（語り　磯部隆矢さん）

■赤い卵と白い卵、双子の卵

今、養鶏場にいる鶏は、およそ24万羽です。
もちろんその中には、ヒヨコや、まだ卵を産んでいない鶏も含まれていますが。
鶏はだいたい25時間に1個、卵を産むんですよ。
けっこう1日10個とか産めると思っている人が多いんですけど、1日1個弱ですから。

なんて偉そうに言っていますが、僕も以前は、養鶏ではない仕事をしていたので、『南勢養鶏』に入るまで、卵のことを全然知りませんでした。
新しい卵、古い卵の見分け方も、興味がなくて。
割ったら全然、盛り上がりが違うと知って、ビックリしました（笑）
赤卵と白卵の違いも知らなかったですからね。
基本は、白い鶏は白い卵を、茶色や褐色の鶏は赤い卵を産むんです。
栄養価はだいたい一緒なんですが、餌によって味や色に特色が出るワケです。
『南勢養鶏』の鶏は竹炭や海草が入ったエサを食べているので、生臭さがないんですよ。

今は、サイズを揃えて出荷するので、割ってみて双子の卵だった…なんてことはあまりありませんよね。
直売所では、色々なサイズの卵を置いていますから、運が良ければ双子の卵があるかもしれませんよ。
双子の卵を産むのは、若い鳥が多いですねぇ。
普段産む小さい卵の中に大きいのがあったら、ほとんど双子。

料理によって、卵のサイズを使い分けるのもオススメですよ。
例えば、卵かけご飯は小さいサイズ。白身が多いと嫌がる方も多いので。
ケーキはLとかLLサイズで、卵の風味のたっぷり効いたスポンジを作る方もいらっしゃいます。

■地元で愛されるスウィーツを！

地元の人が、ゆっくりとお茶をしながら甘いものを楽しめる場所が欲しかったのと、南伊勢町の人にお土産として使ってもらえるお菓子を作りたかったという思いから、アンテナショップ『コッコランド』をリニューアルオープンしました。

ショップにはパティシエがいますので、美味しいスウィーツを召し上がっていただけます。
オススメなのはロールケーキ。
見ていただくと分かるんですが、大きめでフワッとしていて、他のお店とちょっと違う、自信作です。
自信作といえばプリンもなめらかで、こだわっていますよ！
プリンは２種類ありまして、『コッコプリン』は普通のカスタードプリン。
『なめらかプリン』は、生クリームが入っていて、舌触りがさらになめらか。
オススメなのはやはり『なめらかプリン』かな。
一度食べると、間違いなくハマりますよ（笑）

その他、デコレーションケーキも、注文いただければお作りします。
卵屋が作った、こだわりのケーキで、幸せになって下さい！

■鳥インフルエンザを乗り越えて

鳥インフルエンザが発生したのが去年（2011年）2月26日。
前もって、鳥インフルエンザ発生時用のマニュアルが作ってあったので、従業員各々が即座に対応しました。
そして発生した日に小俣町に仮営業所を設立し、そこから卵を配達しました。

土森ゆみさん
「私は事務をしていたのですが、そちらも大変でした。お客様から次々とお問い合わせの電話がかかって来ましたし、こちらからお客様に連絡をさし上げて。
お客様に『鳥インフルエンザが発生してしまいまして申し訳ありません。今後、別の業者様から仕入れさせていただいて、それをお持ちさせていただくのでよろしいですか？』とご確認のお電話をさせていただきました」

通常業務に戻れたのは、8月。
約6ヶ月間、業務がストップしていたわけです。
この先の不安ももちろんありましたが、何より寂しかったのが、鳥の鳴き声が聞こえないこと。
その静けさに、僕も仲間もやはり暗くなってしまって…。
徐々に鶏が入ってきて、鳴き声が聞こえて来てようやく、「だんだん戻ってきたな～」と明るくなってきました。

衛生管理に関しては、ISO9001認定、三重の安心食材の表示制度を取得していて、かなりやっているつもりでいましたが、どこか抜けていたところがあったのかも…という思いもありました。
そこで管理体制をもう一度整え、もう一度防衛体制も見直しました。

あの時は本当にたくさんの方にご迷惑をおかけしました。
そして、県や自衛隊、近所の方々…いろんな人に助けられ、心配していただきました。
お客様からもたくさん励まされました。
「仕入先は変えない、他の卵でも良いからナンセイさんから配達して欲しい」という声もいただきました。
営業再開を待つ間の半年間…お客様たちの声が、どんなに僕を含めた従業員全員を力づけてくれたことか。

営業を再開し、何種類かの自社卵を販売でき、『コッコランド』もリニューアルオープンした今、大切なお客様を心からおもてなししたいと思います。