三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2019年5月19日

桑名市の旧東海道沿い、餅屋だった店舗を改装し昨年OPENした「定額制」の女性向けレンタル古着店には、近所の人や知人から譲り受けて手直しをしたコートやワンピースなどが店内に並びます。
年会費3000円で1着借りることができ、返却すればまた次の一着が借りられるというシステム。
何度も通ってもらう仕組みを作ることで、地域を賑やかにしたかったという店長の生駒郁代さんの狙い通り、口コミで会員の輪が広がりつつあります!
目指すのは街のクローゼット!

桑名市の旧東海道、『福餅』と看板のかかったお店。
実は『フクモチ・ヴィンテージ』という古着屋さんなんです!

 

店主の生駒郁代さんに、このお店についてお聞きしました。

「こちらは古いビンテージ服を売っているのではなく、レンタルするお店です。
1回3000円払ってもらうと、一年で何回でも交換しに来ることができます」

 

「服は古着好きの私が着ていた物や、近所の人などから『寄付』された物などです」

店舗に出ている服の他、スタンバイ中の服もたくさんあります。

 

年間3000円で気に入った服を一着レンタルし、返却することで別の一着を借りることができるというシステム。
一年間同じ服を借り続けても何度交換してもよく、気に入った一着を手元に置いて3000円を追加し、二着会員になることも可能。
会員数は現在40名程度。
年齢は10代~70代までと幅広く、季節ごとに借り換えに来る人や毎日訪れるお客さんもいるそうです。
『Our Closet』・・・みんなで使う共有のクローゼットをイメージしているとのこと。

 

みんなで使う町の共有クローゼット『フクモチ・ヴィンテージ』にお客さんがやってきました。

 

「Instagramに上がっていた服を借りたくて来たのですが、もうなかったので他の服を探しています。
子どもが小さいためあまり良い服を着る機会がないけれど、ここで素敵な服を借りて何かの時に身につけることができるのを楽しみにしています。
また、祖母の服を置いてもらっているので、誰かが着ていてくれていると、それも嬉しく感じます」

「自分の服がそんなになくても、フクモチさんに来て毎週服を変えたりするだけで、買った気持ちにもなって経済的だし。
寄付した方も喜ばれるだろうし、いいなと思っています」

 

そこに、1人目のお客さんが借りたかったという服を着て来たお客さんが。

「あ、ごめん、借りたかったんですか?
ごめんね、私近所なんで。
この通りのすごい近所なんで、ここをふらっと通って最近はレンタルじゃなくても吸い寄せられるように遊びに来ています」

服を借りることによって結ばれていく人のつながり。
人と物が自然に集まり、交流が生まれる。
それこそが生駒さんが求めていたものであり、地域を盛り上げる原点になればと考えています。

 

「みなさん定期的に来て下さって、たまたまここで会って仲良くなられる方とかもいらっしゃいます。
服だけだと借りて帰るだけになっちゃうので、お話する理由が欲しいなと思って、振る舞いっていう感じでコーヒーを出しています。
話したい人はコーヒー飲んで話していけばいいし、服だけ借りたい人は借りて帰っていったらいっていう感じで。
お友だちが欲しくて始めたということもあるので、嬉しいです」

と、生駒さん。

まちづくりに関するNPO法人の職員として名古屋市内で働き、結婚を機に夫の実家のある桑名市に転居してきた生駒さん。
現在1歳と5歳のお子さんを育てながら、『フクモチ・ヴィンテージ』を切り盛りしています。

「仕事が名古屋だったので子どもがいない時は、桑名は帰って寝るだけの場所で知り合いもいませんでした。
長男を出産してから身動きが取りづらくなり、とてもストレスを感じていました。
そこで自分で楽しい場所を始めて、人が来てもらえるようにすれば、自分が行かずとも人が会いに来てくれるので、一石二鳥かなと思いました」

 

そんな生駒さんを支えてくれているのが、頼れる大家さんでもあり、店のオープンを後押ししてくれた坂本都始子さん。
月に一度お寺で開かれていた『子ども食堂』に参加し、席が隣になったことから、2人は親しくなりました。
この出会いがきっかけとなり、すでに営業をやめていた坂本さんの餅屋の店舗を借りて『フクモチ・ヴィンテージ』がスタート。
大家さんであり、パートナーである坂本さんは、店舗の奥に暮らしながら、店で並べる服のリメイクを担当しています。

 

「洋裁学校に行っていて、結婚してからも餅屋の仕事をしながらミシンを踏んでる事が多かったですね。
今になると、洋裁を習っていて良かったと思います。
古着をレンタルするという発想も、とても良いですよね」

と、坂本さん。

「おそらく坂本さん自身も商売されていたからですが、とてもセンスの良い方というか感覚の良い方だなって思います。
先輩でもあるしチームメイトというか、一緒に頑張る人みたいな・・・助け合う関係のような気がしています」

と、生駒さん。

 

散歩に出かける坂本さんと生駒さんの次男。

「坂本さんには、息子たちもとても可愛がってもらっています。
散歩に出てくれている間に、私はお店のことをさせてもらっていて、助かります。
私自身の子どもだけではなく、地域のみんなで子育てなどの問題を解決したり、新しいものを育てていくことができたらいいなと思います」

 

「今までの自分の生活では出会うはずのなかった人と出会えて、そういう方がこのお店を面白いなと思って、何回も通って下さるようになったりとか、お客さんたちが楽しそうにおしゃべりしているのを見ると良かったなって思います。
お店についてはこう展示をしたいなとか、ワークショップとかもしたいと思っています。
このお店を見て、通りにある空いてるお店や家の持ち主の方が、『何かやってほしい』と言ってくれて、仲間が増えると嬉しいですね」

と、生駒さん。

町のみんなの共有クローゼット『フクモチ・ヴィンテージ』。
お店の場所やシステムなど、詳しくはウェブサイトをご覧ください!
あなたの好みの一着が見つかるかもしれませんよ!