津なぎさまち『ベイシスカ』内の美容室、『BRIDE』では少し変わった取り組みを行っています。

それは『移動・出張理美容室さくら』として、三重県ではめずらしい移動式のサロンカー『理美容車』を2台所有、福祉施設などへ出張してヘアーカットやシャンプー、ブロー、ヘアカラーなどを行っているということ。
その出動回数は、毎月50回以上です。

『移動・出張理美容室さくら』の丸山恵美香さんに、この活動を始めたきっかけについてお聞きしました。

「東日本大震災があったときに美容師仲間から声を掛けてもらい、ボランティアに参加しました。
そのときに髪を切ることができない人が大勢いると知り、自分たちが訪問してカットをすることで、とても喜んでもらえるということを実感として知りました。
そこで三重県に来たときに『自分もやってみたい』という思いがありました。
さらに若い頃美容室に行っていた方は、施設内ではなく、『美容室で切った』雰囲気があったほうが喜ばれると思いました」

移動理美容車は横部分が張り出して広くなり、さながら本当の理容室のよう。
電気や水も使うことができるので、シャンプー台やドライヤーも完備しています。
車椅子での利用も考えてさまざまな工夫がされて、エレベーターも備え付け。

シャンプー台は高さの調整が可能となっていて、鏡も見やすいようにわざと少し前倒しになっています。

この日は津市高茶屋の『ケアポート津高茶屋』にて毎月1回の出張理容。
理美容車を運転するのも丸山さんです。
なんと、北は桑名、南は熊野まで出張に行くそうです。

こちらの施設は利用者が多いため、理美容車２台、美容師7名での対応です。
到着するなり、さっそく開店準備。
こうして見ていると、店舗型の美容室と何ら変わりません。
利用者のみなさんに、美容院へ行くという気分と、快適な環境を提供しています。

さっそく利用者のみなさんがやってきました。
理美容車では一度に4人の方がヘアカットなどのサービスを受けることができます。
美容師の方とのやりとりも、みなさんの楽しみになっているようです。

こちらの利用者は堀田さん。
丸山さんとは長いお付き合いです。
何気ない会話を楽しみつつのヘアカットですが、高齢者に負担がかからないよう、短い時間で施術をするように心がけているようです。

素敵に仕上がりましたね！

「美容室に来るのと同じなのでうれしいですね。
やっぱりキレイになるのは大事。
私いつも『どうしましょう？』って聞かれると『米倉涼子』って答えるの。
ははは！」

この笑顔。
丸山さんたちが提供しているのは美容だけではありません。
それは手をとって施設に送り届けるところにもあらわれています。

『ケアポート津高茶屋』施設長の北川哲さんに、『移動・出張理美容室さくら』を利用することになったきっかけをお聞きしました。

「以前は１階の廊下や小部屋で、シャンプーなどはなしでカットだけをしてもらっていました。
3年前、みなさんに美容室に行っているような雰囲気になる所を探していたところ、たまたまインターネットで『さくら』さんを見つけ、月１回来てもらうようになりました。
これまでカットだけだったのが毛染めや顔そりなど、すべて行ってくれるので、みなさんからとても満足してもらっています」

30人以上の施術を終えてお昼ごはん。
施設の一角をお借りしてお弁当です。

スタッフのみなさんに、このサロンで働こうと思った理由を尋ねました。

「喜んでいただけるのがうれしいですね。みなさんの笑顔がいいです」

「普通のサロンワークでは得られないものを学ぶことができます。
こちらがありがとうと思っているのに、みなさんが『ありがとう』『待ってたよ』と言ってくれるのが、本当にありがたいです」

「『さっぱりしたわ、ありがとう』『また来てね』と言ってもらえると、とても楽しみに待ってくれているんだと感じられてうれしいです」

みなさんの笑顔を言葉が、スタッフの励みとなっているんですね。

最近は施設への出張だけでなく、婚礼などのロケ撮影などにも利用されています。
今後は幅広いニーズに応えていこうと、移動理美容車の追加も検討しています。

「ゼロスタートだったので、今のようにたくさんの施設からお声を掛けてもらうというのが本当に夢のような気がします。
もっと多くの方々に、このサービスを利用していただくのが願いなので、移動理美容車の台数を増やしたり、スタッフの人員を増やし、さらに満足してもらえるサービスを目指します」

と、丸山さん。

『移動・出張理美容室さくら』に興味のある方、一度問い合わせてみてはいかがですか？