FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年6月9日放送

今回のお客様は、ウイークエンドカフェではすっかりおなじみの、『ふるさと企画舎』の理事長、田上至さん。
銚子川からの恵みを地域のブランドとして広める『銚子川ブランド』プロジェクトの、第3弾のお話です。

田上さんの仲間の、紀北町観光協会、コーディネーターの大野真さんと川ガキ代表、奥村慈温くんも一緒に来てくれました。
ちなみに川ガキって、川のガキ大将っていうことらしいです。

■銚子川ブランド第3弾『アマゴの干物』誕生秘話その①

田上 これまで『銚子川ブランド』として『くき漬け』、『銚子川米』を生み出して来まして、今回は第3弾。
なんと、紀北観光協会の大野くんの閃きから生まれたんですよ。
グループの班長が大野くん、副班長がジオン君、僕はヒラ…ここでは一番下っ端です(笑)
で、第3弾が何かというと。

大野 アマゴを干物にしちゃいました(笑)
アマゴはもちろん、塩焼きが一番美味しいんですよ。
ただ、なかなか塩焼きは現場でしか食べられないし、準備も大変だし…もっと手軽に食べられるようなモノとして思いついたのが、『干物』だったんです。

田上 実は、川ガキの慈温くんもアマゴの大ファン。
僕らが畑作業とかするときに、慈温くんもよく来てくれるんだけど、その時のお昼にアマゴを焼いて食べて以来、大好物!
アマゴの味をよく知っているので、副班長になってもらいました(笑)

慈温 アマゴは美味しいよ。
ぼくは鮎よりアマゴが好き。
鮎はちょっと苦くて、大人っぽい味。
アマゴは身がプリプリして、甘味があって美味しいんだ。

田上 肉食と草食の身の違いがあるんでしょうねぇ。

大野 干物を作ったキッカケ…。
まずは二人の中で「新たな銚子川ブランドを作りたいという」気持ちと考えがあって、去年の10月に田上さんに会った時に、お話ししたんです。
そもそも僕は、銚子川の魚を使ってなにかやりたいと思っていたんですね。
鮎かアマゴでと考えていたんですが、鮎は生産者が少なく養殖が難しい。
一方、アマゴは養殖しているし商品化しやすいんですよ。
そして、アマゴの一番美味しい食べ方は塩焼きだとわかっているものの、持ち帰りは難しい。
そこで思いついたのが、紀北町といえば『干物』が名産品。
アマゴを干物にしたらどうか、と、田上さんに話したら、
「その考えは浅いな」
と言われました(苦笑)

田上 アマゴが美味いのは塩焼き。信念は曲げられない!


■銚子川ブランド第3弾『アマゴの干物』誕生秘話②

田上 近くの建設会社の社長さんが、アマゴを銚子川の水で養殖してるので、そこで育てたアマゴを『キャンプinn海山』で使っているんです。
つかみどりにしたりとか、塩焼きにとかにして。
そのアマゴを、なんとかもう少し売れるようにしたいとは、以前から考えていたんです。
でも川魚の干物の文化ってのは、この辺りにはなくって。
地域の長老に聞いても、やっぱりないと。
燻製や、塩の丸干しは、ちょっとはあったそうですね。
たくさん獲れた時に作る保存食として、昔から色々考えられては来たらしい。
でも干物はなかったんです。

大野 それで今年2月に『清五郎滝』のイベントがあって、そのあとまた話していたんですよ。
お酒もちょっと入っていてね。
そしたら、しばらく黙っていた田上さんが、突然『閃いた!』と。
何かと思ったら、
「いいアイデアがひらめいたぞ! アマゴを干物にするんや!」。
ホントの話ですよ(笑)
丸パクリですよ。
それ僕、去年の10月に話したら大反対やったやん、て、怒りましたよ(笑)

田上 天の声が聞こえたんですよ。
いやいや、そうじゃなくて、初めて大野くんの想いがわかったんです。
生のアマゴをもらって塩焼きにするのは、意外と大変なことなんです。
アジくらいならいいけどヌルヌルやし、生臭いし…でも、干物にしたら、若い人でも気軽に焼いて家で食べられるでしょ。
大野くんのひらめきは素晴らしかったんですよ!


■いろいろな人に協力してもらっての商品作り

田上 最初はアマゴの作り方をインターネットで調べて、5匹ほど作ってみたんです。
それが出来上がってみたら、真っ黒!
けれど、味はちゃんとアマゴの味で、かなり美味しかった。
色さえ何とかなれば、これはイケるわ!…と思ったのですが、『くき漬け』や『銚子川米』がまだ軌道に乗っているとはいえない状態で、法人でこれをやるのは、まだまだ無理。
まずは有志の方で。
魚屋のハマちゃんが協力してくれましてね。

大野 しかしハマちゃんも、海の魚しか扱ったことがなかったので、川魚を干物にするノウハウや、皮の黒さを解消する方法がわからなくてね。
 
田上 熊野でアマゴを扱っている『赤倉水産』さんに行って、コツを聞いて、みんなで色々研究して。
とりあえず今は『限定』ということで、みんなに食べてもらっている状態ですね。

大野 作り方も試行錯誤、真っ只中です。
塩分濃度をだいたい3%~4%で設定しているんですが、身が小さいと塩分をよく吸うし、大きいと塩分が入っていかないし…。
大きさ別で塩分濃度を変えたり、色々試しているところです

田上 3人でやっとったらエラいことやけど、ハマちゃんが付いていてくれるから多分大丈夫(笑)
それでも、これをすぐ製品化して広く販売するというのは、難しいことです。
けれど、いろんな可能性を探っていくことが大切なことだと思いますね。

大野 紀北町としても今年は『銚子川流域』に力を入れているんです。
それにあたって、何かやっておきたいという思いがあって。
誰かにやられる前に僕が何かを先にしたいので、今まだ限定である『アマゴの干物』を、もっともっと広げたいです!

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