FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年10月31日放送

2020年10月1日、文化と芸術の創造拠点、『津市久居アルスプラザ』がオープンしました。
三重の木材がふんだんに使われた建物は、現代のアート空間。
今回は、館長の脇岡宗一さんに館内を紹介していただきましょう。

部ガラス張りでおしゃれな芸術の拠点が誕生

『アルス』とはラテン語で『芸術』という意味です。
ここは本当に芸術・文化の拠点、津市久居の拠点となるようにという目的のもとに建てられました。
そういうふうに感じていただけると、とても嬉しいです。
本来は6月にオープンでしたが、コロナの影響で10月1日にグランドオープンいたしました。
コロナ禍ですが、これからできることをやっていきたいと思っています。
三重県に限らず、日本全体を見ても新しい方向性を持った会館で、見ていただいた通り、全部ガラス張りになっています。
外からも中からも見える…地域との関係がつながるよう、部屋も全てガラス張りになっています。
ピアノルームや楽器、歌を練習する部屋、それからカルチャー教室をする部屋、さらにバンドも練習できるバンドルームも擁し、多種多彩な施設が沢山あります。
もちろん『ときの風ホール』というコンサートホールもあります。
なかなかモダンでお洒落だということが、ここのキーポイントの一つであります。
共有スペースという、誰でも自由に入ることのできるスペースがあるのですが、これがすごいんです。
普通は催し物などで使用しないと入場できないのですが、ここは朝の8時半から夜の10時まで、誰でも自由に入ることができ、机に座って本を読んだり、飲み物を飲んだりすることができます。
管理が大変ですが…。

 

長はクラシック畑、オーボエ奏者

アルスプラザがオープンするまでは『アルス放送局』というYouTubeチャンネルで館内の魅力を発信してきました。
第1回目は僕の挨拶で始まりました。
私はオーボエという楽器を吹いていまして、東京都交響楽団で30年ほど演奏していました。
その後、大学で教え、現在ホールの運営に携わることになりました。
今、新しいホールは昔と違い、1点何秒残響が残るなど、響きが計算されています。
素晴らしい響きがしますし、客席どこから舞台を見ても見やすいようにしてあります。
最近のホールはとても良いです。
すべてうちの社員というか、若い子たちがデジタル慣れしてるのである程度自分たちで作り、外のプロの人に作ってもらうわけじゃないんですよね。
だから本当に良いものができたなと思います。
これは新しいホールを紹介して意味を兼ねていて、そして地元のアーティストの方にも施設を紹介し、利用をしてもらながら、アーティストの支援をしていくという事業になっていると思います。
いろいろ地域に貢献できたらと思っています。
僕はクラシックが専門なので、そちらでできることはどんどん貢献していきたいと思っています。
この地域には三味線など、昔からの伝統の音楽もあり盛んだなと思います。
日本中わりとそうかもしれませんが、クラシックに関すると弱い部分があるので、そのあたりを少しでも発展していけたら良いなと思い、今後の取り組みを考えています。

 

れるタレントのコンサートではなく芸術家のコンサートを楽しんでもらいたい

タレントと芸術家は失礼だけど違うと思います。
本当の芸術家が来ても、なかなかお客は集まりにくいです。
タレントが来ると見に来る。
そう、聴きに来るのではなく、見に来るんですね。
そのへんが難しいところですよね。
質的に良いものを提供しても、なかなかお客さんが集まりにくい。
タレントが来ると人が集まる…まあ、どこでもそうなんですけど。
そのへんをどういうふうに上手くやっていかが、私達の課題です。
ここだけではなく、大都市以外…いや、大都市でもいつでも満席になるわけではないので、課題は同じですね。
そもそも西洋音楽は明治なってから急に入ってきたものなので、日本人は意外と『楽(がく)』が『学(まなぶ)』になりやすいんですよね。
知らないから聴きに行かないとか、学んでないからとか。
明治の人は『MUSIC(ミュージック)』を上手く訳したもので、『音を楽しむ』と訳したんですね。
それはまったくその通りで、知識はいらないのです。
日本の音楽はみんな、生まれたときから知っているから、習わなくても楽しめるじゃありませんか。
そうなればいいんですけどね。
西洋の人はそうなんですよ。
赤ちゃんのときから聴いているから。
だから、そこの難しさがあるんですよね。

 

ールで生の音楽を味わってもらいたい

野球だってサッカーだって、TVで見るのと現地に行ってみるのとぜんぜん違うじゃないですか。
それと同じですよ。
ホールに来て、同じ空気感を味わい生で見るということは、機器を通して聴いたり見たりするのと違います。
ぜひ足を運んでほしいです。
共鳴し、共有することは機器を通してはできません。
そういうことを体験してほしいと思います。
今は残念ながらなかなかできませんが、僕の分野のクラシック関係の層である聴衆を増やしていきたいですね。
そのためにはどうしていったら良いか、何を提供していったら良いかを考えています。