三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2019年11月10日

桑名市で今年夏からコインランドリーの2階を有効活用して、利用者によって様々な使われ方をしている『ニカイ』!
管理する福田さんは、5年前に東京から桑名に移住、バックオフィス業務を遠隔で行うテレワーカーを行いながら、「ニカイ」という空間を提案、地元桑名を中心とした人々の協力を得て、改装、運営をはじめました!
「ニカイ」の使い方は様々、オフィスとして使う人も居れば、打合せを行う人も居れば、コーヒーやお酒を飲みにやってくる人も。
やってきた人に相談をしたり、そこからまたアイデアが出たりもする。
「こういう所」と定義づけるのではなく、「ニカイ」という空間を利用する人が自分で使い方を考えることで、柔軟な空間を目指しています!

桑名駅から徒歩10分ほど歩いた場所、寺町商店街に行く道に、空き家空き室を有効活用した面白い空間があるそうなんです。
それがこちらのコインランドリーの2階!

 

コインランドリーの店内ではなく、裏に回ってみると・・・ドアに『ニカイ』と書かれています。
入り口は正直、廃墟感が漂っていますが・・・

 

こちらが2階にある『ニカイ』。
ウッディで明るい雰囲気です!
テーブルやカウンターもあり、とても居心地が良さそうです。

 

『ニカイ』を運営する福田さんは、東京出身。
5年前に桑名に移住してきました。
銀行員だった経験を活かし、都市部の企業のバックオフィス業務を遠隔でおこなう仕事をしています。
ところでこの空間は、どのように生まれたのでしょうか。

 

『ニカイ』をつくった水谷岳史さん(右)と、『ニカイ』の場所を提供した佐野康治さん。

「佐野さん所有のコインランドリーの2階が空いているということで、なにか面白いことができないかな、と。
最初は本当に何もない空間でした。
入り口も狭いし、たくさんの人が来るのには向かないから秘密基地みたいな場所にしたいなと思いました。
僕は桑名出身で、現在は名古屋で空間を作る仕事をしていますが、地元にもそういう場所と自分の居場所ががほしいと思い、協力して作らせてもらいました」

と、水谷さん。

「楽しいことをは好きだけど、資金的な部分も含めて自分ではできなかったことをしてくれるといいなと、応援しました。
商売にしないという前提で作りましたが、実際蓋を開けてみたら毎日のようにいろいろな方が来ていて、私もふらっと寄ると知らない人がいたりしてね。
日々変化しながら進化している場所で、その変化を楽しんで日々見守っている状態です」

と、佐野さん。

人が集い、日々変化して進化する空間。
そんなニカイは、誕生のときからたくさんの人が関わり、その協力によって成長してきました。

 

安価に作るためと、たくさんの人に『ニカイ』の建築に携わってほしいとの思いから、カウンターの机は余った材料を使い、薄く切って貼ることで、机の柄にし
ました。

壁には1枚2000円ほどの波トタンという鉄板を貼り、そこに塗料を塗ってホワイトボードに。
随所に、安くしかも使い勝手の良い空間に仕上げる工夫が凝らされています。

 

『ニカイ』のヘビーユーザー、内山潔さんが来ました。
自然環境にかかわるNPOの専務理事を務めるほか、デザイン会社の経営もしています。

「このパソコンは私物です。
他に行く場所が置く場所がなかったので合法化してもらっています。
会社に僕の机がなくて居場所がないので、ここで使わせてもらってます。
ほかにも仕事していたりする人がいるので、お互いに無言のプレッシャーをかけつつ仕事ができるので、はかどりますね。
困ったことがあったときの相談などもしやすいなどのメリットもあります」

 

続いてやってきたのは、以前番組でもご紹介した三重のウェブマガジン『OTONAMIE』の発行人・村山祐介さん。

「ここは実は『OTONAMIE』の編集室も兼ねていて、記者さんが出入りしたりもします。
今度このタブロイド版を出すので、持ってきて仕分け作業していました。
月に何回か来て、話しながらコミュニケーション取りながら、いろいろ作業したりしています。
いろいろな人が来るので、新しい知識を得たりしますし、企画のアイデア考える時とかでも底にいる人に聞いてやりとりする中で、どんどんアイデアがふくらんでいったりすることもあります。
サロンでもないしコワーキングスペースでもないし・・・逆に新しくて単語がまだないっていうのは面白いですよね」

では、村山さんがこの場所を名付けるとしたら?

「・・・なんだろ、『たまり場』(笑)!」

 

たまり場だから、ふらりとお酒を呑みに来る人もいます。
こちらは税理士の藤本純さん。

「人生で成し遂げるために何かをやるんじゃなくて、一個一個楽しいことを散りばめていって、結果何か大きなことを成し遂げる・・・みたいなタイプ、ちょっと違うじゃないですか。
新しい令和の時代のこういうことなんだなっていうのを少し感じるようになりましたね。
ここに来るようになって、とても良かったです。
自分の人生観変わったし、誰からも学ばないといけないと思えるようになったし、本当良かったです」

 

中学の先生である江口春斗さんも常連の一人。

「自分が元々生まれ育った桑名という場所で、いろいろな個性を持った人たちと出会うことができ、お互いの良い所を補完し合えて、新しい何かをつくっていける希望のある場所だと思います」

 

個性が出会う場所にはさまざまな人がやってきます。
こちらは美術の教師であり、デザイナーの葛西博美さん。

「1回とりあえず行ってみようみたいな感じで来たらそのまま・・・心地いいなと思って来させてもらってる感じです。
いろいろな人が集まるし、いろいろなことができる場所なんだなと思います」

 

「ここはカフェでもなくシェアオフィスでもなく、コワーキングでもなく・・・利用している人たちがそれぞれで『こんな場所』というのを決めています。
いつか、『ニカイっぽいね』とか『ニカイ的な』とか、『それがニカイなんだよね』という言葉が一人で歩き出すっていうことが理想ですね。
今後はここがやはり、『つながれる場所』であったらいいなと思います。
ただそれが人なのか情報なのかモノなのか・・・そこは出入りする人たちが、自分たちで持ち込んで、何かここでやりたいと思うことを実行していってほしいというのが、今後の展開として期待するところです。
私が想像できないことがここで行われたらいいなと思っています」

と、福田さん。

つながる場所、たまり場、おとなの秘密基地。
『ニカイ』は、誰でも気軽にどうぞ、という場所ではありません。
ここに足を踏み入れることができるのも、やはり人とのつながりなのです。