『ミエてくる』2019年1月11日放送

かつて尾鷲市にはロープウエイが存在した!?
そんな噂を聞きつけたサルシカ隊長は秘境ハンターとなって出動した!!

私は尾鷲にいた。
JR尾鷲駅の近く、老舗割烹の「魚処 豆狸(まめだ)」で海鮮ユッケ丼を昼メシに食べようと、空腹のまま津から高速を飛ばしてきたのに、ああなんということか豆狸はお休みだった。

いや、そんな話じゃなかった。

実は先日、尾鷲出身のマスターがやっているお店でお酒を飲んでいるとき、その昔、尾鷲にロープウエイがあったという話を聞いたのだ。
60歳を越えるマスターも実際には見たことはなく、その昔に聞いた話だという。

うーむ、かなり古い話ではないか。
昔の尾鷲といえば、道もあまり整備されておらず、観光客が気軽に訪ねる場所ではなかったはずだ。
まさに当時にしてみれば「秘境」であったはずだ。

そんなところにロープウエイが本当にあったのであろうか。

というわけで、サルシカ隊長であるわたくしは尾鷲に来ていたのだ。

 

で、さっそく国道42号線沿いにある最近話題のラーメン店「風見鶏」へとお邪魔して、鶏醤油ラーメンを注文。
なぜならば、「豆狸」がお休みでお腹が空いていたからだ。

 

「あー、うんまい!」

家から80キロ以上離れたところにあるラーメン店なのに、なぜかわたくしは10回以上ここに通っている。
ここの鶏白湯のラーメンが大好きなのだ。
この日頼んだのは、鶏しょうゆ。
シンプルに勝負。

おいおいレポートが脱線してないかって?
ご安心あれ。
ちゃんと調査しているのだ。

鶏醤油をすすりながら、お店のマスターの沢田さんに「尾鷲のロープウエイ」の存在について聞く。

すると・・・・

「ロープウエイが尾鷲に? 本当ですか、知らないですねぇ。
そんな話、初めて聞きました」

以上、調査おわり。
手がかりゼロ!(笑)

いやいや、こんなことで本当にロープウエイが見つかるのか。
そもそも本当にあったのであろうか。
心配になってくる。

 

が、ラーメンだけ食って帰るわけにはいかないので、ひとまず国道42号線を熊野方面に向かって走る。

尾鷲市街を出るとすぐに自動車専用道路の「熊野尾鷲道路」が出てくるが、ひとまず42号線を突き進む。

15分ほど走ったであろうか。
なんの看板も出てこないし、痕跡も見当たらない。
このままだと熊野に入ってしまう。

一度車を停めカーナビでいろいろ調べてもなにもわからないのでUターン。
尾鷲市街へと戻る。

 

宛もないまま休憩のため、お魚いちば「おとと」に立ち寄る。
尾鷲で人気の産物店だ。

トイレをお借りして、その近くの棚をそれとなく眺めていると、なんとこんな書籍が販売されているではないか!!

「秘境ガイドブック 魅せます!尾鷲」

秘境ガイドブックですよ。
秘境ハンター必須の本やないかい!

なんと尾鷲商工会議所女性部が発行したもの。
尾鷲の秘境ハンターは女性なのだ。

 

>>「秘境ガイドブック 魅せます!尾鷲」の情報はこちら!

 

※引用「秘境ガイドブック 魅せます!尾鷲」

そのガイドブックをペラペラとめくっていると、おおおお!なんということだ、ロープウエイの古い写真が目に飛び込んできた。

 

※引用「秘境ガイドブック 魅せます!尾鷲」

なんと!
尾鷲にロープウエイは本当に存在したのだ。

矢ノ川峠付近の厳しいつづらおりの道を避ける方法として、昭和2年(1927年)に建設されてものだという。

しかも!
日本初の本格的な旅客用ロープウエイだったというではないか!!

全長1254m、標高差678m。
最盛期は25台のゴンドラが運行していたという。

このロープウエイと乗り合いバスを乗り継いで、尾鷲と熊野のあいだを3時間から3時間半でつないでいたのだという。

しかし、昭和11年に矢ノ川峠昭和道が完成し、役割を終えたロープウエイはわずか9年で営業をやめることになったのである。

 

※引用「秘境ガイドブック 魅せます!尾鷲」

ガイドブックにはロープウエイの駅舎跡、基礎部分はまだ残されており、今でも見ることができると書いてある。

「よしいくぞ! 昭和の歴史の痕跡を探しにいくのだ〜!!!」

秘境ハンター奥田は再び車に飛び乗った。

 

ガイドブックに記されていた道は、国道42号の、熊野尾鷲道路の入口をほんのちょっと過ぎたところにあった。
先ほど2回この前を通過している。

ロープウエイ乗り場を探しにいくのに、道は川の方へと下っている。
看板も何もないし、結構細いのだ。

が、ここで悩んでいても仕方ないので分岐した道を進むことにする。

 

最初こそ木材工場などがあって道も整備されていたが、その先へ進むと、どんどん標高があがりはじめた。

 

道の状況もこんな感じ。
落ち葉が堆積し、ほとんど車の往来はないようだ。

 

さらに進むと倒木が行く手を阻む。
いやいやこれしきで負けてなるものか。
慎重に木の下をくぐり先へ進むと・・・・・

 

なんと落石のため通行止め!

長く取材であちこち回っているが、マジな落石(がけ崩れかな)で行く手を阻まれたのははじめてのことだ。

もはやここまでか。

ロープウエイが無理なら、尾鷲と熊野をつないだ明治の道、昭和の道を見ようと思い、あちこち移動してみたが、すべての道が通行止め。
昨年の台風の影響であろうか。

 

悔しいので、再び「秘境ガイドブック」から、ロープウエイがなくなるきっかけとなった矢ノ川峠昭和道の素掘りのトンネル、そして乗合バスで混み合ったかつての矢ノ川峠の様子の写真をご覧いただこう。

秘境ハンター奥田の最初のチャレンジはもろくも崩れ去った。
が、わたくしは諦めない。
いつかまた昭和の遺産を求めここに戻ってくるのだ。

※2018年1月10日現在、矢ノ川峠昭和道、明治道へと向かう道は通行止めになっています。
迂回路、もしくは遊歩道を利用していけるかも知れませんが、事前に関係各所に確認し、十分に気をつけてお願いします。