三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年9月2日

志摩市の『立神真珠養殖漁業協同組合』は、全国でもいち早く真珠の生産から加工、販売までを担う六次産業化に取り組んでいます。
平成24年に、組合の女性職員と養殖業者の奥さんを中心に「女子部」を結成。
女性目線を活かした商品開発に取り組む他、イベントなどで真珠を使ったブレスレット作り体験を行うなど幅広いPR活動を行っています!


リアス海岸で有名な英虞湾の最奥部に位置する、志摩市の立神(たてがみ)地区。
その地形は真珠の養殖に適し、古くから真珠養殖を地場産業として栄えてきました。

 

こちらは真珠養殖業者『井上真珠』の加工場。
真珠の核入れ作業中のようです。

核入れはアコヤガイにメスを入れ、核とピース(細胞貝)の切片)を移植。
その後、ピースが溶け出し真珠層が形成されます。
細胞を採る位置によって巻きが違ったり、羽根の生えた真珠が出来たり、また珠が黒くなったりするそうです。
核入れの時期は5月上旬から7月いっぱい。
この時期は仕事師さんに来てもらい、計10万個ほどの核入れをします。
しかしすべてが真珠になるわけではなく、多いときは7〜8割の貝が、核を入れた時点で吐き出してしまうとか。

 

作業を終えた貝が、基地のイカダに吊るされていると聞いて、『井上真珠』の井上光さんに見せていただくことに。
核入れ直後は真珠貝の体力が弱まるため、こうして波の静かな湾内でしばらく養生させ、それから沖へ出すのだそうです。

海水の温度が高い夏は水温が2℃ほど低い的矢湾に貝を移動させ、水温が下がる秋に再び英虞湾に戻す、貝廻しの作業をする等して美しい真珠層を形成します。
そして海水温の下がる冬、沖に出していた貝を引きあげて、真珠の採集作業を行います。

 

『立神真珠養殖漁業協同組合』では、真珠の養殖だけでなく、より身近に感じてもらうために平成24年『女子部』を結成。
真珠の養殖だけでなく、加工、販売も手がける六次産業化に取り組んでいます。
この試みは全国的にも珍しく、各地の漁業関係者の注目を集めています!

 

『立神真珠養殖漁業協同組合』の事務所には、女子部のみなさんが販売している真珠のアクセサリーがディスプレイされています。
たくさんの種類がありますよ!

 

冠婚葬祭で使われるオーソドックスなものや、女子部オリジナルの作品。
18金の金線を使ってメガネ留めし、順番に組み上げたものも、女子部の森口弘美さんの手作り。

 

真珠としては2級品でも、こうして活かすと可愛らしく、素敵な商品となります。
これらも女子部のみなさんが相談しながら作ったもの。
これらの商品は直接買いに来てもらう他、『立神真珠養殖協同組合』のHPでも販売。
女子部の人たちが自信を持って選んだ真珠を販売しています。

六次化産業に取り組むきっかけは2008年のリーマン・ショック。
その影響で翌2009年に真珠の価格が暴落し、生産者が転業したり廃業したりする事態となりました。
組合の存続が危ぶまれ、収入源を増やそうとの危機感から六次化となったそうです。

 

最初は森口さん一人が六次化に取り組んでいた所、生産者の奥さんが協力を申し出、現在に至っているとのこと。
生産者の奥さんが女性目線で直接ユーザーに商品を紹介できることが、女子部の一番の強みです。

「一人のときは自分のアイデアしかありませんでしたが、女子部ができたことで、いろいろな意見が出てきて話し合いながら進めることができるようになりました。
苦労していたのが、楽しくなりましたね。
やはり自分が素敵と思わないと手に取ってもらえないので、女子部のみんなで素敵と思えるものを作っています」

と、森口さん。

 

夕方、女子部のみなさんが、組合の事務所に集まってきました。
新商品のサンプルを手に、みんなで意見交換。
『立神真珠養殖漁業協同組合』の女子部は、組合職員の森口さんと、真珠養殖をしている家の奥様たちを中心に運営しています。

 

また、真珠を使ったブレスレットを女子部のメンバーで製作し、イベントで販売する他、各地のイベントに出向き、真珠を使ったブレスレット作り等体験教室を開催し、真珠のPRに努めています。

「地元のイベントはもちろん、関東へ行くこともあります。
子どもさんから大人まで、楽しんでいただける体験となっています」

と、森口さん。

 

「とても良い息抜きです。
家の仕事が忙しいですが、ここへ来られると思ってがんばってきました。
私がわからないことを教えてくれるし、楽しいです」

と、谷口恵美さん。

「みんな仲が良いですね。
とても気の合うメンバーなので、楽しんで作業できるのがいいです」

と、前田佐智子さん。

 


「テーマは特にありませんが、秋に向けては秋らしい色だったり、夏なら清々しい石を選んだり・・・これが気に入ったとお客さんに言ってもらえるのが一番嬉しいですね」

と、井上寿美さん。

「私は家族が養殖の仕事をしているので、お手伝いしたいと思い参加しています。
絵が得意なので、『しんじゅようしょくのいちねん』という紙芝居の絵を描きました」

と中井明香さん。

 

「養殖業者さんたちは核入れの時期や貝掃除の時期は忙しいと思いますが、できる限りみんなで真珠のPRをしていきたいと思っています。
さらには海外へのPRも考えています」

と、森口さん。

「これからはインバウンドで、体験してもらったり現場を見てもらったりして、作る苦労や楽しさ、自然と共栄して真珠ができていくまでの様子を、海外の人にも見てもらいたいですね。
SNSなども活用し、世界にアピールしていきたいと思います」

と、『立神真珠養殖漁業協同組合』代表理事の森下文内さん。

丹精込めて育て、つくられた真珠のアクセサリー。
現地に足を運んで、またはウェブサイトで、お買い求めになってはいかがでしょうか?