三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年8月12日

いなべ市藤原町でマンダリン、ギター、ウクレレをつくる楽器制作家 八田淳史さん。
八田さんは楽器づくりの専門学校を卒業後、岐阜県大垣の工房で修行を積み、自身の工房Hatta Worksを9年前開きました!
八田さんのつくる楽器はプロのミュージシャンからも注文を受けるなど評価を高めつつあります!

八田淳史(はった・あつし)さん、38歳。
マンドリン、ギター、ウクレレをつくる楽器製作家です。

 

八田さんは楽器づくりの専門学校を卒業後、岐阜県大垣の工房で修業を積み、9年前に生まれ育ったいなべ市藤原町に、自身の工房『HATTA works 』を開きました。

 

八田さんのつくり出すマンドリン、ギター、ウクレレは、東京の楽器店に送られ店頭に並びます。
また、プロミュージシャンから直接オーダーを受け、全国ツアーで演奏されることも・・・。
三重県では数少ない楽器制作家です。

 

「高校時代にバンドをしていたので、ギターなどの楽器に興味があり、進路を決めるに当たり楽器製作という道があると知り、そちらに進みました。
気をつけているのは、こだわりを持たないようにすること。
こだわりをは、それなりの技術や知識や経験がある人が持つと良いものが生まれますが、自分はまだ、そこまで至ってないので、あまりこだわりを持ち、決めてしまうとひり刈りがなくなると思うんです。
なるべくこだわらずにいろいろなものを使っていろいろなことをしたいですね」

と、八田さん。

 


楽器を作る工程は、部品部品を最初に削り、トップ、サイド、ネックなど、それぞれのパーツを作り、組み立てていくという作業です。
八田さんの楽器製作は年間20〜30本。
すべての工程を、すべて一人で行います。

 

こちらが完成したばかりのギター。
製作期間は、およそ3ヶ月。
このギターも、翌日には注文した方へ送られるそうです。

「工房にあまり楽器がないのは、試奏品を置かないからです。
今、試奏用として作ったとして、たとえば1年後には自分も成長しているので、その試奏用より、良いものができるはずなんです。
そうなると一年後に来たお客さんに、一年前の自分の楽器を見せるのは失礼なると思うので、あまり試奏用の楽器は作ることができないんですね」

と、八田さん。
楽器作りへの真摯な思いと、注文してくれるお客さんへの誠実さがうかがえます。

 

昼食は工房のある自宅で、お父さんお母さん、奥さんと息子さん、そして夏休みなのでお兄さんの子供もいっしょに。
賑やかな食卓です。

 

息子さんのお仕事を見て、どう思われますか?

「自分の好きな道をやっているからそれはそれで良しだし、お嫁さんが来てくれたのがとても嬉しいですね」

「僕も昔ギターを弾いていたので、息子が楽器製作をすると聞き驚きましたが、自分の好きなことをやるんだからいいかなと思います。
でも、ご飯食べて、生活していくのは大変だと思うよ。
フフフ、まあ頑張ってもらわないと」

と、ご両親。

 

続いて訪れたのは、岐阜県大垣市にある、安川直樹さんの工房。
八田さんの楽器作りの師匠であり、日本のマンドリン作りを代表する1人。
八田さんは楽器制作の学校を卒業後、こちらで修業。
今も週に一度はこちらに通い、師匠の作業を手伝いながら勉強しています。

 

こちらが安川さんの作品です。

 

「作られた楽器の評価は、お客さんの評価が自分の評価になるということ。
(法多山の楽器が)楽器屋さんからの評価も良いと聞いているので、上昇カーブを行ってるんじゃないでしょうか」

と、安川さん。

「フフ、嬉しいです」

と、八田さん。

実はこの日、うれしい偶然が。
師匠の工房に修理に入っていたのは、こちらで八田さんがはじめて師匠に出会った時に、作られたマンドリンでした。

 

桑名市のビジネスホテル『ビーエル桑名』で奏でられる、八田さんのウクレレ。
こちらのオーナー佐野康治さんは、八田さんのことを新聞記事で知り、オーダーメイドで注文しました。

「やはりもう、自分のあの望み通りの形になったので、愛着がわきます。
弾き心地もとても良いですね」

と、佐野さん。

 

「スタンドを柄が良いという話だったので、ウクレレということもあり、モンステラというハワイの植物を入れました。
ハンドメイドなんでそもそも1本だけですが、世界に一本の佐野さんのオリジナルです。
作らせてもらって、いろいろな所にチャレンジできて良かったです」

と八田さん。

「夢はずっと楽器を作ること」と語る八田さん。

「名が残るのは死んでからだと思います。
楽器は修理すればいつまでも使えるものなので、死んでも楽器は残ってそのブランド名が残ればいいかなと思っています」

夢は海を越え、時を越えるに違いありません。