FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年9月15日放送

山の緑と海の青。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに1つ星の評価を受けた伊勢志摩国立公園の景色は、美しいリアス式海岸に真珠いかだが並びます。
今回のお客様は『伊勢志摩国立公園自然ふれあい推進協議会』の事務局長、伊藤芳正さん。
いつも横山ビジターセンターで、訪れる人たちに伊勢志摩国立公園の魅力を伝える、自然と人との橋渡し役です。

勢志摩国立公園の96%は民有地

国立公園は全国に34ヶ所あり、『ビジターセンター』は、環境省がその紹介をしている建物なんです。
伊勢志摩にはビジターセンターが3ヶ所あるのですが、ここ横山ビジターセンターは環境省が整備したものです。
鳥羽とともやまのビジターセンターは、三重県が作った施設です。
いずれにせよ、伊勢志摩国立公園の素晴らしさとその概要がわかるという施設になっています。
伊勢志摩国立公園の大きな特徴として、55544haの面積のうち96%が民有地だということ。
ですから、上高地のような人を寄せ付けない自然いっぱいの国立公園とは趣が異なり、人々の生活と自然、そして伊勢神宮に代表される歴史文化の融合した公園でして、全国でも稀有な国立公園と言えるかと思います。
4つの市町を含んでいて、鳥羽市と志摩市は全域、伊勢市は除外されていて、外宮・内宮、それから背後の山である宮域林、そして南伊勢町は海岸域が国立公園の範囲となっています。
一番最高地点が朝熊山の555m。
だからそんなに体力を要しない、歩きやすい山となっています。
気軽に歩くことができ、きれいな景色を望めるところが多いので、たくさんの人に来てもらえる理由の一つだと思います。

 

アス式海岸は素晴らしい

伊勢志摩は『多島海』という、島が多くあって入り組んだ半島です。
横山展望台から見る英虞湾は、やはり国立公園を代表する景色となっています。
秋は、横山展望台を訪れる人が一番多い季節。
清々しい空気の中、自然を満喫することができます。
伊勢志摩は落葉樹が少ないため、紅葉する木は少なく、一年中緑を保っていて綺麗だと言われています。
冬枯れもあまりなく、いつでも美しい景色が広がっています。
海からの特産物も多く、どれもとても美味しいです。
そういった産業も、伊勢志摩国立公園の大きな魅力だと思います。
横山展望台には展望が5つあり、それぞれのところから、特徴のある景色を見ることができます。
英虞湾だとサミットの会場となった志摩観光ホテルや、その他のホテルが点在しているのが見えます。
人工物とはいえ、今となっては英虞湾に溶け込んで、良い景色を作り出していると思います。

 

晴展望台からの景色がおすすめ

一番手前が横山展望台で標高も一番低いです。
8月5日に『天空のカフェテラス』がオープンしました。
それから『木もれ日テラス』『そよかぜテラス』『見晴らし展望台』『英虞湾展望台』と、5つあります。
奥に行くにしたがって標高が高くなるので、見える景色も違ってきます。
それぞれの英虞湾を楽しむことができると思います。
4つ目の『見晴らし展望台』は神宮林や的場湾の方向、もちろん英虞湾も見えることができます。
270度くらいの広さで見え、標高としては180mほど。
一番標高としては高いところですね。
横山まで来てくれたのなら、そこまでは是非とも行ってほしいオススメのスポットです。
横山展望台もテラスがとても広くなり、昔から比べると景色が一段と映えるように設計されています。
何度も訪れていると言う人にもぜひ来てほしいです。
変わりように驚かれると思います。
ここはコナラやウバメガシなど、どんぐりの木が多いです。
スダジイというシイの木。
これからたくさん実を付けるので、自然とともに景色を楽しんでいただければと思います。

 

元の人にももっと来てもらい、素晴らしさを再発見してほしい

最近はスズメバチが増えてきたのが悩みの種ですね。
巣の駆除も何度か行っています。
スズメバチも住みやすい環境なんでしょうかね。
今年は本当に暑くなりました。
雨も降らないときは降らないですが、降ると一気に集中豪雨のようになるので、困りますね。
英虞湾の景色に、日本の原風景があると言った人もいるように、地元の人間が見ても綺麗だと思います。
しかし、地元の人が来ることが少ないようで、もっと来るようになってほしいです。
地元の人は伊勢志摩国立公園に住んでいるという意識があまりないんですね。
あまりにも当たり前のことで。
この風景はとても貴重なんですが、地元の人間にとっては身近な景色なんです。
もっともっと来てもらって、知ってもらえればと思います。
自分が住んでいるところも展望台まで来れば、上から一望できるので、知っているところを探すのも面白いのではないでしょうか。

戦後初の国立公園として誕生した伊勢志摩国立公園。
その背景には、リアス式海岸と真珠養殖が盛んな英虞湾の環境を守っていこうとした人々の夢がありました。人々の生活と自然との共生。
伊勢志摩といえば、海女さんや漁業など、海に支えられて発展してきました。
伊勢志摩国立公園の宝の一つは、海だと思います。