FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年3月28日放送

今回は名張市にある『イーナバリ株式会社』の杉岡雪子さんがお客様。
小学校の跡地で、『隠(なばり)タカラモノ農産加工所』という地元の農産物を利用した加工品を作っています。

域産品を活用して産品を作るプロジェクトに携わったのがきっかけ

隠れた宝物を探しに来てほしいですね。
住人が3万人の人口だったところに団地が増えて5万人増え、8万人くらいに増えた街と言われています。
ほとんどが地の人ではなく、周りから来た大阪人です。
私もそうです。
ですから、名張のことをもっともっと自分たちでも知ろうと、「隠れた宝物を探す」という意味も含まれています。
私は大阪で生まれて名張で高校まで育ち、アメリカに留学してから東京で働いていました。
あるきっかけがあって、こちらに戻ってきました。
こちらに戻っきて最初は、小さな広告会社の営業をしていたこともあり、地域をいろいろ回っていました。
地域を知る人間として、その能力を活かせないかということで、名張市雇用創造協議会という、地域の産品や地域資源を活用して、名張の活性化・ブランド化をしていこうという取り組みの外郭団体ができ、そこの職員になったのが、農業や加工に携わるきっかけでした。

 

からの応援メッセージでやる気になった

名張市雇用創造協議会の事業は厚生労働省からの委託事業だったので終わりが決まっていました。
それを継続するためには、加工所が必要。
そこで、思い切って会社を立ち上げました。
課題があって、その課題をクリアするというものが必要か必要じゃないかって言ったら必要ですよね。
じゃあ必要となったときに、やる人がいないのであれば、それを目の前にしている以上、そこから逃げるわけにはいきませんでした。
目の前で見ちゃっているし。
そこに自分が立っている以上、見過ごすことができなかったんですよね。
他に代表とかやってくれる方がいたら良かったんですけど、そのときは誰もいなかったので。
やるか!って職員の人から言われたときは、本当に悩みましたし迷いました。
やるって決めたのは、母親からの一言でした。
母は名張市の市議会議員をリタイアして、もう何期も経ち80歳も越えています。
その母から「応援することで、お母さんも長生きできる理由ができたわ」と言ってもらって。
それで勇気が出て、がんばる力が底から湧いてきました。
よっしゃ、やるぞ!って。
そこから私一人で起業できたわけではなく、「こういう課題を解決したいからこう取り組んでいきたいんだけど」と農業者の方や他の事業所の方とかと話して、理解してくれて賛同してくれて、軍資金を援助してくれたのも本当に大きかったですね。

 

品第一号は、ワインを作るときに出るぶどうの皮でできたソースと塩

1号商品はワインを搾ったあとの皮・・・日本酒で言えば酒粕ですね、それを乾燥粉末したものをどうにか活用できないかと作った、ソースとシーズニングソルト。
当時、私が名張市雇用創造協議会にいたときに、また別枠で加工所を立ち上げるための団体が動いてくれていて、そこと連携しながら。
加工所を立ち上げたときに商品がなにもないのは不安だからということで、一緒に連携しながら商品開発したのが、このソースとソルトでした。
その時から、ここは滝之原小学校を活用していますが、名張市内の別の地域に国津小学校という廃校があり、そこも活用してとある若者がワイン造りを始めるというのが、もう決まっていたので、将来の農産加工所と将来のワイナリーが連携できたらいいなということで、ワインの絞りカスを使った商品が誕生しました。
今でも、委託の製造が多い中で、いろいろな展示会に行くと「おしゃれだ」「美味しい」と言ってもらっています。
赤目の方で、サツマイモを農薬も化学肥料も使わずに有機で育てている農業者さんがいて、普段は焼き芋を売っています。
焼き芋は手軽なサイズですが、大きくなりすぎたイモって絶対できちゃうし、そんな大きな焼き芋、みんな食べないですよね。
美味しさは一緒なので、それをペースト状にして何か作れないかということで商品開発を始めたのが、加工所が始まってからまもなくの頃。
かれこれ商品開発に2年程かかりました。
ようやく出来上がったのが『安納芋ババロア』と『紫芋ババロア』でした。

 

標は続ける事。この仕事でいろんなことを経験できてうれしい

この仕事は儲けようと思って始めたことではないので、設けることは考えていません。
しかし、ボランティアではないし、経営できないと破綻してしまい続けることはできません。
目標は、続けること。
ちゃんと、ある程度の利益があって、続けることですね。
今、こういう自分に育ててくれたのも、この仕事なんです。
こういうことを経験させてもらったおかげなので、本当に今までが「育ててくれてありがとう」って感じ。
今はまだ、加工書をフル稼働できでいないところもありますし、農産物ができすぎてしまって受けてほしいと依頼が来たときに、キャパがなくてそれに応えられないなどのジレンマがあります。
そういう意味で、課題にフルに応えられていないところがあるので、どうにかしてもっともっと、応えられるようになりたいです。
無理なときは無理なんで、そこをどうするかですね。
あとは、知ってもらって手に取ってもらって、購入につながることが、ゆくゆくは生産者や加工するメンバーの喜びに還元されるので、ひとりでも多くの人に知ってもらえると嬉しいですね。

運が良いか悪いかと聞かれたときに、運が悪いと答えたら運悪くなるわけで、運良いと思うか悪いと思うかだですよね。
何かあったときでも、知らせてくれたんだからラッキー、みたいな。