FM三重『ウィークエンドカフェ』2019年12月7日放送

今回のお客様は『三重外湾漁協紀州支所』長島地区漁業権管理委員会委員長の大倉浩之さんです。
漁師になって38年、紀伊長島の海が仕事場。
一年中、漁に出ています。
今は伊勢海老漁のシーズン。
伊勢海老は昼間じっとしていて夜、活動を始めます。
前日、海底に網を仕掛け、一晩おき、翌朝、その網を引きに行く。
ここ最近の水揚げは頭を抱えることも多くなりました。

は伊勢海老の刺し網漁の季節

今時分は、延縄とか伊勢海老の刺し網ですね。
たまにこう、『引きずり』という、道具を引っ張ってトローリングをすることがあります。
ほとんどしませんが。
延縄は鱧や甘鯛がほとんど。
イサキはかかり釣り、沖アミを巻いて釣ります。
旬のものに合わせて、漁種が変わります。
自分が子どもの頃は、魚ももっといました。
長島の海もドル箱みたいに思いましたが、今はかなり苦労していますね。
長島は11月から4月末まで伊勢海老漁。
今年はめちゃ少ないですね。
始まって以来すね。
天気や水温の影響もあるかもしれませんが、かなり悪いですね。
伊勢海老は条件があって、闇夜で冬場でもちょっと暖かくて、風のない波が少ししかないというのが望ましいです。
でも、そんな条件3つも4つもそうそう揃わないので、難しいですね。

 

と月に10日ほど出漁できれば嬉しい 朝起きるのが楽しみ

天気も悪いし、漁に出られる日が限定されますね。
1ヶ月で10〜12日くらい出られたら良い方ですね。
高齢化もしていて、60代70代が一番多いです。
自分たちはやればやるだけの見返りがあるので、やはり、いっぱいの努力とちょっとの工夫が必要だと思います。
会社員だと朝起きて「今日仕事休みたいな、だるいな」と思うけど、自分らは「今日は何が獲れるかな、楽しみだな」という気持ちで起きることができます。
朝起きる楽しみは確かにありますね。
伊勢海老漁は天気の悪い日や雨の日はほとんど出ませんが、夏の時期は雨でも行きますよ。

 

き漁礁を作って魚が取れる場所を作っている

長島は地域的に恵まれているというか、川があって離れ小島『大島』があって、その先にも一つ『佐婆留島』という離れ小島があります。
そこは岩礁で『瀬』になっているため、地形的には恵まれています。
そこに人工的な漁礁である『浮き魚礁』を作って設置しています。
行くあてのない漁に行くよりも、浮き魚礁でカツオやシイラなどを集めて利用することで、高齢化が進んでもそこにいけば何かの魚が獲れるアテになる場所を作ろうと。
作って5年目になりますが、かなり今年はかなり成果がありました。
竹とヒノキの葉っぱ・・・最初に間伐材で作ったものも成果はありましたが、今度は竹でやってみようと、間伐材とヒノキと竹を組み合わせて作ってみました。
それが良かったのがどうかわかりませんが、今年はかなり良かったですね。
4年目5年目となり、自分たちでもだんだんと作る工夫をしてきて、かなり成果が出たと思います。
小さな石鯛や、私たちが『ウケ』と呼んでいる『オキサワラ』、カツオ、シイラ、カンパチの子どものシオ・・・いろいろな魚が集まってきます。
魚の習性を利用して、どうにか魚をそこに寄せて、行くアテを作りました。

 

き漁礁は徐々に成果を上げている。高齢者たちから色々なことを教わっている

みんなでやって成果が出れば、みんなで行けるような場所を作ろうという感じで、据え付ける場所にもよりますが、行ける距離の場所で作ります。
一人ではなかなかできることではないし、県や町の人にも協力してもらって・・・あんまりそんなに気を使わずに、安上がりなものでどうにか成果を出せたらとはじめたことですが、ようやく少し、兆しが見えてきた感じがしますね。
来年再来年と続ければ、また増えてくるかもしれないし。
今はまだ1基しか付けていませんが2基3基とやれば、さらに成果が出るのではないかな。
高齢化はしていますが作り方や工夫したのはやっぱり、お年寄りの知恵が大切。
それを聞いて参考にして、若い子が作って。
どんどん継承して、これからも作っていきたいと思います。
浮魚礁だけでなく、もう7〜8年になりますが、アオリの産卵床も作ってみたりしています。
はじめは失敗しました。
藤棚やぶどう棚のような形にならないと卵が付かないんですよ。
その形をどうにか作れるようになってから、全部に付くようになりました。
これも毎年やっています。

浮魚礁も、朝起きて「今日は何が獲れているかな」と、行く場所を作るために作ったものなので、ゆくゆくはこれも遊びに使うというか。
簡単に行って簡単に釣れるとなったら、人も集まってくるだろうし、魚が釣れなくても、魚の一匹でも買っていってもらえたらなあと・・・まあ、考えています。