FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年1月2日放送

今回は、津市にある『山二造酢株式会社』の岩橋邦晃さんがお客様です。
薄暗い蔵には、天井を支える梁や大きな樽。
歴史を感じるこの場所でお酢が作られています。

元の酒蔵から酒粕を購入しお酢を作っている

明治20年なので、今年で134年。
僕で五代目となります。
もちろん津の水が美味しいので、それを活用してというのがあったと思います。
うちの場合は酒粕を主原料にしておりまして、地元の酒蔵で作られた酒粕を原料に、そこに『種酢』という前回仕込んだお酢を混ぜて仕込みを行います。
大体1ヶ月くらいで発酵が終了します。
そこから熟成期間が1〜2ヶ月。
およそ3ヶ月ほどでお酢が出来上がります。
酒粕を使うことで、同じ味に仕上げることができます。
お酢も生き物なので、人間と一緒で暑いときはバテたり、寒いときは発酵に時間がかかったり…そういう影響は温度でありますね。
大事に育てないと美味しいものができないので、そのあたりは注意しています。

 

むお酢を作っている

画像は、昭和の一桁台の、初荷の写真ですね。
トラックなどが写っていますね。
年末はお休みになりますが、その間もお酢を使う方がいますので、その分を作らないといけません。
製造は年末が忙しいです。
どちらかというと業務用が多いですね。
お寿司屋さんや、もずくを浸けてスーパーで売っている方、特にお正月はおせちに酢の物が入りますので、使われることが多いです。
よく言われるのが、ソースですね。
揚げ物などにかけるソースにお酢が結構使われています。
うちでもソースを作っているのですが、知らない方が多いですね。
昔は料理に使うお酢だけで良かったのですが、最近はお客様の嗜好に合わせて、変わってきていろいろな味のものが求められてきたので、そういったことにも対応しています。
お酢が身体に良いということが定着したので、フルーツのお酢や飲みやすいお酢を求められることが多くなっています。
みなさんが食に関心を持たれることで、それに対応した商品作りをしていかないとと思います。
自然のものなので、なかなか同じものを作るのは難しいです。
が、変えてはいけないものなので、体力や手間的に大変な部分もありますが、昔ながらの作り方を守り続けていかなければと思います。

 

酢は生きもの。味が変わらないよう作っている

お酢は生き物なので、いろいろな環境の変化で変わってくるので、そういったところで味がうまくいくようにと思いながら作っています。
お客さんに使ってもらって、「美味しかった」「また買いに来たよ」と言われるときが一番嬉しいです。
最近では、農家さんの果物を、発酵技術を生かした6次加工をさせてもらっています。
これからも続けて、いろいろなフルーツのお酢を作っていきたいと思います。
いちごやブルーベリー、葡萄など、そういったものがとても美味しいです。
人の好みもありますが、酸っぱいもの…レモンや柚子は美味しく仕上げるのが難しいと思います。

 

の場所でしかヤマニのお酢は作れない

建物自体も古いのですが、木の桶など創業当初から使っているものもあります。
酢酸菌が桶や建物自体、蔵にも住み着いているので、うちの独自の菌を大事にしたいと思います。
山二オリジナルの味は、ここの蔵でないとできないと思います。
感染症など、より身体に良いもの、より衛生的なものが好まれる時代になると思うので、そちらの対応もしっかりやっていきたいと思います。
ひとつひとつ問題が出てくるので、それをクリアして商品を作るのは面白いと思います。

食というのは、身体に結びついている、身体そのものだと思うので、大事なものだと考えています。
お酢は血流が良くなるので、飲んですぐに汗をかく方もいます。
海外でも5年ほど前から出荷しています。
東南アジアのシンガポールやマレーシアなどですね。
味の嗜好はおそらく似ていると思いますが、買い方が全然違いますね。
日本だと小さなサイズでいろいろな味のものを、というのが多いですが、海外の方は大きなサイズで買っていかれる方が多いですね。