三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2020年10月4日放送

四日市市内に工房を構え、四日市市の円楽寺、光運寺、西唱寺など、地元を中心とした寺院の天井画、壁画等を手掛ける絵師・南川さん!
モットーは地域のよりどころとなる一枚を。
積極的に地域とも関わりを持ち、自らの工房では絵画教室を開催、地域の中学・高校の美術講師も務めています!

あすなろう鉄道南日永駅から徒歩数分。
四季折々の花が咲き誇る西唱寺の本堂前には、樹齢およそ150年といわれるボダイジュがあります。
1945年の四日市空襲で、本堂や書院が焼け落ちる中、奇跡的に全焼を免れ、今も毎年6月に花を咲かせるといいます。

 

そんな西唱寺の寺内を彩るのが、南川朋宣さんが描く、極楽浄土の絵。
こちらは障壁画の『飛天図』。
天女の姿が色鮮やかに描かれています。

 

天井には四季折々の花や生き物が描かれた『花丸図』。
彼岸花は『曼珠沙華』と呼ばれ、蓮とともに極楽浄土に咲く花と言われています。
この天井画は極楽浄土を表しているのだそう。

 

『西唱寺』の障壁画を描いたのが、こちらの南川朋宣さん。
お若いです!
それにしても、なぜ絵師になろうと思い立ったのでしょう。

「小さな頃から絵を描くことが好きで、両親がよく展覧会に連れて行ってくれました。
日本画家の東山魁夷の絵に感動し、高校卒業後は金沢美術工芸大学の日本画専攻に進学したのです」

と、南川さん。

 

掛け軸や襖を作る表具屋に勤めていたところ、津市一身田にある智慧光院の新築に伴う天井画制作の仕事を任されたのが最初の仕事。

「お寺の障壁画っていうのを描いたこともなかったし、知識もなかったので、いろいろと勉強しながら描き上げました」

と、南川さん。

 

金沢美術工芸大学で日本画を学び、寺院の天井画や障壁画を描く、絵師・南川さんは、三重県はもとより、いまや全国でも貴重な存在です。
現在は各所で個展を開き、四日市市内の中学・高校で美術講師を勤める等、地域に根差した活動を続けています。
冒頭に紹介した西唱寺の天井画や障壁画の他にも、地元を中心に、歴史に残る数々の作品に取り組み近年は修復作業の依頼にも、積極的に関わっています。

 

日本画に用いる岩絵具は砂のように粒子が粗く、絵具そのものには接着性がない為、牛の骨とか皮を煮出したゼラチンである『膠(にかわ)』を湯煎して溶かした液を加えることで固着させます。

 

作品は大きなものが多いため、まずは小さめな紙に試作として、絵の設計図を描いていきます。

「一旦引き伸ばして、原寸大の大きさにしてきますが、小さいものを引き伸ばして描いていくとやっぱり気に入らない部分もありますので、まぁ常に良くなるように調整して描いていくんですけども…大きいですからねぇ…」

と、南川さん。

 

絵の保護のために、台を置いて、その上から描きます。

「顔を描くというのは非常に神経を使う所ですね。
特に目とか。
描いてる途中とかは色々悩みながら考えながら描くのですが、最後にそれが出来た瞬間はやっぱり達成感あります」

と、南川さん。

 

根を詰めての作業。
楽しみは奥様と過ごす、おやつタイム。
奥様の景子さんは南川さんの最大の理解者。
作品の感想を聞いたり、逆にアドバイスを受けることもあるのだとか…。

「繊細な仕事がありますし、大きな作品が多いのでそれを一人で全部やっているのは本当に大変だなと思います。
また、お寺さんなど、いろいろな方が来て下さるので本当にありがたいことだと思っています。
夫は…マイペースな人ですかね(笑)
自分の考えをちゃんと持っていて、自分の道を自分で歩いているんですが、たまに自分の世界に入っちゃうんです。
多分作品のことを考えているのだと思うのですが、ぼーっとしてて人の話を聞いてない時があるので…それはちょっと直して欲しいですね(笑)」

と、景子さん。
南川さんにとっての景子さんの存在とは?

「僕を、空から見守ってくれてる天女とでも言っておきましょう(笑)」

良い関係のお二人ですね。

 

南川さんに、西唱寺の絵の説明をしていただきました。

「天女の絵が初めに手掛けた場所です。
色合いがとても鮮やかだと思ったのですが、極彩色で彩るというのが、極楽浄土の世界を表現するのに適した伝統的な技法ですので、それに則して描いております」

 

「天井画は、ご住職が四季を通じて色々な花を育ててみえますので、一花一花、ここ現地で写生して描いていきました。
仏教的な説話とか宗教上の約束事とか、無視してはいけない部分なので僕も非常に勉強になりましたね」

 

余間の天井には『天空黄龍図』と『天空鳳凰麒麟之図』。

「余間の天井は全く何もなかったのですが、内陣の壁画を描いた後に折角なので西唱寺でしか見られない作品を描かせていただきたいと、ご住職に無理なお願いをしました。
ここのお寺さんは戦災で本堂が消失しているので、水の神様である龍が見守ってくれたらなという思いで描かせていただきました」

 

「余間までは描いてもらうつもりはありませんでしたが、南川さんが描きたいと言うので。
彼のことはもう信頼できるから・・・私は何も言いません。
これらからも勉強して精進して欲しいなと思うだけです」

と、『西唱寺』住職の中川法雄さん。

「生まれた地にで、自分の作品を残すっていうことは本当にありがたいですね。
僕の人生よりも僕が描いた絵画の人生の方が長いので、それを描くにあたっては責任もありますが、地域の人々に愛される作品づくりをしていくのと同時にですね、自分も納得出来るような傑作が、この世に一枚でも残せたら本望だとは思っています」

と、南川さん。

絵師・南川朋宣さん。
12月にはパラミタミュージアムで展覧会を開催予定。
お楽しみに!

南川朋宣 日本画展
開催場所 パラミタミュージアム 小ギャラリー 
開催日 2020年12月3日〜15日
お問い合わせ southriver293@yahoo.co.jp (南川)