FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年4月20日

今回のお客様は『鳥羽ガイドボランティアの会』の会長、江崎満さん。
鳥羽を訪れる観光客は年間430万人。
リピーターも多く、ボランティアガイドとめぐる鳥羽の旅を楽しむ人が増えてきました。
ディープで楽しい鳥羽の町です。

代の映画ゴジラなど、数々の映画のロケ地となった鳥羽市

賀多神社は初代ゴジラの映画のロケ地ということで、隠れた歴史がたくさんある場所になります。
鳥羽市は、戦前には岩田準一の兄の宮瀬規矩が映画のロケを誘致して、月形龍之介、田中絹代、片岡千恵蔵、長谷川一夫といったそうそうたるメンバーが鳥羽でロケを行っています。
宮瀬氏は新聞記者をしていて、さらに『白鳥』という伊良子清白の歌の事務局もしていました。
晩年大山祗神社の宮司さんを務めるなど、いろいろなことをしてきました。
そのいろいろなことを映画のロケの誘致につなげていったのだと思います。
残された書物を見てみると、「映画ロケの誘致で多忙になってきた」との文面も見つかっています。
新聞記者をしているときにいろいろなつながりができたのだと思いますね。
昨年、『半世界』という稲垣吾郎さん主演の映画の誘致をし、西念寺でロケを行いました。
実はここ西念寺は戦前、鈴木澄子という妖怪俳優がロケを行ったことがあり、時代は繰り返すんだなと思っています。
これから鳥羽はどういう風に進んでいったら良いのだろうと考えたときに、昔を知って今につなげていくということがとても大事だと思っています。

※岩田準一・・・三重県鳥羽市生まれ。竹久夢二に師事。
江戸川乱歩と親しく交友があり『『パノラマ島奇談』、『踊る一寸法師』、『鏡地獄』の挿絵を担当している。

※宮瀬規矩・・・岩田準一の実兄。
昭和初期の鳥羽で新聞記者を務め、江戸川乱歩ら文人とも広く親交があった。

 

戸川乱歩館は月に400人が訪れる人気スポット

『江戸川乱歩館 ~鳥羽みなとまち文学館~』は鳥羽の隠れた歴史、文化にふれることのできる博物館で、おすすめする人気スポットの1つです。
有料化してから来館者が月に200人ほどになりましたが、最近は月に400人ほど訪れるようになっています。
江戸川乱歩というと、高齢の方の入館者が多いというイメージがありますが、90%が50歳までの入館者。
非常に若い人たちからも江戸川乱歩が受け入れられている証だと思います。
また、スタッフも乱歩についてのいろいろな秘話を紹介しているので、満足して帰ってもらっています。
小さな建物ですが、古民家の雰囲気と岩田準一の民俗学がここに集約されているので、みなさんに関心を持っていただいていると思います。
昭和初期に男色研究をしていたことは、時代の最先端でした。
今では普通のことでも、当時としてはとても大胆な研究をしていたということがうかがえます。

 

胎寺から発見された絵図を元に『祷屋祭』の料理を再現!

鳥羽志摩地方には『祷屋制度』というのがあり、正月に『祷屋祭』というのが行われていました。
その祷屋祭で使われた235年前の料理絵図が、鳥羽市の町並みを一望する『金胎寺』の屋根裏から発見されました。
この土地ならではの食材が使われ、豊かな場所であったことがわかります。

志摩の古文書学習会をはじめ、いろいろな関係にその絵図の内容を読み解いてもらい、料理を再現したいと考えていたところ、鳥羽料理研究三重三料会の会長、松浦貞勝さんが関心を示してくれて、戸田家さんで料理を再現することになりました。
中でも一番関心があったのは『干し蛸松』という干した蛸の足を松に見立てた料理。
これが再現されたのが感激でした。
昔の料理を再現することでまた、新しい、将来につながっていく料理を生み出していくということを改めて感じられました。

 

島由紀夫が過ごした部屋を見る事ができる

これまでは神島を一周するガイドをしていましたが、高齢のお客さんが増えてきたため、またガイドする人間自体も高齢化してきたため、それも含めて『近くで楽しめる神島』という新たなガイドコースの開発に取り組んでいます。
島で唯一の旅館の山海荘さんを窓口に、三島由紀夫が下宿していた建物の中を見るというもの。
三島さんは寺田家の2階に下宿していたため、急な階段を上がると三島由紀夫の作品の雰囲気が伝わってくると思います。
今も、当時と同じほぼ同じ形で残っているので、そこに魅力を感じます。
定期船乗り場から時計台、洗濯場、それから寺田さんの家になりますが、階段も少ししか登らなくて良い、高齢の方でも楽しめるコースになると思います。

最近は地元の人にも鳥羽の名所や歴史などを知ってほしいと思っています。
地元の人に知ってもらうと、外から来る観光客の方に広がりますからね。