FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年7月7日放送

今回のお客様は、『五ヶ所湾ふるさとの会』の事務局長、中島幸一さん。
『五ヶ所湾ふるさとの会』が発足したのは、昭和59年3月。
立ち上げたのは、飲食店のマスター、旅館のご主人、ヨットハーバーのマネージャー…の、3人の男性。
中島さんはそのうちのお一人です。
全国にいる南伊勢町五ヶ所浦のファンのみなさんと年に数回会うことを、とても楽しみにしていらっしゃいます。
お隣は、会報誌『はまぼう』を手書きで作って下さっている徳田さんです。

■会報誌『はまぼう』第1号のおはなし

『五ヶ所湾ふるさとの会』の会報誌『はまぼう』は、1号から今に至るまで、全部手書きなんですよ。
現在は、ここにいる徳田さんが書いてくれています。

1号を発行したのは昭和59年4月15日です。
でもその時のタイトルは、『はまぼう』ではなく、『ふるさとだより(仮称)』でした。
1号で会員の方から会誌の名前を募集し、決まったのが『はまぼう』。
なので、2号から『はまぼう』になったんですよ。
『はまぼう』という名を付けたのは、千葉県の方から「『はまぼう』にしたら」というハガキを頂きまして。

1号には『開村式 75組、200人が出席!』と書かれていますね。
他には、『大きなアサリがザックザク!』や入江巡りについて…地域のことを発信しましたよ。

2号では題字を募集、3号で『サニーロード開通!』を、大きく取り上げています。
この時まで開通してなかったんですねぇ。

最初の頃はまだ、文化会館がなかったのも覚えています。
なので一番最初の開村式は、五ヶ所浦の公民館をお借りしてやったんですよ。
その一年後くらいに、文化会館が開館したんじゃないかな。


■みかんのオーナー制度からスタート!

一番最初は、みかんの木がたくさんあるので、みかん園を基点にして何かしたらどうかと。
そこで、みかんの木に会員さんの札をかけて持ってもらおうと。
つまり、みかんの木のオーナー制度です。
『五ヶ所湾ふるさとの会』は、ここからスタートしたんですね。

ふつうは「何かしよう」というと、地域内で固まってしまう事が多いですが、我々は、会員さんを全国から募ったんです。

当初は今のような発信力がなかったのですが、当時としては珍しい取り組みだったので、3~4社の新聞が、記事として取り上げてくれたんですね。
そうしたら、記事を読んだ方から、申し込みが殺到しました!
相手は五ヶ所湾を知らない人だし、我々も相手と面識がないわけですよね。
それでも新聞に掲載された日は、朝からずっと夜になるまで電話が鳴り止みませんでしたよ!
当時は立ち上げたばかりで3人だったので、大変でした(笑)
最終的には、200人近い方からの申し込みとなりました。
具体的には『みかんの木』のオーナーということだけなのに、スゴイことでした。

現在では、みかん類の他に、魚なども送ったりしています。
秋には干物とか…アオサもここの風物詩ですね。
アオサを入れた味噌汁は簡単で香りが良く美味しいので、長いこと会員の方に送っています。
みなさん、かなりアオサの香りに馴染んでいるんじゃないかな(笑)

今は我々が行なっている活動などをひっくるめて『地域おこし』って言いますよね。
地域をゲンキにしようだとか、地元に活気をとか。
でも当時はまだ、『地域おこし』という言葉すらなかったんですよ。


■五ヶ所湾は素晴らしいところがたくさん!

実は五ヶ所湾には、野口雨情の歌碑が10ヶ所以上あるんですよ。
去年の春の催しでは、この五ヶ所湾に一番大きく突き出た半島にある漁村『中津浜』に行きました。
ここは、野口雨情が土地の人に篭(カゴ)に乗せてもらい、『中津浜』まで連れて来てもらい、その夕日を眺めて感銘を受けた…という場所なんです。
目の前が、五ヶ所湾の真ん中で、南側が太平洋。
その半島から見える夕日というのは、本当に絶景です。
しかしまず、ほとんどの方は知りませんね。

そこで私たちも、歩いて姥樫の小道を通って、先端の金毘羅さんまでハイキングしました。
到着したのはお昼だったので、夕日は見えませんでしたが、目の前は絶壁で、太平洋が広がっていて、素晴らしい眺めでしたよ!

他にも、五ヶ所湾の東の端の田曽浦に『ボラ見小屋』という改修された小屋がありまして、慈眼寺の小道を上がっていくと到着します。
ここでは、昔、ボラの大群が来るのを見張っていたんですね。
来ると、大声や鐘で村の人に知らせて、これから船を出すぞ、と。
村人総出で、魚の大群を捕まえたんですよ。
もう戦前の話になりますが。

ここは表の海なので、太平洋が真正面。
岐阜県からいらした方が、この水平線を見て、「地球は丸いんやね!」と感動されていたのが、忘れられません。


■『はまぼう』を読んだ会員さんからの便りが楽しみ!

『はまぼう』の編集長は現在3代目。
記事はメンバーから寄せられています。
その内容を一文字一文字心を込めて、仲間である徳田さんが清書してくれています。

会員の方はけっこう読んでくれていますね。
お便りも多く、我々もいろいろ励まされています。
いただいたお手紙はこちらでまとめて、それをまた『はまぼう』誌上に載せて…会員さんとのキャッチボールのようなことになっているかな。

会を始めて30年近くになりますが、一番最初の発足時からの会員さんが、まだかなりいらっしゃるんですよ!
静岡県の方は、初めて五ヶ所浦に来てくれた時、お腹が大きかったんです。
そのお子さんが大きくなられて、去年結婚されて、さらに今年の年明けに、お孫さんができることもわかりまして。
お孫さんを連れて、もう一度五ヶ所浦に来たいと。
そういう方が、何人か見えますね。

だから、こうして来てくださる会員さんのために、本拠地のような場所が欲しいです。
ここの地区は今、空き家が増えていますので、それを活用して『ふるさとの会』の家として、一軒作りたいですね。
会員の方が来たらくつろいでもらえて、一泊か二泊だったら宿泊もできる…そんな家が持てたらいいな、と思っています。