三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2020年10月18日放送

津市美杉町の横谷木材生産では価格の低下から燃料などにされてしまう木材を有効に活用したいと子どもがリビングで勉強する為のトレー型の学習机を県産ヒノキや杉等で製作!
『森の机』から『moric(モリック)』の名で販売をスタート!
妻の真由美さんがアイデアを出し、代表の理英さんが製作。
娘の菜央さんが商品の魅力を伝えるパンフレット作りを手掛ける等、プロデュース業を担当しています!

こちらは津市美杉町です。
美杉町と言えば林業の町。
今回紹介する『横谷木材生産』は、昭和21年創業の製材加工所です。

 

横谷製材所で作っているのがこちら。
これはお盆ですか?

「いいえ、違います。
答えは、子どもがリビングで使うポータブルな机『moric』です」

と、横谷製材所の横谷理英さん。

そうなんです!!
こちらは、リビングで勉強する子どもや、勉強机がない子どもたちが使うポータブル学習机。
衰退する林業、製材業の中で、横谷さんとご家族が、生き残りをかけて考案、開発。

 

クラウドファンディングで想像以上の反響と注文を受け、起死回生のヒット商品になっています!

 

「昭和21年から製材業をやってきましたが、年々木材の需要が減ってきています。
近年は、バイオマス発電の燃料に使われることも増えてきていて、住宅資材としての木材の需要が減少しています。
私で三代目ですが、今まで続いてきたっていうプライド、そして続けていくというプレッシャーにかられる部分が多くありました。
そんな中、変化する木材業界の中で生き残るために、六次産業であるこういった小さいものを作って販売するという方向に目を向け、2〜3年の内に少しずつ今の状態になってきました」

と横谷さん。

 

一時は廃業も考えたという横谷さん。
それでも地元の木材にこだわり、人の役に立ちたいという思いから、試行錯誤の商品開発が始まりました。
そして誕生したのが、リビングで勉強が出来る、ポータブル学習机の『moricモリック』。
『Hitotoki』というブランド名で販売し、ひとつひとつ丹精込めて手作りしています。

 

素材は杉とヒノキの2種類で、色合いを楽しめるようにバリエーションも用意しました。
横谷さんが家族と力を合わせて生み出した、自信作です。

 

この『moric』、一枚板に見えますが、実は4枚の板を組み合わせたもの。
木材の魅力の一つである木目の美しさを知ってもらう為に、全てのパーツの中心に木目が入るように工夫をしているんです。

 

『moric』が誕生したきっかけは横谷家のリビング。
奥さんの真由美さんからの提案だったそうです。

「木を使って人の役に立つものを作りたいと話していたときに、次女が小学生の頃に家族のいるリビングで勉強することが多かったので、こういったシーンがあったな…とか回想しながら思いつきました」

と、真由美さん。
それを設計と加工で形にしたのが、横谷さん。

「それと、おじいちゃん、おばあちゃんが口コミ部隊として頑張ってくれてます」

三世代でチーム一丸なんですね!

 

さらに長女の菜央さんが、理英さんの苦手なパソコンでの作業やクラウドファンディングへの参加等、製品のプロデュースを担当しました。

「手にしてもらったユーザーさんからとても素敵な感想をいただいたりしました。
こんなに気に入ってもらってるんやったら、他の人にもたくさん触れる機会を持って欲しいと思って、自分が出来ることはと思って協力させてもらっています」

と、菜央さん。
愛知県で仕事についている菜央さんは、土日の休みなどを利用して理英さんの仕事を手伝っているそうです。

 

『moric』の使い方。
ポイント①
持ち運びが簡単で、教科書や筆記用具をのせたまま、すぐに場所を移動させることが出来ること

 

ポイント②
裏面に滑り止めのラバーシートが取り付けられているので、ずれにくいこと

 

ポイント③
手元の部分に溝が刻んであるので、たまった消しゴムの消しかすをまとめて楽に捨てることが出来ること。

このポイント③は、現在のものは改良版。
初期の製品(画像左下)は溝の部分がフラットであり、使用した小学4年生の女の子から、消しゴムの消しカスを捨てるのが難しいという指摘を受け、改良したそう。

奥さんのアイデアから始まり、家族みんなでカタチにした『moric』。
商品化までは数ヶ月を要しました。

 

実際に利用しているお宅にお邪魔しました。

「叔母からのプレゼントでいただきました。
初めて見た時はすごい大きいと思いましたが、ノートとか教科書を開けると丁度良いぐらいの大きさですね。
で、『片づけて~!』って言うとこのままサッと片づけてもらえるので、すごく便利です」

と、お母さん。

「いつも勉強したり、工作したりする時に使っています」

と、娘さん。

「まさに『moric』のコンセプト通りの使い方をしていただいて本当に嬉しいです。
大切に使ってもらっているということが、実際に見てとれて、本当に良かったです。
私が『moric』を作ったのは、子どもさんたちにより多くの夢を持ってもらい、夢を叶えてもらいたいという思いから。
これを使ってその夢を叶えていただけると嬉しいです!」

と、横谷さん。

 

今、横谷ファミリーは木材を使った新しい商品の開発に取り組んでいます。
『買って良かった』『ずっと使える』を追求した、ちゃぶ台や傘立て。
そして小さなワンちゃん用のステップなどなど。

「話し合いも深めて、試作品も作っていくと、夫の顔つきも変わってきます。
一生懸命になっている姿を見ていると、私ももっと協力したいし応援したくなるし、もっと頑張ってほしいと思います。
今後も、子育てをしてきた経験とかを踏まえて、子どもさんに役にたつものとか、生活に根ざしたものを作っていきたいですね」

と、真由美さん。

「一言で表すとしたら『あったらいいなの結晶体』に尽きます!
すべて三重県産の材でできているので、木の良さと、機能性と両立した製品を沢山生み出していこうと思っています!」

と、菜央さん。

「今回、この『moric』を通してクラウドファンディングを見ていただいたお客様は、一番多い時で一日で6000人にもなりました。
全国に打って出た中で、全く知らない人たち6000人の人に見ていただいたというのが、が私の今の糧になっています。
これから、三重県産材、国産材の杉・ヒノキをもっとみなさんに親しんでもらい、もっと便利に使ってもらえるものを、1つでも2つでも多く世に出していきたいですね。
それに伴い、木材業界がもう一度日の目を浴びるようになればいいなと思っています」

と、理央さん。

地元の木材を使って、人の役に立つものをつくりたい。
癒やしのひとときを過ごしてもらいたい。
そして製材工場の未来を切り開きたい。
創業74年。
横谷木材生産は、家族一丸となって新たな道へと踏み出します。