三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年8月19日

藤堂高虎により築城され、天空の城として注目をあびる赤木城跡の周囲に広がる紀和町西山地区は、急激に過疎高齢化
住民のうち65歳以上が7割を超えます。
そんな西山地区の地域の課題解決につなげようと、『赤木城とふるさとの会』が中心となり始めたのが『国際ワークキャンプin熊野』!
海外や都市部からボランティアを受け入れ、地域に滞在して住民と交流する中で、新しい可能性を見出していこうという試みです!

藤堂高虎によって築城され、天空の城と注目を浴びる赤木城跡。
その周囲に広がるのが西山地区。
5つの集落から構成される地域は、すべてが標高200メートル以上。
過疎高齢化が急激に進み、現在の高齢化率は75.5%。
全国平均の3倍近い数字です。

 

そんな西山地区に、海外や都市部からのボランティアを受け入れ、地域の課題を解決しようと、昨年からはじめられたのが、『国際ワークキャンプin熊野』。
今年は2018年8月1日~10日開催。
世界から集まった仲間が紀和町西山地区に滞在し、住民と一緒に地域のために働く合宿型ボランティア活動で、地元の人と交流し、そして新しい可能性を見出していこうという取り組みです。

 

みんながやってきたのは、赤木城跡。
これからここで、ボランティア活動を行います。
国際ボランティアのみなさんは、本当にさまざまな国からやってきてくれました。
イタリア、メキシコ、スペイン、ベトナム・・・そして都市部に暮らす日本人も5人。
16才から23才の、なんとも力強い助っ人です。

 

ボランティアのみなさんが熊野に入ったのは前日で、今日がはじめての作業です。
まずは、赤木城跡の階段の補修。
台風や大雨で流され、えぐれてしまったところに土を入れていきます。
ボランティアのみなさんは、この西山地区に10日間滞在し、赤木城跡の補修の他、トイレや東屋の塗装など、地域の人といっしょになり、そして地域の人に教わりながら作業をしていきます。

 

国際ワークキャンプの受け入れを提案したのは、集落支援員として活動する外園淳一さん(左)。
それに応え、地域の取り組みとしてすすめたのが、平谷地区区長で赤木城とふるさとの会会長の、福岡淳史さん(右)。
この2人の思いが、今年で2回めとなる国際ワークキャンプの開催につながりました。

「私は東京生まれで5年ほど前に『地域おこし協力隊』として西山地区に来ました。
自分が大学生の時代の時に、国際ワークキャンプに参加していたことが良い経験になっているので、ぜひこの地でもしたいと思い、福岡さんに相談をして始めることにしました」

「国際ワークキャンプは全然知りませんでした。
わかっていたのは外国人と日本人のボランティアが5人ずつ来てくれるということ。
最初に二人で話し合ってから引き受けようと決めました。
去年は隣のおばちゃんたちが、野菜をいっぱい持って来てくれたんですよ。
僕よりも周りの人の方が刺激になったんじゃないかなと思いました」

と、福岡さん。

ボランティアも地元の人たちも刺激を受ける国際ワークキャンプ。
国境や世代を越えた交流が一番のポイントのようです。

 

「最初はちょっと難しかったけど、みんなで一緒にやれるんでがんばりました。
バルセロナに住んでいて、いつも同じことをしているので、新しい経験をしたいと思いました」

スペインから来ているぺぺさんはとても日本語が上手。
2年前から日本語を学んでいるそうです。

「異文化の人と触れたいし、それで町の力になれればなと思ったんで来ました」

と、東京都から来た佐藤巧人さん。

 

「緑がいっぱい広がっていて、空気がきれいで、自然と触れ合いながら地域に貢献している感じがします。
自己満足かもしれませんが、楽しいです」

と、東京都から来た工藤海斗さん。

「普段都会に住んでいる自分ができないことをして視野を広げたいと思い、来ました。
田舎の現状など、都会にいたら見えないことを自分の目で確かめたいです」

こちらも東京都から来たという砂山遼太さん。

「私はリーダーなので準備の段階から地域の方と関わることあったんですけど、このキャンプに賭けるみなさんの思いがとても熱くて、それに応えなければと思っています」

と、今回のリーダーである、水野綾香さん。
彼女も東京からの参加です。

 

階段を補修したあとは、春には桜が彩る城の主郭から、南郭にかけての草集め。
事前に地域の人が草刈りしたものを、みんなで集めます。
簡単な作業ですが、広いので大変。

最後はみんなで集めた枯れ草や枯れ枝を回収。
これが重労働。
国と世代を越えた共同作業でやりきります。
ここでは兵庫県から参加の冨永蒼樹さんもがんばっています。

 

地域おこし協力隊を卒業後、一度は西山地区を離れ、兵庫県で仕事をはじめた外園さん。
その後、脳腫瘍が見つかり手術することに。長期入院になりました。

「入院している時に、この地区のみなさんがわざわざ伊勢の病院までお見舞いに来てくれて、早く帰ってこいよって言ってもらえて本当に嬉しかったです。
この地で何かしたいというのは心の奥底にあったので、病気が治ったタイミングで帰ってきました」

 

西山地区のみなさんに恩返し。
外園さんは集落支援員の傍ら、これまでのネットワークを使って特産品の開発をするなど、さまざまな取り組みをはじめています。
『ほろ酔い姫』は、市特産のかんきつ類『新姫』と、県内産日本酒を使用したパウンドケーキ。
2018年9月から発売予定です。

 

ボランティアのみなさんは、作業で火照った身体を近くの小川でクールダウン。
もう見なくなった、古き良き日本の風景がそこにありました。

 

この日の夕方。
ボランティアのみなさんが宿泊している公民館に、地元のひとたちも集まり、歓迎会。
地元の猟師さんがとってきた鹿肉や猪肉がふるまわれます。
地域に暮らし、地域の人とふれあい、地域に溶け込む。
これが国際ワークキャンプの魅力です。

 

「みんなに助けてもらって、ほんとうにありがたいです。良かったです」

「もう年寄りばかりなので、若い人が入ってくれると賑やかだし、力仕事も頼めるのでありがたいです」

「ここは過疎地なので、ずっとこんな人がいてくれたら、とても嬉しいです」

と、地元のみなさん。

国境を越え、世代を越え、
赤木城とふるさとの会のみなさんがはじめた、新しい取り組みと交流。
この濃密でまばゆい体験は、新たな可能性を切り開いてくれるに違いありません。

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