FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年2月15日放送

丸山千枚田のふもと、熊野市紀和町。
ここでステンドグラスの作家として活動しているのが今回のお客様。
『Iru -Cafe & Gita(イルカフェ アンド ジータ)』の東由紀子さんです。
10年前、福岡から熊野に移住して、今はカフェの運営と工房で作品を作っています。
紀和町での生活は、とても充実した毎日を過ごしています。
そして、やりたいことがどんどん広がっています。

テンドグラスの教室をしながら、カフェでは観光案内も

これまではガラスを切るところからの教室はしていなくて、ご注文いただいたものを製作、という形でやってきたのですが、やはり作ってみたいという方が増えてきました。
でも、ガラスを切るところからとなると破片が出たりで、そこまではちょっと・・・という方が多いんですよ。
ご年配の方とか、特に。
なので、ガラスを切った状態まではしておいて、ハンダで組み立てるところをお客様にしてもらっています。
その日その日に1つ完成して持って帰ることができるので、みなさん嬉しそうにニコニコしながら、お互いに写真を撮ったりしています。

今でこそ道の駅もありますが、私がこのお店をオープンしたときは本当に飲食店が少なかったので、飲食店もそうですが、千枚田や赤木の城を見に来た人たちが、情報を得るために立ち寄る場所がなかったんですよ。
だから、観光案内所的で、なおかつ地元ならではの情報を伝えてあげる場所を作りたかったので、カフェだけど観光案内所的なことをしています。
もともと旅行会社に勤めていて、その後ホテルの営業もしていて、ずっと観光業に関わってきたこともあり、そういうことが好きなんですよ。
外国人の方も見えますし、英語力はついていきませんが、とにかく人間同士だから!
どうにか伝わるので、いろいろな情報を得て、楽しんでいって欲しい・・・それだけですね。

 

縁が繋がって、7月には竹灯りのイベントを開催

人が少なくて限界集落なんて言われているような所ですけど、ここで出会う人って、なんでこんなすごい人たちばかりなんだろうと思います。
年の半分を海外で暮らしていて、いろいろな活動をしている方だったり、日本でも有数の技術を持っている武道家の方、カメラマン・・・普通に九州で生活していた頃とは、また違った人間関係が広がっていて、その流れで今『竹あかり』のプロジェクトに関わらせてもらっています。
東京オリンピックの開幕式の前夜に、日本全国一斉に竹あかりを灯そうと。
なぜこういう事になったのかというと、オリンピックに向けて3600万人の外国人のお客様が日本にやってくると予想されています。
そのため、いろいろな情報を得るためにインターネットを見るじゃないですか。
そのときに、日本人としてのおもてなしの気持ちを表わすために竹あかりをしようとなりました。
一つの組織が出来上がって、そこから「やってください」と広がっているものではなく、各県から名乗りを上げたり探したりします。
三重県の場合、誰かやりませんかねということで、「私がやります!」と名乗りを上げて、みんなそれぞれに手を上げた人が集まって、そこから事務局が立ち上がっていっている状況なんです。
すべてが手探りなんですが、それでも自分たちの力で自分たちの街を自分たちで灯す・・・そういう思いを持った人たちが集まって、一つのことを成し遂げる。
そうすると、その後、もっといろいろなことができるようになるのではと。
そのためのプロジェクトですね。

 

鹿八幡宮は慶光院清順にゆかりのある場所

いろいろな条件を考えた上で、紀和町にある『入鹿八幡宮』。
今は宮司さんも常住していないひっそりとした静かな神社なんですが、この境内の中に慶光院清順さんという尼僧の石像が入った石碑が立っています。
何をした人かというと、今から四百数十年前に、伊勢神宮が130年もの間、式年遷宮ができなかった時代があったそうです。
建物も朽ち果てていくのを見かねた慶光院清順さんが、大名や一般の方・・・とにかくいろいろな人たちをまわり、この状況を涙ながらに説いてお金を集め、それを納めて遷宮が復活したと言われています。
これらの資料がいくつか残っていて、それを読んだときに、これってすごいことだと思いました。
式年遷宮を復活させた事自体もすごいのですが、それ以上に、この時代に女性が大名や市井の人を相手に、式年遷宮を復活できるだけのお金を集めたということ。
この大きな金額を集めたという気力。
そんなに簡単にはいかないことを、諦めないでやり遂げた。
すごい女性だなと思いました。
この方は、昔は入鹿村と呼ばれていた紀和町で生まれ、生家の跡も残っています。
今は石碑が立っています。
彼女はこの入鹿八幡宮の近くに建っていたお寺に常駐していて、伊勢の慶光院を行き来していたそうです。
最後は尾鷲の山を越える途中で亡くなったと伝えられています。
このお話を、ぜひたくさんの人に知ってほしいということと、伊勢参りをした後は熊野の入鹿八幡宮に来てほしいと思います。
とても凛とした雰囲気を持った素敵な神社なので、ぜひ足を運んでもらいたいです。

 

とでも自然体で話をして刺激をもらっている

今まで外にばかり向けてきた意識を、「私はどうやって生きたいんだ?」と、自分に問いかけたときに、一番自分のことを知らなかったと気づきました。
私という人間は、本当は何をしたくて、どういう生き方をしたら幸せを感じられるのだろう・・・と、考えていったときに、特に出世したいわけではなく、お金にもそんなに執着がなく。
もちろん子どもたちを食べるためには必要なんですが、あんまりそういうことに価値を見いだせなかったんですね。
持っている人が偉いとか、地位を持っているから偉いとか。
そういう価値観とは違うところで生きていきたいと、私は思ったんですよ。
人は人。
どんな肩書を持っていようが、対等な人。
そうやって考えていくと、誰とでも自然体で話をできるようになってきました。
本当に今は、いろいろな方たちからいろいろな刺激をいただきながら、どんどんどんどんご縁が繋がって広がっていているなと思います。
ありがたいです。
本当は子どもたちにも教えてあげたい。
でもこれは、親である私がいくら言ってもわかるものではなく、今の娘たちの耳にはなかなか入ってくれない。
これは自分たちで経験して得ていくことだと思います。
私もこの歳になって気づいたことです。
もう、人生後半ですから(笑)。

自分のできる範囲の中で、主体性を持って生きていくことを意識しながら楽しんでいきたいなと思っています。

 

※こちらのイベントも開催予定です。

【みんなの想火】
2020年夏に開催される東京オリンピック、パラリンピック。
この期間に日本を訪れる外国人は3600万人に及ぶと予想されています。
その開幕前夜、7月23日に日本中の47都道府県で同時に竹あかりを点灯し、世界中からのお客様をおもてなししよう!
世界と日本のみんなをつなごう!というプロジェクトです。

開催日時 2020年2月16日 18:30〜21:30
開催場所 オランジェグリーンガーデン
     三重県伊勢市中村町325-300
チケット販売 みんなの想火プロジェクト 三重県狼煙上げ会