FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年4月21日放送

紀北町紀伊長島区古里。
ここには温泉があって、1年中いろいろなみかんが栽培されています。

今回のお客様は、「きいながしま古里温泉」横で「ふるさと温泉市場」を運営している『花蜜柑』の野呂秀子さんと野呂幸代さん。
ここでは野菜やみかん、手芸品などを販売していて、ダイダイを使った『橙ポン酢』がオススメ商品なんですって。

語り・野呂秀子さん

■廃棄処分のダイダイでポン酢作り!

ダイダイというのは、一回実がなるとハサミで切ったりして落とさない限り、ずっと落ちないんですよ。
一年経って青からダイダイ色に変わり、また一年経つと青くなって、新しくなった実と一緒になっているんです。
だからダイダイ…『代々』と言われているそうです。
しめ縄にも『子孫代々』という意味で、必ずダイダイが付いているでしょ。
縁起物なんですよ。

でもダイダイは実は、猿でも食べないんですよ。
もちろん私らも、これまでは全然使っていませんでした。
使うとしたらそれこそお正月のしめ縄とか、秋刀魚寿司の香りづけに…これも好みで、という感じで、一般的にはほとんど。

ダイダイはこのあたりのほとんどの家にあって、年末には出荷していたのですが、尾鷲の市場でも引き取ってくれなくなって、廃棄処分されていたんです。
もったいない…けれど食べる方法も知らない。

というわけで、ダイダイを使おうと決めて、レシピ作りを始めたんです。
作りながら試食を繰り返して、これならドレッシングがわりにできるかな、と。

そして完成したのが、この『橙ポン酢』!
完成した時は嬉しかったですね!

販売してみたら、けっこう皆さんに好評で。
みなさん、おいしいおいしいと言ってくれて、最近では何回も買いに来てくれる人も増えてきました。


■1つ作るとまた次へ

最初は何にも考えていなかったんですが、色々なところで話を聞いているうちに『花蜜柑』としても、「何かしなきゃ」という気持ちになってきまして。

そして1度、1つの物が出来上がると、今度はまた次のことをしたいな、という気持ちになるんですね。
今も色々考えていて…今度は甘夏のキャンディを考えています。
アイスクリームも勧められたんだけど、ちょっと難しいかな。

それから今度はデコポンのポン酢を作ろうかな、と思っています。
デコポンのほうが甘いし、香りも独特ですしね。
もちろん『橙ポン酢』とは、調味料の配合も微妙に変えるつもりですよ。
まだ実現はしていないけど、これが実現したら、今度はまた、まったく違うことを考えて行きたいですね。

というのは、お店に『橙ポン酢』を置いてもらうと、
「これだけだと足りないから、もうちょっと他の商品も置いてよ」
と、言われるんですよ。

なのでこれからは甘夏のマーマレードを作る予定で、もうすでに準備に入っています。
もちろん作り手も確保してますよ!
古里地区は民宿などが多い関係で、作る場所もあるし、そういうのをやる人が、何だか多いんですよ(笑)
いざとなったら力を合わせてね、「やろか」って言ったら、日を合わせてすぐに実行!!
スゴイでしょ(笑)


■まだまだ改良の余地あり!

ポン酢を作ることが決まってからの行動は、本当に早かったですね。
今年の2月の下旬にレシピが決まって、3月10日に商品完成。
発売日が3月17日でした。

早く出来上がったから早く売りたい!
…そんな思いから、ボトルもあっさりしたもので行こうと円錐型に。
でも、専門家の方から、
「あっさりしすぎているので、もうちょっと考えましょう」
と言われているんです。
確かに、『橙ポン酢』がお店に並んでいるのを見ると、もうちょっと考える余地があるかな、と(笑)

『橙ポン酢』を開発してからというもの、スーパーなどで、よその商品に目が行くようになりましたね。
お客さん視点じゃなくて、作り手側の視点。
以前は、ダイダイのポン酢なんて絶対ないと思ったけど、試しにインターネットで探したらいっぱいあったんですよ(笑)
作り手として、これはもっと頑張らないと、と思いましたね。
でも『古里』のダイダイを使っているのはここだけですから。


■古里からどんどん商品を生み出したい!

ミカン酵母を使ってパンを作ろうとか、石鹸を作ろうとか、蜜柑の皮を使って洗剤を作ろうとか…たくさんしたいことはありますよ。
でも、1つのものを作るのには、保健所の許可の関係で、1つの場所が必要なんです。
1つの商品を作って、空いている時間に同じ作業場で他の商品を作るっていうことができないんです。
特に私たちが作るのは、人の口に入るものなので。
そんなわけで場所が必要なので、あれもこれもと、いくつも作るのは難しいですね。

もちろんこれから作る予定のマーマレードはちゃんとした場所を確保していますよ!
甘夏はこれからが時期なので、しっかりと作ります。

これからもどんどん『古里』の素材を使った加工食品を開発したいですね。
全員じゃなくて、グループごとに商品を開発することで、いい意味での競争になったら、もっともっと『古里発』の商品が生まれてくるんじゃないかな…そんな風に思っています。