FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年8月17日放送

今回のお客様は、桑名市『車久米穀店』の石川伸介さんです。
創業明治4年のお店は、石川さんで5代目。
昔から地域のみなさんにおいしいお米を届けています。

ラリーマンを経て、店を継いだ

以前はサラリーマンをしていました。
昔から継ごうという気持ちはありましたが、ここ数年でその気持が大きくなり、多度大社前店をオープンした3年前に継ぐ形になりました。
お米屋さんに買いに来てくれるお客さんが少なくなりましたので、とりあえずお店に足を運んでもらおうということで、カフェ的な感じにしたりお土産を置いたりして、たくさん来てもらえるよう努力しています。
ほとんどネットやスーパー、ディスカウントストアで安いお米が買えるので、やはりそちらを利用する人が多いですね。
安ければ良いというお客さんもいますが、やっぱり美味しいお米を食べたいとか、こだわったお米、減農薬のお米を求める声もあるので、その人たち向けにお米を取り揃えて、販売をしています。
一番遠いところで宮城県や佐賀県・・・いろいろなお米を取り揃えています。
何を言ってもお米は精米したてが一番美味しいので、ぜひお店に来て精米したてのお米を食べてほしいですね。
精米を待つ間、カフェスペースでコーヒーを飲んでゆっくりしてください。

 

美味しいのは長野県の米!

昔は東北や新潟のお米が美味しいというイメージがありましたが、今は品種改良もされて温かい地域でも美味しいお米が作れるようになったので、それらを厳選して揃えています。
長野県に、うちがこの店を始めた時からお付き合いしている、『上納米』を作っているグループがあります。
そちらのお米をオススメしています。
特徴としては完全有機栽培で、何十年も化学肥料を一切使わず、有機肥料のみを使って育てています。
土壌から改良して美味しいお米を作るというグループなので、うちでも人気商品になっていますね。
お米業界の中でもいろいろなグループがあるので、そちらに顔を出して農家さんに顔をつないでもらったり、生産者さんや問屋さん、仕入先に紹介してもらい、どんどん広がっています。
生産者産ごとにこだわりや作り方があるので、そのお話を聞きながら仕入れることで、お客さんにも伝わるので、いいことだと思います。
お米屋さんに入るというのは、怖いというかハードルが高いと思われがちですが、一度来ていただいて食べてもらえたら違いがわかると思います。
スーパーなどに比べると、若干お値段は高くなりますが、絶対にその差は味で埋まるはずです。

 

名地域で『ぱっかん』と呼ばれるポン菓子は人気の商品

若い人たちがあまりお餅を食べなくなっているのは事実ですが、改めて食べると、「やっぱり美味しい」と気づくお客さんがたくさんいます。
一度専門店で食べてもらうというのが、一番良いと思いますね。
近くに多度大社さんがあり、年間行事があるときはお餅を作らせてもらっていますので、年間を通してお餅はやっぱり日本人にはなくてはならないものだと思います。
米屋ですからお米はたくさんあります。
お米を使って何かできないかなということで、ここの店を始めるときに『ポン菓子』を始めてみたところ、けっこう好評で。
今は、近くのショッピングセンターや、伊勢のおかげ横丁でも置いてもらっています。
徐々に浸透している感じがしますね。
このポン菓子、桑名などの北西地域では『ぱっかん』と呼びます。
この辺りでも昔はぱっかん売りが来ていましたが、今ではまったく見なくなりましたね。
年配の方や大人の方は懐かしいと言い、子どもさんは珍しがってくれますから、買っていってもらえます。
「コレ何?」と訊かれるお客さんも多いです。
材料が米だと気づかないみたいですが、小さなお子さんからお年寄りまで、はば広く喜んでもらえる商品ですね。

 

域に応援してもらえる店でありたい

餅を使った『玄米揚げウマ餅』や『玄米揚げウマおむすび』、飲み物だと自家製甘酒や琥珀糖サイダーを店頭で販売しています。
『食べる宝石』と呼ばれる琥珀糖をサイダーに入れて飲んでいただく・・・目でも下でも楽しんでもらえる商品を作っています。
一人で考えていても限界があるので、いろいろなお店に行ったり、知り合いや友だちに相談して、教えていただきながら作っていますね。
よく言われるのが、「もともとお米屋さんだと、なかなか考えつかないものを考えるね」と。
ラリーマンをしていから、逆に違う方向から考えるから新しい考えが生まれるんじゃないか・・・と、みなさんから言われます。
自分ではよくわからないですけど。
たくさん失敗もありましたね。
だけど、失敗しながらも残っていった商品はやはり良いものだと思っています。
残っていく商品をどんどん作っていき、地域から応援してもらえるような店に育てていきたいですね。
このお店を始めるきっかけが「多度大社前をもっと活性化したい」という思いから。
たくさん人が来てもらえるような、お伊勢さんのような町にしたいという思いでオープンしました。
その一環で、有志というか友だちや先輩たちと集まって、毎月一回『多度大社朝市』を開催するなど、人が来てもらえるよう、いろいろなことを考えています。