FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年5月16日放送

いただきます。
みんなで笑いあってお腹いっぱいごはんを食べる。
『NPO法人太陽の家』の子ども食堂には、いつも桑名の元気な子供たちが集まります。
その声が聞こえるようになるまでには、もうしばらくお休み。
今日は、理事長の対馬あさみさんがお客様です。

『子ども食堂』のスタートは2015年。
NPO法人を立ち上げたのが翌年でした。
初めは20人ほどの料理を作ることからスタート。
みんながにぎやかに食事を楽しむ場所作りを目指してきました。

会的に弱い人たちが集える場所がほしいと思ったのがきっかけ

私はもともと、弱い立場に置かれていたりヘルプが必要な人たちが集まって話しをする、お茶会や勉強会を開いていました。
その中で、共感し合う場所が必要なんじゃないかなということで、子どもたちも集まって、助け合える居場所を作りたいなと思い、最初は友だちと二人で『太陽の家』をスタートさせました。
自分たちにできることはなんだろうね、と話していたとき、ちょうど『こども食堂』が話題になっていました。
こうやってみんなで集まってご飯を作って食べるのなら、私たちでもできるのではと思い、取り組みをはじめました。
私たちがこども食堂をはじめようとしたとき、県内にはまだありませんでした。
身近に聞きに行けるところもなかったので、ネットで調べたり、すでに開催している東京の団体にいきなり電話をして聞いてみたり…試行錯誤しながら作りました。
最初は小さく始めました。
自分たちの仲間のお母さんが子どもを連れてきてもらうみたいな感じ。
続けているうちに自然と広まって、寄付してくださる方がいたり、お野菜を届けてくれる方がいたり。
だんだん支援してくれる人が増えてきました。

 

では150人ほどの親子が来ている

「私たちはここに来ちゃいけないんじゃないの?」とお母さんに言われたり、限られた人たちの場所だと言われることも多いです。
が、そうではなく、みんなが集まって楽しめるコミュニティとして開催してきたため、今では誰でも参加できる場所となっています。
通常だと毎回150人前後の親子が参加します。
予約制ではないので、そのときによってばらつきはありますが、毎回100名以上の参加があります。
せっかく来てもらったのに何もないと悲しいので、ドカンと作るようにしています。
ウチのボランティアメンバーさんたちは、いつも作っているので、作る量もだいたいわかっています。
調理をいつもしてくださる方は、手際も良いので要領よく大量の料理を作ることができます。
災害などが起こったときでも生かされるのではないかと思います。
もともと私たちは、繋がり合って『助けて』の声を上げられる居場所を目標に作ってきました。
昔の『向こう三軒両隣』のように町内で助け合えればもちろん良いのですが、ライフスタイルが変わり、ずっとそこに住んでいる人ばかりではありません。
一回なくなってしまった昔のコミュニティを、もう一度作り上げるのは大変なことだと思います。
でも、子どもをキーワードにみんなで集まって、また新しいコミュニティができてきています。
若いお母さんたちも年配のボランティアさんたちからいろいろ教わりながら活動に参加しているので、とても良いなと思います。

 

ードパントリーを行って、食品を届けている

今、子ども食堂が新型コロナウィルスの関係で開催できなくなっています。
その代わりに、子育て中の家庭に食品を届ける活動を行っています。
仕事に行けなくなり、子どもの学校が休校になって食費がとてもかさむ…という声をよく聞くようになりました。
私たちの活動はもともと、子どもたちが楽しく幸せに暮らしていくためには、家族がまるごと支えるのが大事だと思っています。
特にシングルマザーの支援に力を入れています。
シングルマザーの方たちに必要な食品を送ったり支援をしてきましたが、今回のことで、困っている、大変だという声が届くようになってきました。
もともと苦しいというか困難な立場だったお母さんたちが、さらに困難な状況になって、たくさんの食品が必要とされています。
食品は寄付していただいたり、応援していただいています。
家から動かないで、テレワーク、言われていますが、なかなかそうも言っていられないお母さんが多く、子どもを留守番させている家庭も多いです。
なので子どもだけでも食べられるレトルトの食品などが喜ばれます。
あとはお米。
とても消費量が増えているとのことで、とても喜ばれます。

 

分が住んでいる町の子ども支援の団体を支えてあげてほしい

私の生まれた家が貧困であり、虐待もありました。
子どものときの、その辛い思いと、シングルマザーとして子育てしている中で、なかなかうまくいかないこと、悩みや大変さを知っています。
そういう人たちが支え合えて助け合える場所が大事だなと思っています。
そういう子たちがいるなら、何かできることがないかなと思って始めた活動です。
こども食堂がまた早く再開できることを願っています。
私たちは『繋がり合い』を大切に活動してきたので、こういったときでも、どうにか繋がり合えたり、情報を届けられたり、必要な支援を届ける仕組みがなにかないかな、と模索しています。
コロナウィルスの影響で急に困窮した人もいますが、そもそもギリギリの生活でなんとかしてきた家庭が、大きな打撃を受けてしまいました。
コロナが収まったからと言って、一回そうなってしまった家庭がすぐに通常に戻るのかというと、そうではないと思います。
やはり長い支援と付き合いが必要です。
私たちができることは本当に限られているので、行政の方でしっかり根本的な支援に取り組んでほしいと思います。
でも、それでも隙間に落ちてしまう家庭や、今の不安をちょっとでも和らげられることを、探って続けていこうと思います。

三重県内でもたくさんの団体が、今できることがないかと、フードパントリーやお弁当を届けたり、いろいろな活動をしています。
でも、すべての団体がボランティアでやっていることなんですね。
私たちも仕事を持ちながらボランティアで行っている活動です。
こども食堂に限らず、子ども支援の団体など、みなさんいろいろな活動をしていると思います。
ぜひ、そういうところに寄付したり応援をして、子どもたちのために動いていただけたらいいなと思っています。

太陽は誰にでも降り注ぎます。
雲に隠れて見えなくなっていても、そこに必ずあるし、みんなに同じように届きます。
だから『太陽の家』なんです。