FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年1月12日

今回は鳥羽市で『かもめnb(エヌ・ビー)』というゲストハウスを営む、鼻谷年雄さんがお客様です。
オープンは2016年の5月、駅の近くに小さなゲストハウスを開きました。
鼻谷さんの本業は、編集者でありライターです。
ゲストハウスを経営しながら、鳥羽の町を取材しています。

軒一軒、空き家がないか聞いて回った

正直に言うと、僕ははじめ、伊勢市で物件を探していたんですよ。
でもなかなかマッチングせずに探す範囲を広げていった結果、鳥羽の今の場所が感じがとても良く、決めました。
鳥羽は仕事で住んでいた時がありましたが、知り合いが多くいたわけではありませんでした。
しかし、一軒一軒ドアをノックする勢いで「空き家ありますか?」と聞いていたときに親切にしてくださった方がいて、その紹介で今の物件にたどり着いたということです。
町内会のみなさんで神社の掃除をしたり、町のまつりを作ったりしていますが、商売している方たちが多いだけあってとても元気で、よそから来た僕もその中に混ぜてもらっているのは、非常にありがたいと思います。
津の実家と鳥羽は、海が近いということで共通するものがあり安心します。
違うところは、やっぱり鳥羽は観光客がとにかく多いです。
住民は津市よりもかなり少ないのに、観光客は年によっては400万人も来るという。
賑やかなときには毎日、いろいろな人の顔を見ることができるのは面白いと思います。
夏は海水浴のお客さんが多く、冬に入るとドライブがてら、最近人気の牡蠣を食べに、浦村や志摩の的矢のほうに行くとか・・・そういう変化がありますね。
お客さんにうちの宿に来てほしいですが、お客様用の駐車場が1台しかないのが弱みです。
ただバイクや自転車で来る方など、普通のホテルには泊まらないような、ちょっと楽しいお客さんが来てくれると良いなと思います。

 

齢者と子供たちの距離が近い

僕自身が移住者だということもあり、今は、他の地域からの移住者が鳥羽に移り住んでどんな仕事ができるのか、または鳥羽で人材を募集しているけどなかなか都会の方に情報が届かないとか・・・そういうところをつなぐような仕事をしています。
都会とこちらでは生活ぶりがかなり違います。
僕もまだ2年くらいなので行ってみて驚くことが多いですね。
先日は答志島の保育所を取材したのですが、子どもたちが外に出るだけで大人たちが駆け寄ってきて、近くでハイタッチをしたりとか。
ふれあいが近いというか、人と人との距離感の近さに驚きました。
海女さんにも興味があるので石鏡町が好きなんですが、けっこう高齢な方が多いはずなのに、朝、出てくるとみなさん声が大きくて。
石鏡町の方言はまた鳥羽の中心街とは違うようで、「・・・・や〜!」という、独特のにぎやかな声を聴くと、とても愉快になりますね。
冬の海でも潜る海女さんの、とてもタフに明るく仕事をしている姿を見られるのは自分にとっても励みになるし、見習わなければと思います。

 

ブトムシを育てたり朝顔の成長を嬉しく思う日々

鳥羽や伊勢志摩広く含めて、景色が好きです。
さらに伊勢神宮や海女さん、海産物など食べ物の豊富さなど、いろいろなものに興味が自分の中で広がっています。
もともと東京で働いていたことがあり、そのころは会社と家の往復だけの暮らしでした。
何も見ないで長い間やってきたので、身近にある当たり前のものがとても新鮮に感じられます。
宿をはじめて、掃除をしたり、前で朝顔を育てたりしていて、そしてなぜか今、カブトムシを飼っています。
鳥羽の安楽島の海女さんからもらったカブトムシなんですが、僕は小学生の時もあんまりまともに飼っていた覚えがないんですね。
今年の夏、メスとオス、つがいでもらったのですが1年で死んじゃうので片方が死んだときに片方は放しました。
ある日気づいたら、土の中から幼虫が出てきて、これは面倒を見なければと。
熱心に土を変えたり水を与えたりして、大きくなってきて嬉しいなって(笑)。
自分でも何をやっているんだろうと思うけど、とても楽しいですね。
宿を経営しているということで、今まで自分がちゃんと体験してこなかった『当たり前の生活』をできるようになっているように感じます。
その上でもっと興味がある、新しいことを知りたいという部分は取材や編集者、ライターとしての仕事で深めさせてもらっています。
自分の中で双方をあまり切り分けないというか、うまく連動しているなと思っています。
口で言うほど何もかもうまくいっているわけではありませんが、でも自分の中で、今の生活に新しい発見が多く、その点は満足しています。

 

分が喜ぶことができる時間が増えた

ゆっくりとした時間や生活の中で、今日は天気が良いということが嬉しかったり。
朝顔が今年はうまいこと花がついたなとか。
自分が喜べることが増えたと思います。
僕は、よそからやってきて外国人のお客さんも多い宿を経営しています。
ここらへんの人にはあまり馴染みのない人たちや僕の友だちも来ているので、変なヤツだと思われていないかなと心配です(笑)。
でもそうやって、変なヤツをいさせてくれるのはありがたいですね。

2年宿をやっていますが、まだまだ模索中。
今は定員8名での宿の形態で経営していますが、現状に合わせていろいろ変えていかないといけない部分もあります。
わりと近いうちに、場所を移るかもしれないしこのままかもしれないし・・・3年目の見直しということで、面白いことも含めていろいろ考え直して、できればこの街でもっとがんばっていきたいと思っています。

この先も、一緒におまつりに参加したり、街をキレイにしたり、そういうことができていけたら良いですよね。