FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年11月23日放送

今回のお客様は、ウミガメの保護と海岸保全につとめる『ウミガメネットワーク』の会長、米川弥寿代さんです。
米川さんとウミガメとの出会いは今から15年前のことでした。
調べれば調べるほどウミガメはおもしろい。
しかし、生き物を取り巻く環境は、問題がいくつかありました。

ガメが出てくるのを見たいと思ったのが始まり

ウミガメの子ガメの脱出・・・砂から出てくるのを見たい、最初はただそれだけでした。
ウミガメの力強さのようなものを、自分でも体験したい、見ることで自分のものにしたいと感じました。
私も見習わないと、と感じました。
それ以降、ウミガメの産卵場所を頻繁に訪れ、子ガメが出てくるのを今か今かと待つようになりました。
でも、それだけでは足りません。
やって来るウミガメをもっと守っていかなくてはという使命感、またウミガメの産卵の仕方など、もっと人に知ってもらわないと、と思うようになりました。
そこから方向性が広がっていきました。
いろいろな人に聞いたり、本を読んだり、勉強させていただきました。
とてもおもしろいと思い、今に至っています。

 

度が低いと雄が生まれ、温度が高いとメスが生まれる

生物としてはいたって当然の仕組みかなと思います。
身体の仕組み、産卵の状況なども化学的に考えたら納得できることが多いと思いますね。
生まれたばかりの卵は雌雄が決まっていないのですが、性別が決まる時期の砂の温度が29度だとオスもメスも同数くらいになります。
温度がそれよりも高いとメスが増え、低いとオスが増えます。
それは『温度依存性決定』と言うのですが、ウミガメだけに限らず、爬虫類・・・蛇やトカゲなども、周りの温度でオスメスが決まります。
彼らが生きていく上で、どうしてもそうなってしまう仕組みなんですね。
非常におもしろいと思いました。
鳥などは卵を親が温めるので、一定の温度で孵化させることができるんですが、爬虫類は卵を生みっぱなしで親はどこかに行ってしまうので、周りの環境に頼らざるを得ないんですね。
ですから温度で雌雄が変わるのは当然のことだと思いますが、そのために彼らはたくさん卵を生みます。
うまくできているなと思います。

 

イクロプラスチックやゴミの多さなど海岸の問題はたくさんある

プラステチックゴミは海岸に非常に多いです。
伊勢湾の中はプラスティックゴミよりも、どちらかというと自然ゴミゴミが多いと言われています。
山林の荒廃や里山の荒廃、河川敷の樹林化・・・木や葦が増えていくことによって山や川からどんどん木が流れてきて、自然ゴミも非常に増えています。
自然ゴミの増加と人工ゴミ、マイクロプラスチックも含めてのプラスティックゴミの増加が、生態系に対して良い影響は及ぼしていません。
確かに心配な要素です。
私たちの会では、年に1回大掛かりな海岸清掃を実施しています。
次回は、来年4月に津市高洲町の海岸で清掃をする予定です。
年に1回海岸清掃したくらいでは、実際どうにもなりません。
でも、海岸清掃が必要だということをみなさんに知ってもらいたいと思っています。
海岸清掃をきっかけに、いろいろな方に海のこと、海のゴミのことを知ってもらい、ゴミは捨てない、持ち帰る、不法投棄は絶対にダメだということを、自分の生活の中で実践してほしいと思います。

 

員は110名ほど、徐々にメンバーは増えている

ウミガメのたくましさを、今までたくさん見てきました。
それを見ていて、野生の生き物に学ばなければならないな、と思うことがとてもたくさんあります。
人間は自分たちの生活を便利にしようと改善してきたことがたくさんありますが、それによって自然を汚してきたという側面もあると思います。
そういった部分は、自分たちで改善しないといけないと思いますし、次の世代に向けて、良い自然環境を残していかないと、最終的に自分たちの首を締めることになります。
できる限りのことをやっていきたいなと思っています。
まさにウミガメから『自然を大事にしよう』という力を学びました。

四日市、鈴鹿、津の海岸で活動を始め、現在会員は110名ほど。
毎年少しずつメンバーは増えています。
単にウミガメが可愛い、見たいというだけではなく、自然環境を維持しよう良くしようという人がたくさんいます。
今後も環境保全やウミガメの保護、いろいろな観点から社会に少しでも貢献できることを考えていきたいと思います。
私がこれまで活動をしてこられたのは、多くのみなさんが支えてくれた力のおかげです。
これからもそういった方々と一緒に活動を続けていきたいと思います。

20年後、30年後もウミガメが産卵に来る環境を残しておくことが『ウミガメネットワーク』の使命です。
ウミガメの産卵のために綺麗な砂浜、良い環境を残していきたいと考えています。