FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年9月26日放送

今回のお客様は松阪市にある『MORI COFFEE』のオーナー、森義孝さんです。
世界のおいしいコーヒーをたくさんの人に知ってもらいたくて、お店を始めました。
知れば知るほどコーヒーは深い。
ここ3,4年、好みの豆を選んで自宅でコーヒーを淹れる人が多くなってきました。
お客様との会話の中から森さんがこれだなと思うものをいくつかご提案。
いい出会いがあると嬉しくなります。

重県でお店をオープンして10年

この店をスペシャルティコーヒーのお店として始めて10年、その前は名古屋にいました。
名古屋で飲食業をしていた傍らでコーヒーを出していました。
その流れで高品質のコーヒーに出会って、美味しさとはコーヒーの生豆・生産者、これがいちばん大事なことに気づきました。
そこで名古屋での飲食店を一旦廃業し、勉強をし直して現地に行った人の話を聞いたり、日本以外の消費国の方にも会って勉強しました。
いろいろなところで勉強していくうちに、コーヒーが農産物だということに気づき、それを販売する中で『伝える』ということが一番大事だと気づき、コーヒーを淹れるというよりも、豆の販売で伝えるということが大切だと、このお店をはじめました。
まだまだ自分の中では伝えることがたくさんあると思っています。
インターネットに載っている情報を鵜呑みにしてしまう人もいますので、お店に来ていただき。みなさんに伝えるということがウチの強みかなと思います。
ここに来ればいろいろなお話もできます。
楽しんできてほしいなと思います。
コーヒー専門店というと、みなさん敷居が高いというイメージがあるようです。
知らないと来ちゃいけないのか、とか。
それはまったくなく、自分はコーヒーをもっと楽しく手軽に飲んでほしいので、淹れ方は千差万別人それぞれで、器具もたくさんあります。
楽しむ方向で、もっとリラックスして本物のコーヒーに触れてほしいですね。

 

品質になればなるほどキャラクターが引き立つ

高品質になればなるほど、個性が引き立ってきます。
キャラクターが明確なので、よりそれぞれの好みに分かれると思います。
好みを引き出してあげるのも、こちらの仕事ですね。
やっぱり生産国・生産者・精製方法…そのプロセスによって、品種も変わってきます。
味わい、方向性がまるっきり違うコーヒ豆が存在してきます。
その中で、お客さんの好みを見つけ出すお手伝いができればな、と思います。
商業ベースに乗っている生産国だけでも48〜50カ国、もっとあります。
今は流通も手軽にできる時代になってきました。
なのでいろいろな生産国があり、いろいろな生産者がいて、多様な味わいがあります。
みなさんも一つの味にこだわらずに、多様な味にチャレンジしてほしいですね。
生産量が多い国というとブラジルが代表となります。
ブラジル以外もやはり南米ですね。
豊かな土地で広大なので、コーヒー栽培としてはやはりブラジルやコロンビアです。
でも中米あたりや東南アジア、インドネシア、小さな国ですが東ティモールもとても良い品質の豆が手に入ります。
さらに東アフリカをはじめ、世界中でコーヒーは穫れます。
赤道を挟んで北回帰線・南回帰線の間に地域で穫ることができます。
もちろん日本でも栽培されています。
先日行ってきましたが、石垣島で栽培されています。

 

切なのは生産者。そのこだわりのおいしいコーヒーをお客様に届けたい

美味しさというのは、農産物であるコーヒー豆の栽培条件と生産者だけで70%は決まってしまいます。
あとは自分たちで上手にその美味しさを引き出してあげるだけ。
無茶なことをせずに、味を引き出してあげるローストをすればよいので、一番大切なのはなんといっても生産者。
生産環境、栽培所のエリア、加工方法…そこがいちばん重要です。
そこが品質=美味しさ。
しかし多々あるのが、美味しさを客観的に捉えられずに、主観で美味しさを自分の好みだと勘違いしてしまうこと。
実際は生産者を客観的に判断することが美味しさに繋がります。
そういうことも、お店に来ていただければ伝えることができると思います。
焙煎度合いの深煎から浅煎りまでウチはやっていますが、そのニュアンスを変えてあげるだけの作業だと思っています。
浅煎りにしたときのコーヒー豆はこんな感じ、深煎にしたときはこのようなニュアンスが出ます…同じ生産者でもローストを変えたら、このように味が変わります。
それは美味しさではなく、ただ単にニュアンスの違いなんですね。
美味しさ自体は最初の栽培環境と生産者で決まります。
そのことを伝えるのも仕事だと思っていますし、そこを、より理解してもらえばなと思います。
自分の中で、淹れたときに失敗してもいいんです。
どうでもいいんです。
充足感、リラックスしてその時、その空間を楽しんでいただけたらなと思います。

 

産国だけでなくロシアなどにも行って、他の国の傾向も見る

一昨年・昨年はインドネシアと東ティモールに、自分が取り扱っているコーヒーの生産者のもとに行きました。
実際に見て、話を聞いて、それをお客さんに伝えるということもしました。
ただそれも、今年は難しかったですね。
予定としては今年中南米行くことになっていました。
メキシコから入ってペルーまで行く予定でしたが、来年以降に持ち越しですね。
普通に行くのにも大変な場所です。
街から行けるとしても4時間ほど舗装していない山道を走って、そこから40分くらい歩くのも当たり前です。
そこではみなさんひと粒ずつ赤く熟したチェリーを摘んで。
あ、コーヒー豆は一般的に熟すと赤くなるので、コーヒーチェリーと呼ばれるんです。
それをカゴに摘み取って入れて、更に山道を登って、一旦集める場所に持っていって…その繰り返しが一般的な作業です。
急な斜面を平気で登っていくんですよ。
僕なんか、足元がおぼつかないようなところでも、みなさん10〜20kgのコーヒー豆を背負って、ヒョイヒョイと歩いて登っていくので、過酷な中でも柔軟というか、楽しみながらやっているのがわかります。
そんな現地の人達との交流も、とても大切な部分だと思いますね。
コーヒーというのは世界共通の飲み物です。
世界中でたくさんの消費国や生産国があります。
そのため、コーヒーをよく消費する国にも行きます。
一番親交あるところでは、ロシアにもよく行きます。
ロシアの、同じようなコーヒーロースターの所に行って、今の世界状況やどこに行ったとかの話を聞きます。
世界規模でコーヒーショップとのつながりを持っています。
そういった意味で、いろいろな情報を伝えることができるし、生産者のこえおも伝えることができると思いますので、今後もコーヒーに関することだったら世界中に行くのが自分の仕事だと思っています。

農産物としてのコーヒーと、現地の人と触れ合う仕事…これが自分には一番合っている仕事だと思いますね。