FM三重『ウィークエンドカフェ』2018年12月15日

今日は、松阪市にある『宮崎酒店』の宮崎史朗さんがお客様です。
宮崎さんは松阪市内5軒の酒屋さんでつくる『家老六人衆』の代表。
家老六人衆で大台町にある元坂酒造に醸造をお願いしてオリジナルの清酒『松阪城』を販売しています。

売業の酒屋が少なくなり、『家老六人衆』を作った

一年に一度の『松阪城しぼりたて』はこれから12月に作って新しく出す予定。
通年の酒としては他のお酒を販売しています。
22年前、規制緩和などでどんどんお酒を売りにくくなってきた時代に、市内の6つの小売店で『家老六人衆』というグループを結成しました。
なにかオリジナルなものがほしいということで、蔵元さんにお願いしてできたときに『松阪城』という名前がたまたまあったので、その名をいただきました。
それからずっと年に一度だけ『松阪城しぼりたて』というのを、普段飲んでいただいているみなさんに、原酒のままで出して販売しています。
量販店ができたりスーパーでも販売するようになるなど、お酒を売る場が増え、小売店が激減した時代でしたが、普段は売らないお酒を売ることができるようになった・・・オリジナルのお酒を売れるようになったことが、当店の強みでもあります。
また、酒屋さんが毎年減っていく一方、仲間としていろいろ話ができるのは、楽しいというかやりがいがありますね。

 

阪城という名前が広まるには時間がかかった

やはり酒屋なので日本酒にこだわりがありますが、日本酒が売れなくなってきた時代が来ました。
が、日本酒はやはり日本の気候に向いているので、そういうのを目指して造りたいというのが、みなさんの意見でした。
酒蔵さんもたくさんありましたが、たまたま元坂酒造さんにお願いしたところ、快く引き受けてもらいました。
元坂さんもかなり古い酒造で、良いお酒をたくさん作っているので、協力していただき『松阪城』が完成しました。
出来上がったときは嬉しかったですが、それをどう売っていくかというところで難しい面がありました。
知ってもらうまでに時間がかかりますので、最初は『氏郷まつり』などのときに屋外テントで販売してみたりしました。
有名なお酒はたくさんある中、『松阪城』というお酒を知ってもらうまでには時間やコストがかかりました。
我々は小さな小売店なので、HPなどなかなかできなくて、メディアさんの力をお借りして、年々知られていったという感じです。

 

阪城は辛口でフルーティな味

日本酒の辛い甘いというのは表現が難しいのですが、松阪城はどちらかというと辛口のタイプです。
料理などにも合うように仕上がっています。
日本酒を扱っている飲食店はお肉を使う店が多いので、お店にお願いして『松阪城』を置いてもらっています。
口当たりも良いということで、けっこう評判も良く、みなさんに長年取り扱ってもらっています。
最近ではリピーターも増え、味も気に入っていただけたので22年間続けてこられたのだと思います。
『伊勢志摩サミット』はかなり大きな影響がありました。
日本酒に光が当たったというか、そこで飲まれたお酒がけっこう有名になりました。
しかし取り上げられたお酒は作っている本数が少なく、我々の店にはほとんど入らないお酒でしたので、そこの蔵が作った他のお酒を置かせてもらいました。
サミットのおかげで日本酒が売れるようになりましたね。
元坂さんもサミットのときに出したお酒がありました。
それもすぐになくなったので、我々には手に入りませんでしたが。
いっとき、焼酎ブームなどで日本酒離れがありましたが、最近はまた日本酒に戻ってきて、女性も飲まれますし、海外の方が日本酒に興味を持つことも増えてきました。

 

こ数年は1月には売り切れるようになった

お酒を仕込んで樽から出して、それからいろいろ手を加えるといわゆる純米酒とか本醸造とかになりますが、このお酒に関しては樽から絞った原酒のまま、なにもせずに瓶詰めをします。
アルコール度数が普通のお酒に比べるとやや強いですね。
作業できるのは年に1回。
遠いところからでも、こちらから知らせなくても毎年お電話をいただいたり、毎年お問い合わせをしてもらっています。
気の早い方だと11月はじめくらいから問い合わせがあり、すでに予約も入っている状態です。
本来は普段の『松阪城』も飲んでいただきたいのですが、『松阪城しぼりたて』に関しては本数が限られているので、飲めない方もいらっしゃいます。
翌年にまた予約をいただき、楽しんでいただいているのはありがたいですね。
うれしいし、ながく続けてきてよかったと、本当に思います。
『しぼりたて』は12月だけですがかなりの本数が出ますし、普段飲まれない方も、このお酒に関しては少し飲んでみたいという方もいます。
アルコール度数が高いのに、香りが良い、口当たりが良いと、意外と女性が好んで飲まれることも多いです。
ボジョレー・ヌーボーと同じくこちらは日本酒のヌーボーで、年に一度のお酒です。
年に一度の楽しみとして、『しぼりたて』だけを何年も飲んでくださるお客様も多いですね。