FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年11月30日放送

今回のお客様は、志摩市にある『ぱん屋ふじ田』の藤田幸男さんです。
名門ホテルのベーカリーで40数年、パンを焼いてきました。
そして退職後、立神にお店をオープンしました。
得意とするのは、ハード系のパン。
シンプルなパンほど素材が大切で手間暇がかかります。

職してすぐにベーカリーの担当に

就職してすぐにベーカリー部門の勤務となり、その中でずっとパンやケーキを焼いたりしていました。
46年くらいですかね、ずっとパンを焼いていました。
『ぱん屋ふじ田』は、ホテルの味を地域のみなさん、子どもからお年寄りまで気軽に入って食べてもらえるようなお店づくりを目指してオープンしました。
食事の時のパンを提供していますが、みなさんに味をわかっていただけて、お店の人気商品となっています。
美味しいものは、みなさんよくおわかりです。

 

ランスパンなどシンプルなパンほど難しい

難しいのはシンプルな、粉と塩と水と酵母だけの配合のパン。
それがフランスパンやハードロールのようなものだったりします。
季節の変わり目がポイントになってきて、同じものを作り続けるのは非常に難しいですね。
菓子パンのように甘さとか、中に入れるジャムや餡やカスタードクリーム、こういったものはまた、材料の味が左右しますが、何も入れない、いわば『白ご飯』のようなタイプのフランスパンは、気も使うし、難しいです。
10時オープンの時点で、だいたい34〜5種類出ます。
僕は2時に起きて3時に工房入り。
3時から10時を目処に、順番にパンを焼き上げるようにしています。

 

80年の蔵を改装してお店をオープン

本当にこんなところにパン屋があるの、とか、本当にたどり着くのかなと言われます。
でもそれが楽しいのかなと言ってしまうと悪いのですが、そういう部分もあるかなと思います。
実はこの店舗は米を貯蔵するための米蔵でして、昭和9年に建てられたもので84〜5年経っています。
私はここの地域の出身なので、建物自体は知っていましたが、中を見たことはありませんでした。
で、ある日入り口が開いていたので覗いてみたところ、その瞬間に、
「ここでパン屋ができたらいいのに!」
と思いました。
やってみてわかったのは、蔵なので温度差が少ないということ。
夏でも冬でも外気をかなり遮断してくれるので、パン作りには最適でした。
また、この白い壁と柱、見た瞬間にいいなと思いました。
天井も高いですしね。
で、いろいろ、この建物を使うことができるのか、改装ができるのか・・・などを順番に確認していって、オープンにこぎつけました。

 

ンプルでおいしいパンを作りたい。選んでいる人の顔を見るのが嬉しい

『ぱんやふじ田』の『ぱん』は平仮名です。
やっぱり僕はシンプルで美味しいパンを特徴として出していこうとしているので、平仮名にしました。
あんぱんなら、みなさんが思うあんぱん以上の、本当に美味しいパンにしたい。
すべてのパン食べてじっくり味が出てくるような、美味しいものを出せるように心がけています。
厨房からお客さんが見え、僕からも店内のお客さんが見えるようにしてあります。
ニコニコして、嬉しそうにパンを選んでもらっているのを見ると、僕もとても嬉しくなります。
やっぱり選んでもらったパンを家族や仲間で、楽しく食べてもらっているんじゃないかなあ。

ミキサー回したりオーブンで焼いたり、いろいろな工程を耳や鼻、五感を使いながらやっている中で、仕込み中は絶対に喋りません。
焼き上がるまでは無口でやるんです。