FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年5月30日放送

育てなくても自然に育っていくのが竹。
それをより価値あるものに。
竹から生まれる可能性、そこから見える未来。
今回のお客様は、伊賀市に住む竹あかり作家、演出家の川渕皓平さんです。

を使った循環を考えたときに、竹あかりに出会った

21歳のときにピースボートという地球一周の船旅に乗って、そこで仲良くなった人が『竹あかり』を大学で勉強していて、これを会社にしたいということで、話し合って意気投合しました。
竹あかりを循環型に変えて『竹林整備→竹あかり→粉砕して肥料』にして、自分たちで無農薬の畑をして、採れた野菜を自然食の食堂で出す…そこまでのサイクルをしたいねえと。
そういうのを若い僕らができたら面白いよねえと。
竹あかり自体にはまったく興味がありませんでしたが、循環というキーワードがお互い共通であったので、一緒になって熊本で始めたのがきっかけです。
熊本城の周りを『水明かり』という名前で、竹あかりをたくさん飾るお祭りがありまして、そのお祭りの全体の監修を僕らの会社に任されました。
当日は10〜20万人のお客さんが来て、毎日毎日作業場でいつ寝ているのかわからないくらいに詰めに詰めて製作し続けました。
いざ本番の日、1個1個ろうそくを灯していって、すべてに火が入り、振り返ってすべての竹あかりが灯っているのを見て、すごいことをしたんだなと、初めて気づいて泣けてきました。
また、見ている人がとても嬉しそうな顔をしているのを見て、自分がしたことがこんなにもたくさんの人を喜ばせることができるんだと、とても感動し発見しました。
これは続けていきたい、日本中に届けたいなと思ったのが原点です。

 

事終わりに作品を作っていたのが口コミで広がりイベントに参加

熊本から三重県に来ましたが、竹あかりが今ほど知れ渡っていなかったので仕事に結びつきませんでした。
そこで別のところで勤めながら、仕事が終わったあとの時間や週末に製作をしていました。
たまたま三重県で友だちになった人がイベントのオーガナイザー、企画・主催をしていて、自分のイベントでやってみないかという話になり、やってみたところ思いの外良い反響があり、次もやらないかという話になりました。
そのイベントに遊びに来ていた違う人が、ウチのイベントでもしてほしいという話になり…少しずつ口コミで広がっていきました。
そこでもう一度竹あかりを本業にようと決めたのが、4年前です。

 

ろいろな形でいろいろなところに恩返しをしていきたい

もらいっぱなしですね。
なにもかももらってばかりなので、いろいろなところにいろいろな形で恩返しというか還元したいとずっと思っています。
もらっているものは計り知れないので、それだけやり甲斐があります。
だからこそ良い作品を作って、たくさんの人に届けたいという想いがあります。
やればやるほどそういう思いが強くなりますね。

活動の中には町の人と作品を作りあげるプログラムがあります。
1から10まですべてデザインをする町もあれば、理想の絵を描いて、地域の人のアイディアを活かしながら作っていくこともあります。
たくさんの町で出会った人たち、みんなから大きなプレゼントをいただいています。

今、新型コロナウィルスの影響で演出の仕事がストップしていますが、今まで竹あかりを仕事として表現できていたのが、世の中のすべての仕事がうまく回っているというか、全然自分に関係があると気づかなかった関係性の上で、成り立っていた仕事だったということがよくわかりました。
今まで、本当にありがたくさせてもらっていたということがわかったので、アートに携わっている人間として、今の時代でこういう状況だからこそできる希望の灯のようなものを灯すことができれば…と考えています。

 

分にとっての明かりとは。自分の想いと祈り

明かりは暗いところで灯すものでしょう。
昼間はわからないけど、まわりが暗くなったときにそっと灯すもの。
自分の心が落ち着いたときに、何か一つ灯っているものを表してくれていると思います。
自分の場合、ずっと竹あかりを作り続けてきた想いとか…。
その思いはピースボートに乗って地球一周したとき、その前からいろいろな地球の状況を見て、何か自分にできること、みんなが幸せに暮らせる社会づくりをしたいと思い、自分ができることとして『竹あかり』を選んでやってきたという思いが、『竹あかり』として灯っていると思うんですよ。
まわりが暗くなり雑念が消えて、一つ強い思いがあるとそればそこなので、その思いが竹あかりとして灯っている感じが僕はしていて、「明かりを灯す」というのは自分の強い思いを際立たせるというか…。
あとは『祈り』にも似ていると思います。
不思議ですよね、心が落ち着いてくるのを感じます。

やって試して失敗して改良しての繰り返しなので、いい形でたどり着きたいですね。