FM三重『ウィークエンドカフェ』2020年11月28日放送

今回のお客様は津市久居にある『コミュニティハウスひびうた』の代表、大東悠さんです。
『ひびうた』は、さまざまな生きづらさを抱えた人たちが集まり、それぞれのペースで過ごすことができる居場所です。

りの評価を気にしたりがんばらないといけない風潮が辛い人のための居場所づくり

そもそもは私自身の生きにくさが根本にあり、まわりからと○△×いう評価をされるのがしんどかったりして。
頑張らないといけないんじゃないかとか、こうしなきゃいけないんじゃないか…などのルールに従わないといけないというか。
ありのままの姿でいてもいいと思えるような場所がないなと思ったので、ならば作ろうと思いました。
今年で6年目を迎えます。
最初は『居場所』という空間も聞き慣れないというか…今でこそ居場所が大切だとか『サード・プレイス』とか言われ始めた頃でした。
お客さんはまったく来なかったですね。
今は毎日のようにいろいろな方が来てくれますが、最初はほとんど、猫一匹しか来ないとか、何をしているのか近所の人が様子を見に来るくらいでした。
今は近所に住んでいるおじいちゃんやおばあちゃん、小さなお子さん連れのお母さんたちも足を運んでくれます。
人と人が認め合い、ゆるやかにつながりあっています。

 

を読んだり、コーヒーを飲んだり、それぞれの居場所になっている

試したことは上手く行かないほうが多いとは思っています。
しかし、一つの場所にいろいろなフックがあるほうが、人は興味を持って来てくれるかなと思います。
ただ場所があって、というのではなく、今でしたら本がたくさんあって、読むことができたり貸し出しできたり。
あとは自家焙煎のコーヒーがあって、コーヒーを飲みに来てくれたり、食堂でのお昼ごはんを目当てに来てもらったり。
あと『居場所』のスタッフの特殊なところは、『居場所』のバランスを取る、調和を取るスタッフがいて、そのスタッフがいるから話をしに行こうと思う方がいらっしゃること。
いろいろな人がここに来たいと思えるような、フックをたくさん作ることを心がけています。
しかし何がフックになるのかは、やってみないとわかりません。
一緒に『居場所』を運営しているスタッフは、もともと全員が『居場所』に遊びに来ていたり利用していたりと、お客さん側でした。
その人たちが居場所作りの思いや理念に共感してくれて、今度は『居場所』を作る側に回ってくれました。

 

場所に来ていた人たちが働く場所として『コーヒーハウスひびうた』が誕生

コミュニティハウスの隣に『コーヒーハウスひびうた』があります。
珈琲の焙煎や梱包をしているのは障害を抱えたメンバーさんたち。
自分らしく働くことができる場所です。
焙煎も、もともとは『居場所』を利用していた方に、今度は仕事をするという立場になって働いています。
何かしら障害を持っている人たちがコーヒーを作っているということで、とても苦手なこともたくさんありますが、ちょっと支えてもらえれば力を発揮してできる人もとても多いです。
苦手なこと、できないことを、何とかしてできるように…ではなく、もともと持っているものや得意なものを、もっと得意になってもらったり、生かしていくという考えで働くことで、自信が付くと実感しています。
働いて誰かの役に立ってという経験ができると、やり甲斐や生き甲斐につながると思います。
『ひびうた』では下請けではなく1からコーヒーを作っています。
オリジナルの商品をそれぞれの特技を生かして作り、そのままお客さんに飲んでもらって感想を聞かせてもらう…それがやり甲斐に大きくつながっていると思います。

 

の前の一人から居場所を作る。そこから色々な事業が生まれた

常に『ひびうた』の活動は、目の前の一人から居場所を作るということ。
『居場所』づくりの最初の目の前の一人は、私自身。
私の生きにくさから始まりました。
仕事づくりは、『ひびうた』に集まってきてくれた仲間たちが、働きたいという思いから始まりました。
図書館にしても本が好きで、それを活かした仕事をしたいという思いから始まりました。
出会いからいつも仕事や活動が生まれてきたので、これからまた出会う方々のニーズを感じた時に、また新しい事業が生まれるのではないでしょうか。
今は供給がゼロなことでも需要があるときが出てくると信じ、供給がゼロでも新しく何かを生み出していきたい。
誰かにとって必要なサービスを作っていきたいですね。

社会の中に一つでもいいから、『いてもいい』と思える場所でありたいと思って活動しています。