FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年10月10日放送

地図を広げ、神宮から滝原宮までを一直線で結ぶ。
その線上にある大紀町の山々には立派な『本榊(ほんさかき)』が植えられています。
今回は谷口彰世さんがお客様。
『伊勢榊』と名付けられた国産の榊を全国の人々に広めています。

昔から丹精込めて作られてきた榊やしきびの山がなくなってしまう。
だから今あるものを大切に守っていきたい。
谷口さんの使命と思い、動き始めました。

内に流通する榊の90%が中国産の榊

大紀町はもともと旧大宮町であり、合併をして大紀町となったわけです。
その集落にお住まいになられているみなさんは、田畑の農林業を中心にしていて、農閑期には山に入って榊の採取やシキビ、そういったものを生業として生計を立てていたという歴史があります。
現在、国内に流通している榊の、およそ90%が中国産のもので占められています。
中国産の榊はおよそ30年ほど前から国内に入ってきて、流通性が増えると同時に、大紀町で生産をしていた方々が、中国産榊に追いやられ廃業していく方々がとても増えてしまったという現状がありました。

 

域の活性のため、存続させていくため事業を始めた

私は今でもそうなんですが、結婚式のお手伝いをさせていただいています。
神社での結婚式をされるお客様のサポートを行っていました。
その際に、神社の神職の方とお話している中で、神社で神棚を買われる方がいますと。
神棚を買われて、お供えをする榊が実は90%が中国産だと聞き、自分の仕事の関係で大紀町にある神社やそういった方々ともお付き合いがありましたので、大紀町の集落活性も含め、榊の採取などをこの先も永遠に続けていけないかなと考えました。
廃業していく方がどんどんどんどん増えていく中で、なんとかストップできないかと考え、大紀町のみなさま方、大紀町の神社の方などの協力を得て、この大紀町で採取している榊を、全国のみなさまにPRをさせていただいているところです。
山に入るのは昔から好きでしたので、地元のみなさまのご指導の元、はじめは苦労いたしましたが、今は山に入って榊の採取をして、それを女性の方々にお願いして結束してもらっています。
山に入るだけが私の仕事ではないのですが、まず、自分が山に入って、実際どれくらい大変な仕事であるのかということを、経験をし、今に至っております。

 

度を保つため採取してから3日以内にお客様の元へ送るようにしている

日本の神様にお供えする榊は、国産の良いものを供えていただきたい。
山からとってきて、お客様の元へお届けするまで、品質を落とさないよう
大切に扱っています。
大紀町の野原エリア、瀧原宮の裏山で採取している榊ですので『伊勢榊』とネーミングし、商標登録させていただいました。
私共の榊は『本榊』と呼ばれる真榊でして、購入していただいた方からは「待ってました!」と言ってもらっています。
採取をしてから3日以内に発送します。
ですので、採取して4日めには神棚にお供えをしていただけます。
発送までは山水かけ流しの水槽にて、品質管理をしています。
そういった部分でも日持ちが良いのかなと思います。
お客様からは、1ヶ月で飼えるのはもったいないと言っていただいています。
ただ、GWから夏の間は暑い時期が続くので、まる一ヶ月榊をお供えできましたと、すべてのお客様から好評いただくわけではございません。
今後へ向けての改良、勉強、研究をしていかないといかない点だと思っております。

 

導をしてくれているのは70代。30代の人もメンバーに加わっている

私が今、ご指導していただいているのは70歳を越えた方です。
その方と一緒に山に入ると、まだまだ元気で、私の先をどんどん進んでいき、「遅いぞ」と言われるくらいです。
あと5年10年、その方に続けてもらえるのかという不安もありますし、今、私が榊の採取などを覚えることによって、次の世代の方々に山に入ってもらうことが私の役目だと思っています。
実際大紀町では、他の地域から大紀町に住んでもらおうという活動がとても熱心です。
大紀町で自然と向き合った仕事をしたいという人が少しずつ来られて、榊やしきびの採取などをしたいという人…まだ1人しかいないのですが、32〜3歳だったかな。
そういう人たちと一緒に榊の事業を展開していければなと思っています。
私よりとても若い方で、足腰も丈夫です。
この先、この仕事がとても実になる仕事となり、収益という部分で魅力的だなと思っていただけるよう、我々の榊を全国に案内していければなと思っています。

風が吹く、日陰である、そして東の太陽を浴びる榊が、一番良いと言われています。