生きる力をつける」。
4歳からの子ども料理教室と、お母さんのための食育教室を開いています。
そして、新たに防災のことを考え、もしもの時の備えを習慣にしてもらうための『ソナエノゴハン』教室が始まりました。
未来につながる防災を受講されるみなさんに伝えています。

事な人たちを失いたくないから防災のことを考えた教室

これまでは子ども向けに『だんだんキッチン』を行っていましたが、新たに『ソナエノゴハン』という教室をはじめました。
このあたりだは南海トラフと言われている中で、ひどい災害が起きた時にどうしたら助かるんだろう・・・という思いから、助かりたいというメッセージをきちんと発せられるプログラムを作りました。
それにしても、今まで開催してきた子どもの料理教室も、この防災料理教室も、全部子どもから出ているような気がします。
私が阪神淡路大震災を経験した時に、地震が本当に恐ろしく、人間の力ではどうにもならないことを実感しました。
その経験があり、三重に移住してくる時に南海トラフがあることを知り、怖かったんですね。
ちょうど子どもが生まれたばかり。
私だけでも怖いのに、この子をどうやって守ったら良いのかと。
それが原点みたいなものです。
実際に三重に越してくると、子育てが初めてで大変な中、たくさんの人に支えてもらいました。
その周りの方が、「この辺は大丈夫やろ」「今までなかったし」と言うんです。
いや、絶対危ない、絶対危ないです。
大好きな大事な人たちですが、そうやって「危ないよ」と言っても、なかなか聞いてもらえないんですよね。
じゃあどうしたら聞いてくれるかを考えた時に、『食』かなと。
作りたくなるような食事を紹介したりすることから、防災に目を向けてくれるプログラムを組んだら、みんなが助かってくれるんじゃないかなと。
全部ひも解いていくと、子どもに行き着きますね。

 

める防災・続ける防災

ただ「怖い怖い」だと、人って動かないんですよね。
その時の「怖い」だけで終わっちゃうようで。
始めてもらわないと意味がないし、続けてもらわないと意味がありません。
続けたくなるようなプログラム内容にして、講座の最中は「美味しそう!」「こんなに簡単にできるの!」という感じで進行し、その中に怖い話も盛り込みます。
「これ、ほんま危ないねんで!」って(笑)。
そういう話もして、講座全体を通して、備えが必要であるということと、その日から始めようと思ってもらえるようにしています。
興味があることってグイグイ引き寄せられますし、『食べる』ことの力って大きいですよね。
「美味しい」があったり、食べ物で元気になれたりするので、それをツールにして、少しでもみなさんに届くような工夫をしていきたいと思っています。
また、自分が住んでいる地域について調べてもらい、土砂災害が起きる危険があるなら、大雨が降ってきて避難準備情報が出たら本気で逃げるとか、そういった対策を考えておくことです。
逃げる以外の具体的な対策としては、お水の備蓄が大切だと思います。
今回も、炎天下でとても長く並ぶという状況となっていますね。
ちょっと前までは3日分の食料備蓄をしましょうと言われていたんです。
でも今は、1週間したほうが望ましいと思います。
1週間分あれば、お水ももらいに行かなくてもよいし、スーパーが開いたからと走っていかなくて済みます。
これだけ災害が起きている状態になってきたら、自分で自分を守るために、そのくらいの備蓄はしておいてほしいですね。

本当にしんどい時に温かいものを食べられたら・・・すぐには元気にならなくても少しずつ元気にしていってくれるんじゃないかなと思うので、私は食べ物の力を信じています。

 

敗をリカバーする力も教えていきたい

『だんだんキッチン』の子ども料理教室は、小学6年生まで。
料理を上手にすることだけでなく、相手を思いやる気持ちや自分たちで考えて行動することも身につけていきます。

『だんだんキッチン』の根幹は、子どもたちが生きていく力をしっかり付けてほしいという気持ちです。
そこが絶対ですね。
ただ、子どもたちと接していると、もっといろいろなことが見えてきます。
スターとして5年目、現在は月に40人来ているので、のべ人数や回数にするとかなりのものとなっています。
今の子どもって、極度に失敗を恐れる傾向があるように感じます。
例えばガスコンロの火にしても、みんながしょっちゅう点けているのを見ているので、なんとなくわかっているんだけど、どのスイッチを押すのかがわからない。
そうするとガスコンロの前で止まっちゃうんですよ。
「スイッチを押してごらん、爆発しないから」と言っても止まっちゃう。
失敗ですらないと思ういますが、その子にとっては失敗で、とても怖いことなんです。
でもね、ここでする失敗なんて、全然大したことじゃないんですよ。
キュウリの形が違うとか、焦げかけたとか。
形が違っても食べられるし、焦げは取ったらいいし・・・失敗も大事だし、それをどうリカバリーするかも大事です。
社会に出たら失敗するし、失敗だらけです。
でもそれを恐れていたら進めないので、失敗を恐れないということを少しずつ教えていけたらなと思います。
子どもの個性にもよりますが、最近意識して伝えるようにしています。

 

セットコンロの使い方や常温保存できるサラダ作りで防災意識を

毎月メニューを決めていく中で、同じようなメニューは避けています。
さらに数ヶ月に1回、防災にも役立つようなメニューを入れようにしています。
完全に防災じゃなくて、例えば、今月はフルーツ入りの寒天を作ったのですが、缶詰を開けるのも体験の一つです。
6月は毎年『まごわやさしい』というプログラムをして、常温保存できる食材だけでサラダを作りました。
サラダも災害時に使えるようにナイロン袋で作ります。

「大きな地震があったけども、みんなのお家は建っていました。
お家の中で料理ができます。
だけど大きな地震があったらどんなことがあると思う?」

・・・と聞くと、子どもたちは電気・ガス・水道が止まったと言います。
お水はペットボトルのお水を使うしかないよね、と。
ガスはカセットコンロを使ったことがない子もいるし、持っていない家もあります。
が、これは絶対に持っていてほしいです。
見せて、使い方を説明します。
電気が止まったら、冷蔵庫の中のものも悪くなります。
すぐには腐らないけど、1週間くらい食べるとしたら、冷蔵庫に置いておかなくても良いもので作るしかないよね、と。
そういう話をすると、とてもわかり易いみたいです。
子どもってリアルに想像するらしく、すうっと入っていきますね。

助かる人を増やしたい・・・そのためにも、『そなえのねっこ』を多くの人に伝えていきたいです。