三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2018年9月16日

鋳物のまちとして知られる桑名市の鋳造メーカー『伊藤鉉鋳工所』は、初めての自社製品としてトレーニング器具『ケトベトル』を販売し、愛好者の間で人気を呼んでいます!
売る為にはまず自ら知ることが必要と、社長自ら自社製ケトベトルを使用してトレーニングを始め、インストラクターの資格を取得。
自宅ガレージを改装しケトベトルを体感できるジムもオープンさせました!
2017年からは桑名市のふるさと納税返礼品にも採用されています!

津市内にあるトレーニングジム『KENKODO』に来ています。
なんでもこちらで、変わった器具を使ってトレーニングを行っているそうですが・・・。

 

これですね!
黒くて丸い、初めて見る器具を使っています!
激しいです!

 

オーナーの宮島望さん、これはなんという器具なんですか?

「これは『ケトルベル』と呼ばれていて、ヤカンのような形から名前がついたようです。
ロシアの伝統的なトレーニング器具で、振り回す動きで遠心力を負荷に加えることで、股の下から肩や頭上まで持ち上げることで全身の筋肉を鍛えることができるんです」

そうなんですね!
しかもこのケトルベル、桑名市で作られているようなんです!

 

かの徳川家康の家臣、本田忠勝が鉄砲を製造したのが起源と言われる桑名鋳物。
工業製品や建材資料を主力に発展し、桑名は鋳物の国内二大産地のひとつとして栄えてきました。
ですが、近年は経営者の高齢化、担い手不足などが問題となり、昭和40年代に200軒ほどあった鋳物工場は、今は10分の1の20軒までに・・・。

 

そんな中、地元の伝統産業の火を絶やさぬよう、桑名の鋳物製造業者が新たなチャレンジに取り組んでいます。
部品などの下請けだけではなく、自らの商品を開発、販売。
新しい可能性の模索が始まっています。

 

その先陣を切っているのが、桑名の老舗鋳造メーカー伊藤鉉鋳工所(いとうげんちゅうこうちょ)。

 

若き三代目の伊藤允一さんが目を付けたのは、鋳物の重さを活かしたトレーニング器具、ケトルベル!
身をもって商品を知ろうと自身もトレーニング!
その努力が実って、今では年間500個以上を販売!
桑名市のふるさと納税の返礼品にも選ばれ、人気のアイテムとなっています。

 

そもそも『鋳物』とはどういうものなのかを、伊藤さんにお聞きしました。

「加熱して溶かした金属を鋳型に流し込み、冷えて固まった後、型から取り出したものを『鋳物』と言います。
アルミやステンレスなどいろいろな鋳物がありますが、うちでは鋳鉄の鋳物を作っています」

 

「溶けた状態の鉄のことを業界では『湯』と言いまして、注湯をします。
ゆっくりするとどんどん温度が下がってしまい、良い製品ができないので、なるべく早く注湯するのが大切です」

そして固まったら外側を壊し、仕上げた後、製品として出荷します。
『伊藤鉉鋳工所』では、農機具部品やポンプ等の機械部品、建築金物などを製造。

 

ケトルベルは2013年から開発に取り組み、試行錯誤を重ねた末、2016年に初の自社製品として販売を開始しました。

「自分がこの業界に入った時にすでに『斜陽産業』と言われていましたが、日本の基幹産業として0にはならない業界なので、生き残ることができたら強いと思いました。
ある時、桑名工業高校の生徒をインターンシップで受け入れたところ、自社で作っている商品は部品が多いため、何を作っているのか説明して伝わりにくく、興味を持ってもらいにくかったんですね。
やはり自社製品を開発しないと、雇用を含め、会社を残していくための手段がなくなってしまうと思い、何かを開発しようと考えました。
その時に鋳物の良さというのは重いところだということに気づき、重さを求めている人に向けて商品を作ったら面白いのではないかと、ケトルベルの開発に乗り出しました。
売れなくても良いと思っていたところ、予想以上に反響があり、後からホッとしました」

と、伊藤さん。

 

ケトルベルを発売したことで、工場に隣接する自宅のガレージを改装し、トレーニングジムを開設!
ケトルベルを使ったトレーニング指導を行っています。

 

なんと伊藤さん、ケトルベルを販売する為には、まず自らの体験が必要と考え、2年間トレーニングを積み、インストラクターの資格も取得しました!

「使い方は基本的には、股関節からお尻を後ろに突き出すような形でフォームを取り、ケトルベルを掴みにいって、そこからしっかりと後ろに振り込んで立ち上がります」

正しいトレーニング法を学ぶことで、より効率的に身体を鍛えることができますね。

 

「ケトルベルをきっかけに、『桑名鋳物』というブランドを全国で知ってもらうことと、ケトルベル自体の使い方も正しく、健康に役立てるような形で広まっていくことが今の目標です。
伊藤鉉鋳工所だけでなく、桑名の鋳物屋さんがみんなで一丸となって何か新しい製品を作れたら面白いなと思ってます。
今後、横の繋がりを持っていないと厳しい業界なので、ケトルベルが売れて桑名名物になれば、他の鋳物屋さんもやる気になるのではと信じて、がんばっていきたいです」

 

伊藤鉉鋳工所は、10月8日(月)と11月23日(金)に開催される体験型イベント『桑名ほんぱく2018』に参加!
なんと、ケトルベルの製造体験が出来ますよ!