三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2020年7月19日放送

クスノキやクリ、カキ、トチなど地元の木にこだわり、下駄を製作・販売する田所直さん。
木に携わる仕事をするために東京から移住。
鼻緒の部分はアフリカの伝統布でファッションアイテムを製作する妻が担当している。
地元の道の駅や、全国各地で開催されるクラフト展等で販売しています!

大紀町にある道の駅『奥伊勢木つつ木館』では、さまざまな木工品が販売されています。
その中のひとつが、カラフルな鼻緒が特徴の下駄です!

 

下駄を作っているのは『TARD』の田所直さんと恵理さん夫妻。
7年前に東京から大紀町に越してきて、築70年ほどの古民家を改装した自宅兼作業場で暮らしています。

「もともとアウトドアで山に行くのが好きだったのと、木に関わる仕事がしたいという思いがありました。
後はやはり、都会に暮らしている人間はみんな思うことだと思うんですけど、ビルの中より山の中の方が気持ちいいだろうと思いました」

と、直さん。

「4歳の息子がいますが、ここなら住めるかなと思いました。
土遊びができたり、野菜がどうやってできるのかを知ることが、生活の中で学べるのはとても良いことだと思います」

と、恵理さん。

 

田所さんは神奈川県、そして恵理さんは静岡県出身。
東京で出会い結婚。
当時、田所さんは外資系のコンサルタントとして働いていましたが、木に
関わる仕事をしたいと、移住を決意しました。

 

こちらが田所さんが作っている下駄。
色が違うのは塗装ではなく、それぞれの木が持っている色です。
つまりいろいろな木を使って下駄を作っているんですね。

 

白い下駄はいちょうの木。
木目が曖昧なため、足に当たりにくく優しい履き心地が特徴です。

一方のケヤキは日本の広葉樹の王様とも言われる木。
とにかく固くて丈夫なので、毎日履く方にお勧めだそう。

下駄はキリなど軽い素材を使うことが多いが、コンクリートの上ではすぐに擦れていってしまうため、『TARD』ではイチョウやケヤキ、クスノキや山桜、クリやカキなど、さまざまな樹種を使用しています。

 

鼻緒は、アフリカの伝統布を使って鞄など服飾小物を作る布作家である恵理さんが担当。

「私はもともと、このアフリカの生地を使ってモノづくりをしています。
今はこういった生地だけではなくてアフリカの北の方の生地なども使ってバッグとか服飾小物を作っています。
鼻緒に使っているのは『パーニュ』という生地。
アフリカではドレスにしたり普段着として使っています」

 

「下駄を履くときに親指と人差し指の部分が痛くなってしまうので、当たる部分には柔らかくて痛くない生地を使用しています」

 

「裏の方がふわふわな生地になってるので肌触りもすごくいいですし、柔らかいですね。
全然痛くないです!
結構、安定感がありますね!
木に直接触れているので、足がとても気持ちがいいです。
クッション効いていて、本当に痛くないです」

履き心地もとても良いそうです。

 

「移住後は地元の工務店兼製材所に就職し、製材の仕事や現場での大工さんの手伝いなどをしてきました。
お隣さんがたまたま下駄を履いていて散歩していたので、試しに作ってみたのがきっかけで下駄づくりをはじめ、『木』の魅力をより多くの人に、自分の手で直接伝えたいという思いから独立を決意しました」

と、直さん。

「私たちが作っている下駄は『伝統工芸品』ではなく、あくまで、服飾小物です。
どういう目的でもいいし、ただ好きとか気持ちの部分で遊んでもらえるアイテムとして、間口が広くなっていると思います」

と、恵理さん。

 

作業場で下駄づくりをする直さん。
まずは木を切って下駄の歯の部分を作っていきます。

 

形を整えたらドリルで鼻緒を通す穴を開けます。
さらにコンクリートの道路の上を歩いてもすり減りにくく、長持ちするように、下駄の裏側に堅いケヤキの木をはめ込んで補強します。

作り方はほぼ独学。
大工さんが家を作っているのを見て、学んでいったそうです。

 

民泊施設『ふるさと村』を運営する瀬古悦生さんは『TARD』の下駄の愛用者。

「しいたけ栽培などに使うクヌギの木で作ってもらいました。
私の場合はリハビリで使っているため、重ければ重いほどいいです。
さらに民泊施設のお客さんの履物としても利用していて、外国からのお客さんを中心に好評を得ています」

と、瀬古さん。

 

続いて木材を調達する田所さんがやってきたのは、お隣、大台町の『武田製材』。
全国の多種多様な木を取り扱う、驚きの製材所です。

「連日のように来ています。
自分で木材を選ぶこともありますが、こちらには100〜200種類の木材があるので、武田さんお勧めの木をいただくこともあります」

 

「柿栽培の農家さんが手放す柿の木を譲り受け、持ち込んで製材してもらっています。
この木を使って下駄を製作するつもりです」

 

「スプーンやお皿などを作られる方はいますが、下駄に着目したというのがとても新鮮で驚きました。
製材所に勤務していただけあって、他の方とは目の付け所が違いますね。
三重県でこんなにいろいろな樹種で下駄を作る職人さんはいないと思います。もっと発信して、全国に田所さんの下駄のファンが増えるといいなと思います

と、『武田製材』の武田誠さん。

「まずは続けていくことが大切なので、そのためには自分たちが楽しむことです。
10年後、さらに予想もしていなかったような状態に持っていきたいですね。
自然を使った仕事は、ここにいながらにしてできる素晴らしい仕事ですので、続けていきたいし、もっと自然と向き合うしごとをする人が増えたら、もっと楽しくなると思っています」

と、直さん。

田所さんの下駄は『道の駅奥伊勢木つつ木館』の他、全国のイベントでも販売予定!
詳しくはホームページをご覧ください!

 

『TARD』の下駄の楽しみ方
木の種類、鼻緒の組み合わせ一本歯・二本歯が選ぶことができ、オーダーも可能
6800円~9800円