『ミエてくる』2019年2月14日

志摩市では毎年2月ごろに”三十路式”というイベントをやっているそうです。
30才同士で集まる成人式みたいなものでしょうか?
気になったので、取材してきました!

案内によると、今年の志摩市三十路式は、2月10日の日曜日。
会場は志摩市浜島の志摩地中海村。英虞湾を見晴らす絶景のエリアにあるリゾートホテルです。
敷地内はエキゾチックな白壁の街並みで、その一角にある貸し切りのレストランで式典が開かれるそう。

地中海村の街並みは、入場料を払えば宿泊者以外でも散策できます(中学生以上500円、小学生以下無料が必要)。
この日は、三十路式関係者ならフリーパス。

開会15分前。式典会場のレストランでは、志摩市三十路式実行委員会のメンバーたちが最後のチェック。
主催者である彼らもまた、志摩市にゆかりのある30歳の同級生なのです。

 

実行委員会の竹内航会長。
和具地区出身で、市内のダイニングバーに勤務しています。

 

――さっそくですが教えてください。「三十路式」って一体、何なんですか?

竹内 成人式からの10年間を振り返って、今後の人生や地元のことを考え直してもらう機会です。
今年で5回目になりました。

――参加者はみんな志摩市内の出身?

竹内 市外に出ていった人や、市外から仕事に来ている人も招いています。
市内にいても、普段は家事とかでなかなか外に出られない人もいます。
今日は新たな出会いや情報交換が生まれるといいですね。

――ほほう。お、場内にアナウンスが流れてきました。いよいよ開会です。

 

参加者は60人余りで、ほぼ満席。

照明が消えてスクリーンに映像が映し出されていきます。
志摩市を代表する観光地の景色や、海女漁、そして伝統のお祭り。

さきほどの竹内会長が開会のあいさつして、2人の来賓のスピーチへ。
1人めは竹内千尋市長。

 

「さっきみたいな映像をサクっと作ったり、技術や配慮が社会経験を積んで二十歳から進化している」

「仕事の場で世代間のギャップがあると思うが、変えられるものは変えて、ポスト平成の時代を皆さんで切り開いていってほしい」

 

2人めは、4年前の三十路式の実行委員会代表を務めた桝屋善大さん。

「二十歳のころと比べると大事なものが増えた。僕は家族や娘、仕事や友達。
それがパズルのピースみたいにつながっている。パズルを支えている盤面は志摩市」

「将来、娘が30才になったとき、スーパーもないしお祭りもない、仕事もない。志摩市で子育てができないと言われたら・・・。大事なものを守るために志摩市を大切にする30才になろう」

 

話を聞く参加者たちは真剣な眼差し。

 

式典の最後は、竹内代表から竹内市長への”三十路宣言”。

「生産世代の中心としての自覚を持ち、経済に貢献し、地域が抱える課題を自らの課題と捉え、その解決策を仲間とともに模索し実行します」

 

式典が終わって、参加者に感想を聞きましょう。

山﨑文太郎さん。市内の大王町出身で、いまも市内に住んで消防士として働いているそうです。

「自分も周りも大人になって、10年前の成人式とは雰囲気が違いますね」
「人口減少の話があったけど、僕が通っていた小中学校もなくなりました。自分も地元のために何かしていきたい気持ちです」

さて、式典の終わった参加者たちは外に出て、記念撮影の場所へ移動していきます。

白壁の街並みに、スーツ姿の三十路の男たち。映えますねー。でも、ちょっと寒そう。

 

こちらは晴れ着。振り袖ではありません。石畳を小股で歩いていきます。色っぽい。

 

記念撮影のカメラがテラスに先回り。英虞湾をバックに上からのアングルを狙います。

 

風強い!めっちゃ寒い!それでも文句を言わずにじっと待つ三十路の皆さん。ハイ、チーズ。

 

記念撮影の後は、レストランに。料理とデザートが用意されて、立食形式の懇親会です。

乾杯!

 

家が近所という女性3人。みんな結婚して市外に住んでいるけど、最近は親の住む地元が気になっているとか。
同じ志摩市といってもかなり広いので、顔なじみじゃない同級生も多いみたい。

 

それでも、料理やお酒を持って行き来しているうちに、だんだんと入り混じって――

 

いい笑顔!

このへんで取材はおしまい。考えをまとめます。

<同窓会みたいなイメージで来てみたら、話も態度もみんなしっかりしていて、成人式とは違う緊張感があったなあ。
「大事なものが増える」と、自然にそうなるものなのかも。
だからこそくだけて過ごせる時間も大切で・・・>

「おーっ!」

突然、歓声が。ビンゴ大会が始まったようです。
くだけて過ごせる時間も、ちゃんと用意されていましたね。

じゃあ、このへんで僕は失礼しますね。
三十歳のみなさんに幸あれ!