FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年7月6日放送

今回のお客様は伊賀市で活動する『影絵組 たこの足』の川瀬恵子さんと北登茂子さん。
影絵の魅力を12人のメンバーで伊賀から発信しています。
影絵組たこの足が出来てから今年で15年になります。
まずは代表の川瀬さんに始まった頃のお話しを教えていただきましょう。

                 左 川瀬さん 右 北さん

っかけは2004年の芭蕉さんのイベント

川瀬 2004年に開催された、芭蕉さん生誕360周年の事業があり、伊賀は忍者ということがあり忍者から『影』で、影絵をみなさんに発信しようとなりました。
そこで影絵講座の参加の募集があり、私たちがそれに応募しました。
2004年は『影絵フェスティバル』ということで、一つの作品をみなさんに見ていただき、その後2005年の4月から受講生で影絵のグループを始めようと立ち上げたのが『影絵組 たこの足』です。
絵本などのお話に興味がありましたが、影絵というのは見たこともなかったので、これが自分にできたら楽しいなと思い、応募しました。
当時は障子に映ったような昔の「狐の手影絵」のようなイメージしかありませんでしたが、一から人形の作り方、照明の当て方を教えてもらう中で、とても奥が深いな、やってもやってもいろいろな物が出てくるという魅力を感じました。

 

生時代に1年で影絵をやめてしまいやり残した気持ちがあった

 大学1年の時に『こどもの劇場』という影絵劇団に入ったのですが、ここから京都まで通っていたため、草津線に電車がなく帰って来られなかったりということがあり、結局1年の途中で断念してしまいました。
この募集を見た時に、講師が大学時代の先輩だったと気付き、なにかのご縁だと思い、5人の子どもの一番下が保育所に入ったのをきっかけに家族に相談したところ、こころよく送り出してくれました。
やり直したことにもう一度挑戦する気持ちで、芭蕉さんの影絵の講座に応募しました。

 

くっとする瞬間がある

川瀬 絵本で読んでいる分には挿絵を見て文を読んで感じる部分がほとんどですよね。
でも影絵にすると人形の動きがあったり背景が変わったり、セリフが入ったり、そこに音楽も入りとても厚みが出てくるんですね。
自分で普通に絵本を読むより素晴らしい世界だなと思いました。

 今、演劇を専門にやっている人がセリフを読んでくれたり、音楽もピアノの作曲もできるという人たちと一緒にやることで、演じていてゾクッとする瞬間を体感できることが多々あります。
演じながら思いが溢れてきて泣けてくるとか、そういう感じでできているというのが楽しく、幸せです。

川瀬 最初は何もわからない状態で始めたような感じだったからね。

 とにかく間違えないように、なぞるという感じ?
自分が感情移入してなり切る、というところまではまだ行けずに、やっぱり今から思うと、板の人形を動かしていたんだなと。
今、私たちが感じている達成感とはちょっと違ったかな。
まだ若かったなあというか、青かったなあという気がしますね。

 

ても難しいシーンを影絵で表現できた

川瀬 ただ面白いとかいう話だけではなく、物語を通して私たちは何を皆さんに伝えたいのかなということをいろいろ考えています。
最初はそれぞれ、お薦めの本を持ち寄るのですが、1つのお話を決めるまでにとても時間がかかります。
最終的にはテーマを決めて落ち着きますが、なかなか時間がかかりますね。

 どの層をターゲットにするかということもありますし、とても良いお話でも影絵にできるかどうかが難しいですね。
表現できないこともあるので、それをクリアしながら作り上げていくのも醍醐味ですね。
今取り組んでいる新しい作品は、『きみはほんとうにステキだね』という恐竜のお話。
棒のついた人形なので、通常は下から演じることだけなのですが、恐竜が海に落ちるシーンがあり、それをどう表現するかをみんなで議論しながら作り上げたときは、もう、新しい影絵の世界を作ったなと(笑)。

川瀬 (笑)

 お客さんが見ていて、どうなっているのかわからないんじゃないかなと思うようなトリッキーなものを取り入れられたのが嬉しいですね。

川瀬 終わったあとに、「良かった」「とても感激した」という生の声が私たちに届きますので、それを原動力に次も頑張ろうと思います。