世界遺産登録15周年記念企画展「矢ノ川峠物語~想い出がこだまする~」

■開催日時

 令和元年 11月2日()~2019年12月15日()※会期中無休
【時間】午前9時~午後5時

■開催場所

企画展示室

■内容

地形が急峻で雨量が多い紀伊半島南東部は、古くから地域と地域を行き来する道の開削が遅れ、人の移動や生活物資の運搬には相当な労力を費やしたと考えられます。特に現在の尾鷲市と熊野市の間は深く刻まれたV字谷の急峻な山々が折り重なり、また沿岸部まで山が迫り出しているため、長い間両市を行き来する交通手段は、地域と地域を結ぶ生活道などを歩いて往来するか、船を利用するかのいずれかでした。やがて、土木技術の進歩により橋梁やトンネル建設が採用されるようになると、峻険な山間部でもそれらが応用され、尾鷲市と熊野市を結ぶ矢ノ川(やのこ)峠にも山岳道路が開削されました。開通当初は索道、いわゆるロープウェイと民間の乗り合いバスを併用して両市を行き来していましたが、昭和11年には矢ノ川峠道南谷経由が竣工となり、両市間約43㎞を2時間45分で結ぶ国鉄バスが運行されるようになりました。そして、昭和34年に紀勢本線の開通にともない、峠を越える路線バスは廃止となり、より標高の低い所にトンネル2ヶ所を貫通させ、昭和43年に昭和新道として竣工し、路線が変更となりました。時代とともに技術が進歩し、それにともないより早くより安全に通行できるような交通システムが構築され、地域の道路事情が変遷してきました。本企画展では、尾鷲市と熊野市を結ぶ矢ノ川峠道の交通変遷に焦点を当て、安全索道や国鉄バスに関わる様々な資料と古写真を紹介し、往時を回顧します。