FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年9月22日放送

今回は、いなべ市藤原町古田にある『有限会社藤原ファーム』の代表、近藤正治さんがお客様です。
古田地区は、三重県の最北端、岐阜県と滋賀県の県境にあります。
標高は220m。
近藤さんが集落営農を始めたのは、今から22年前。
土地改良が行われ、きれいな田んぼが増えたのに作り手はどんどん減っていきました。7ヘクタールの田んぼを預かってのスタートでした。
藤原ファームでは現在、古田地区の95%の田んぼを預かり、おいしいお米を作っています。

域の田んぼを預かって米を作る集落営農をしている

土が粘土質なので、どうしても畑作にするわけにいかず、お米主体に作っています。
ここでできるお米は美味しいのですが、量が少ないため、有名になるほどではありません。
しかし『食味』』という機械で検査をするとAランクの味となっています。
できるだけ有機肥料を使った特別栽培米として、農薬や化学肥料を半分に減らしています。
『集落営農』といって、地域と協定して95%の田んぼを私たちがお預かりして、米作りをしています。
集落をまとめて預かるということで、先日も農林省の方からお尋ねがあり、集落営農といえどもなかなか難しい時代が来ている中、どのように経営をするのかなど、参考事例として聞きに来てもらいました。
やはり、山間地の集落営農は大変ですね。

 

域の田んぼを安全に守っていきたい

最初はやる気はなかったのですが、地元のみなさんに請われてイヤイヤ始めました。
が、やるとなったらイヤだとも言っていられないので、なんとか経営を成り立たせ、若い人に引き継いでいこう、地域の農地を守っていこうと続けてきました。
米価もずいぶん下がってきていますし、機械も大型化してきました。
今までの農業のやり方では駄目だと思い、自分で作ったものは自分で販売しようと、販売網を持ちました。
さらに田舎へお客さんに来てもらうために、自店舗を作り、米やその加工品・・・特に草餅を販売しています。
草餅は、丹精込めて作ったお米をさらにたくさんの人に食べてもらいたとの思いからできた商品です。
店舗ができたのは今から20年前、国道沿いにあります。
三重県内はもちろん、岐阜県・滋賀県・愛知県など遠くから買いに来てくれるということで、それは商品に特徴があるからだと思います。
その特徴を守りながら、お店を維持しています。

 

業を続けていくのは大変だが6次産業化を推進できるよう頑張っている

働いている人は地域の方、藤原町内、いなべ市内など。
20年の間に愛知県や大阪、桑名など、各地から人が来てくれています。
農業は大変なので、なかなか長続きしないのですが、今の若い人はがんばってやっていてくれています。
農水省が掲げている6次産業は、地域で取れた資源を使った雇用創出を目的としているもので、今、こちらでも加工品の拡大を進めています。
しかし本来の農水省が言う6次産業までは、なかなか実現せしませんね。
言葉だけが先走りしている感があります。
6次産業というと生産加工販売ということなんですが、それを『産業』にまで持っていって、地元の人がそこで働いて販売できるというところまで持っていくのが大変です。
今、その方向へ固めようと努力中ですが、お米という原材料をどう加工して販売するかが、難しいところですね。

 

域が持続できるように・・・

私が生きているうちに、後継者にバトンタッチできるようなものを作りたいと思っています。
それは少子高齢化と言われている中、昔からあったこの農村を末永く維持していきたいという一心から。
長い歴史があって、古くから先祖が苦しんで開発してきた地域を守っていくことを考えないと。
最近、いろいろな災害が起きていて、山村であるがゆえに危険でもありますが、また安全な部分もあると思います。
海辺の人が災害にあった時に受け入れられるような地域を作っていきたいと考えています。
6次産業によって、この地域の農地を活かした商品づくりをして、雇用も生んで、都会の人が住んでみたいと思われるような古田地区、藤原地区を作りっていきたいです。
前向きな考え方、希望を持って生きるということがパワーに繋がりますね。