FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年2月9日

今回は伊勢市にある畑井工房の畑井和也さんがお客様です。
畑井さんは、伝統工芸品の1つ、伊勢玩具を作る職人さんです。
工房は内宮の近くにあり、畑井さんは三代目。
昔から愛されてきた伊勢玩具を丁寧に作っています。

元の材料を使って地元の人が作るのが土産物

伊勢玩具は地元というか、三重県産の材料を使って作ってきました。
もちろん土産物として販売していますが、土産物の一番の要素として私が思うのは、工芸品であっても食品であっても基本的には材料が地元のものであり、造り手も地元の人であるということだと思います。
伊勢玩具もそのように、地元の材料で地元の人の技術で作ってきました。
木材を2つに分けると針葉樹と広葉樹になります。
うちが使うのは広葉樹で、地元のサルスベリやチシャ、椿や桜などを使っています。
加工する側からすると柔らかいもので削り安いほうが仕事はしやすいですね。
サルスベリなどは樫と同等なくらい硬いですが、その硬いのを自分は一生懸命使っています。

 

れぞれに流行りの色合いがある

今や伊勢玩具は伝統工芸品となっています。
けん玉やヨーヨー、ダルマ落としなどのくりものは鮮やかな色が目を引きます。
この美しさも伊勢玩具の特徴の1つですね。
遊んでもらい楽しんでもらわないといけませんが、見た目もちょっと綺麗さがないと・・・やはり伝統工芸品ですので。
自分の代では、パッと見たときに「これ綺麗だな」と思われるものを目指しています。
玩具というのは、赤や紺が基本なので、それは使うようにしています。
しかし赤も、本来の日本の赤は、西洋から入ってくるような真紅のバラ色ではなく、橙色や朱色に近い赤です。
その赤を、どれをベースにするかは難しいところがありますね。
色もやっぱり流行りがあるんですよ。
今年は青系統が流行ったとか、モカというか茶色、グレーが流行るとかあるので、それはちょっと気にしています。

 

統工芸品でも、できるだけ安価で買いやすいように

伊勢玩具は気軽に・・・ということを考えて、買いやすい値段に抑えています。
お客さんは多分、機械で作っていると思っているのではないでしょうか。
自分がやっている作り方は昔からの方法で、木地師の技術をそのまま継承して、手で削っています。
丸くするのも手作業です。
昔からのろくろの技術があってこその手仕事。
もちろん、機械も大事ですし、機械のやり方も大事ですが、いちばん大事なのは昔からの作り方を習得し、知っておくということ。
それをあえて崩したり延長することで、なにか違うものを作り出すとかもできますし、小回りも利きます。
伝統工芸品は、今、全国を見ても機械化されているところが多いと思います。
それでないと時代に乗っていけないですが。
ただ一つ思うのは、本当に昔からのやり方・・・電気が通る前のやり方、技術をしっかり習得した上で、その時代に応じて変革させてやっていくことも必要だと思います。
その意味でも技術は大切だと思います。

 

物作りやデザイン、木の扱い方をずっと見てきた

工房の仕事を継いで36年になります。
削るときの刃物は、炭で鋼を焼いて、叩いて造りました。
焼入れも焼戻しも、最後に刃をつけるのも自分でやるというのを、小さな頃から見ていましたので、自然に覚えました。
この仕事をするには、刃物を作ることができないといけないし、ろくろも使えないといけない。
そして木は重たいものだということも知っていますし、木は乾燥させてから使うものだというのも、見ていて覚えました。
仕事を始めようとした理由は今もわからないのですが、刃物作り、材料の選別と乾燥、デザイン、色、形・・・たくさんの工程がありますが、小さい頃から自然と見ていたので、刃物を作ること、材料を選び乾燥させること、その乾燥具合など、自分で気にしながら一生懸命やってきました。

気楽に子どもに遊ばせることもできるし、飾ることもできるのが、伊勢玩具の良さだと思います。